ものづくり補助金平成24年度高知県

1次電池セパレータ用途合成繊維紙の再生利用

廣瀬製紙株式会社

この事例のポイント

  • 中国をはじめとする海外製品との価格競争が厳しく、コストダウンが必要になっていた。
  • 合成繊維紙の製造過程で出る切れ端や不良品などの損紙を回収し、再生して原料として使えるようにする装置を導入した。
  • 試作品をユーザーに送付して評価を受け、再生原料の使用による物性への影響はないとの回答を得た。

事業者のプロフィール

事業者名廣瀬製紙株式会社
所在地高知県 土佐市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数49人
資本金2,000万円
設立1958年

事業の背景

1次電池(使い捨て乾電池)の世界市場は成熟して横ばいで推移している。当社の主力製品は1次電池内部に使われる絶縁紙のセパレータで、国内シェアは約60%、海外でも約30%を占める。近年は中国をはじめとする海外製品との価格競争が激しくなっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算中国をはじめとする海外製品との価格競争が厳しく、コストダウンが必要になっていた。
  • コスト・採算製造過程で廃棄される損紙を再利用し、原料コストを減らす必要があった。
  • その他損紙の廃棄量を減らし、産業廃棄物の発生量を低減する必要があった。

やったこと

合成繊維紙の製造過程で出る切れ端や不良品などの損紙を回収し、再生して原料として使えるようにする装置を導入した。損紙は坪量と厚みが製品規格に入るまで、また製品幅にスリットする工程で廃棄されていた。導入した設備は、リサイクル原料溶解システム、高圧シャワー揺動装置、プレストップロール、パルパー希釈水面計である。溶解槽には水位センサを設け、溶解液面を一定に保つとともに、必要に応じて自動停止できるようにした。損紙を使うと汚れが付きやすいため、丸綱シリンダーの汚れ対策として高圧シャワー揺動装置を設置した。通常品より厚めに出るため、水分率のばらつき対策として強度を強化したTOPプレスロールを新作した。

  • 加工機リサイクル原料溶解システム高圧シャワー揺動装置プレストップロールTOPプレスロール
  • 検査測定パルパー希釈水面計

新しい製品・サービス:ビニロン紙再生繊維配合シート(4品種)

事業の効果

試作品をユーザーに送付して評価を受け、再生原料の使用による物性への影響はないとの回答を得た。損紙を再利用することで廃棄される損紙の量が減り、原料コストの低減につながった。現在はビニロン原料の製品15種類程度のうち4品種のみ再生利用しており、製品化による効果が広がりつつある。低コスト化により競合可能となる市場を開拓する足がかりも得られた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性既存のセパレータ事業で国内シェア約60%を持ち、損紙再利用は過去の再生テストを踏まえた取組として経緯が示されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内シェア約60%、海外約30%と自社の強みを示し、中国等との価格競争への対抗策として損紙再利用によるコスト削減を位置づけている。
  • 4
    課題の認識と解決損紙の廃棄とコスト高を課題として挙げ、再生原料で4品種の試作品をユーザー評価し物性影響なしとの回答を得ている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値創出や賃上げの数値目標は書かれていない。低コスト化の方向性のみで、目標値は読み取れない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    既存のセパレータ事業で国内シェア約60%を持ち、損紙再利用は過去の再生テストを踏まえた取組として経緯が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内シェア約60%、海外約30%と自社の強みを示し、中国等との価格競争への対抗策として損紙再利用によるコスト削減を位置づけている。

  • 課題の認識と解決4

    損紙の廃棄とコスト高を課題として挙げ、再生原料で4品種の試作品をユーザー評価し物性影響なしとの回答を得ている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値創出や賃上げの数値目標は書かれていない。低コスト化の方向性のみで、目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    設備導入や社内外での試作評価を行ったと書かれているが、人材や事務体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    電池用セパレータの用途、主にアルカリ乾電池の部材で使われることや、ユーザー評価で選ばれる条件が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後10品種程度へ拡大する目標と課題解決の方向は示されているが、スケジュールは約1年の市場調査程度で具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    1次電池市場は成熟・横ばいと明記され、損紙再生は世界初の試みと書かれ、一般的な普及度は低い分野と読める。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    産業廃棄物発生量の低減には触れているが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    原料コスト削減と産業廃棄物低減が目的とされているが、補助金額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    環境配慮とリサイクルは示されるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    環境・エネルギー分野の1次電池材料市場を対象とすると述べるが、構造転換との関係は明記されていない。

  • 地域経済への波及2

    高知県土佐市の製紙会社とあるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への言及は乏しい。

今後の展望

今後は品種ごとの課題を解決し、最終的に10品種程度をリサイクル可能にする計画である。再生原料の配合率を上げる可能性も検討している。低コスト化を生かして競合可能な市場を約1年かけて調査し、獲得したユーザーへの販売を始める予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。