ものづくり補助金平成24年度高知県

光学式マウスを用いた次世代AGV用センサーデバイスの開発

株式会社土佐電子

この事例のポイント

  • 磁気テープは走行による経年劣化や現場のライン・レイアウト変更の際に剥がして貼り直す必要があり、多大なコストと手間がかかる。
  • パソコン用マウスと同等のセンサーモジュールを用いて移動距離を計算し、角度センサー、加速度センサー、方位センサーを微調整用に搭載したセンサーデバイスを試作した。
  • ゲーミングマウスのセンサーは通常のマウスセンサーより高精度に動作することを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社土佐電子
所在地高知県 土佐市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数278人
資本金5,000万円
設立1985年

事業の背景

当社は約3年前からAGV(無人搬送台車)事業を始めた。自動車・医薬品・液晶パネルメーカーの生産現場で使われるAGVは人手の無駄を省くため自動化された経緯があり、多目的に動けることが強く注目されている。当社は全方向型車輪メカナムホイールを用いたAGVを開発し、省スペースで工場レイアウトに縛られない点が強みとなっている。AGVシステムではAGV本体のほか磁気テープやレーザーセンサーなど外部センサーの比重が大きく、市場ニーズも多く存在する。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算磁気テープは走行による経年劣化や現場のライン・レイアウト変更の際に剥がして貼り直す必要があり、多大なコストと手間がかかる。
  • その他レーザーセンサーは直進の軌道確保が主となるため、死角の多い複雑な経路設計を構築できない。

やったこと

パソコン用マウスと同等のセンサーモジュールを用いて移動距離を計算し、角度センサー、加速度センサー、方位センサーを微調整用に搭載したセンサーデバイスを試作した。マウスのセンサー感度と移動距離の相関を解析して最適なセンサーモジュールを選定し、既存の基板で評価検証を行った。RX-CPUを搭載したセンサーボードを設計して周辺回路を設計し、周辺機器と通信するインターフェースとセンサー値を取得するファームウェアを構築した。マウスとデバイスユニットを搭載する筐体を設計して3Dプリンタでモックを試作し、金型を製作して基板を組み込み金型の精度検証を行った。全方向移動メカナムAGVの前後にマウスセンサーを搭載して自己位置を認識するシステムを開発し、実際の移動距離との補正を評価した。

  • 加工機3Dプリンタ
  • 金型金型
  • その他RX-CPU搭載センサーボードゲーミングマウスのセンサーモジュール

新しい製品・サービス:次世代AGV用センサーデバイス(光学式マウスセンサーを利用してAGVなど移動体の自己位置を算出するデバイス)

事業の効果

ゲーミングマウスのセンサーは通常のマウスセンサーより高精度に動作することを確認した。全方向移動型メカナムAGVに搭載して移動検証を行った結果、移動距離をほぼ正確に算出できることが分かった。磁気テープを使わないため、テープの貼り直しなどのコストや手間をほとんどかけずに自己位置を取得できる。AGV開発を機に新規取引先との繋がりも生まれ、テストを行った大手技術研究所からは概ね高評価を得ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性磁気テープやレーザーセンサーの課題と、全方向移動AGVでの自社の強みを対比して記載しており、競争優位性の根拠が具体的に読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け大手自動車・建設会社や研究所からの利用希望と、ゲーミングマウス由来の高精度センサーという選ばれる理由が具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値磁気テープ式が主流の分野で、マウス用光学センサーを使った自己位置算出という高付加価値化の方向性が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値の創出や賃上げの目標値は書かれていないが、現場実用化に2,3年を要するとの記載がわずかにうかがえる。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    メカナムホイールAGVの開発経緯と3年前からのAGV事業開始が書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    磁気テープやレーザーセンサーの課題と、全方向移動AGVでの自社の強みを対比して記載しており、競争優位性の根拠が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    磁気テープの経年劣化や再貼り直しコストという課題は示されているが、高付加価値化や成長につながる事業計画の数値的な裏付けは薄い。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の創出や賃上げの目標値は書かれていないが、現場実用化に2,3年を要するとの記載がわずかにうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    センサー設計、ファームウェア開発、筐体の金型製作を分担して進めた記載はあるが、人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大手自動車・建設会社や研究所からの利用希望と、ゲーミングマウス由来の高精度センサーという選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作後の検証、課題解決、販売体制整備、実用化に2,3年を要するといった段階は示されているが、スケジュールの詳細は不足している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    磁気テープ式が主流の分野で、マウス用光学センサーを使った自己位置算出という高付加価値化の方向性が示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    工場の省スペース化や人手の省力化、大学・建設会社への波及が書かれているが、国が補助する積極的理由としての経済波及は明示されていない。

  • 費用対効果2

    磁気テープ貼り直しのコスト削減が示されるが、補助金投入額に対する付加価値額増加などの数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ゲーミングマウス用光学センサーを活用し、AGVの自己位置算出というサプライチェーン上の自動化への貢献が読み取れる。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    AGVの多目的化や省スペースといった成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    高知県の製造業者による開発とわずかに読み取れるが、地域の雇用創出や経済成長を牽引する記述は見当たらない。

今後の展望

テスト導入先からの検証結果を踏まえて課題を解決し、現場での動作検証を重ねて販売体制を整えていく。現場での実用化には2、3年を要すると考えている。

事業者の声

自社商品を持つ

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。