ものづくり補助金平成24年度高知県

ダイレクト製氷が可能なスラリーアイス製造装置の試作開発

株式会社泉井鐵工所

成果排出時の1分あたり流量 100リットル/分→3リットル/分

この事例のポイント

  • 現在主流の循環製氷方式は製氷タンクに塩水を貯める必要があるため一定の設置スペースが必要で、使用量にも制限がある。
  • 既存の循環製氷方式装置の技術を応用し、塩分濃度1%の塩水からIPF25%のスラリーアイスを直接製氷する「ダイレクト製氷方式スラリーアイス製造装置」の開発に取り組んだ。
  • 排出時の1分あたり流量 100リットル/分→3リットル/分。試作機では駆動部を付加したことで、1分あたり3〜5リットルという低流量でもスムーズにスラリーアイスを排出できるようにな…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社泉井鐵工所
所在地高知県 室戸市
業種一般機械器具製造業
技術分野冷凍空調
従業員数70人
資本金4,360万円
設立1923年

事業の背景

当社は創業以来、マグロはえなわ用漁揚機械や舶用甲板機械などを製作してきた。魚介類の鮮度保持に使われるスラリーアイス製造装置は循環製氷方式が主流だが、塩水から直接製氷するダイレクト方式への期待が大きくなっている。当社は高知工科大学との共同研究で塩分濃度1%から製水できる循環製氷方式装置を実用化している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力現在主流の循環製氷方式は製氷タンクに塩水を貯める必要があるため一定の設置スペースが必要で、使用量にも制限がある。
  • 新製品・新技術製氷タンクを使わず塩水から直接スラリーアイスを製造するダイレクト方式のニーズは高まっているが、塩分濃度1%から製氷できる製造機器は他社製品になく、当社の既存技術を応用した装置の開発が必要だった。
  • 生産能力循環方式は長期保存ができないというデメリットがある。

やったこと

既存の循環製氷方式装置の技術を応用し、塩分濃度1%の塩水からIPF25%のスラリーアイスを直接製氷する「ダイレクト製氷方式スラリーアイス製造装置」の開発に取り組んだ。検討と設計の段階では高知工科大学の松本准教授の指導を受けて開発の方向性と装置構造を決定した。当初は製氷原水を冷却する冷水機を含めたシステムの試作から製品化まで行う予定だったが、開発中に課題が明らかになったため、製氷システムのコア技術となるジェネレータの内部構造と生成されたスラリーアイスの排出部の出口構造の設計、ジェネレータの一部試作までを実施した。試験装置による予備実験では、ジェネレータ内部から排出口の機構、回転速度、排出口の方向を数パターン検証した。

新しい製品・サービス:塩分濃度1%の塩水からIPF25%のスラリーアイスを直接生成するダイレクト製氷方式スラリーアイス製造装置

事業の効果

  • 排出時の1分あたり流量 100リットル/分→3リットル/分

試作機では駆動部を付加したことで、1分あたり3〜5リットルという低流量でもスムーズにスラリーアイスを排出できるようになった。ジェネレータ内部の排出機構や回転速度などを検証した結果、1分あたり流量3リットルでIPF20%のスラリーアイスが排出できることを確認した。これにより漁船や水産加工場など設置スペースに制限のある場所への導入が期待できる。製品化はまだだが、ダイレクト方式が実現すれば販路の拡大が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性循環製氷方式で高知工科大学と共同研究し実用化した既存技術を応用し、ダイレクト方式を次の製品として位置づけている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け漁船や漁協、水産加工場、食品加工、スーパーなど顧客層と用途を具体的に挙げ、省スペース・使用量無制限という選ばれる理由が示されている。
  • 4
    事業化までの道筋未達成の製水システム開発の継続、フィールドテスト、3年以内の事業化など、課題と段階的な進め方が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、製品化は3年以内と時期のみ示されている。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    循環製氷方式で高知工科大学と共同研究し実用化した既存技術を応用し、ダイレクト方式を次の製品として位置づけている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ダイレクト方式への期待が大きいと述べるが、市場規模や販売数量など数字での裏付けは示されていない。他社にない1%塩分での製氷は強みとして挙げられている。

  • 課題の認識と解決3

    循環方式のスペース制限や長期保存不可という課題を挙げ、解決策としてダイレクト方式を示す。ただし付加価値額や成長の数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、製品化は3年以内と時期のみ示されている。

  • 事業を進める体制3

    大学の松本准教授の指導を受けて開発し、TIG溶接機を導入して活用中と書かれている。ただし人員や事務体制の詳細は示されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    漁船や漁協、水産加工場、食品加工、スーパーなど顧客層と用途を具体的に挙げ、省スペース・使用量無制限という選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    未達成の製水システム開発の継続、フィールドテスト、3年以内の事業化など、課題と段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ダイレクト方式で塩分1%・IPF25%を実現する製品は他社になく、同分野で高水準の差別化を図る内容と読み取れる。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    水産業や食品加工の保存技術に関わるとしつつ、雇用創出や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    設置スペースや使用量の制約が緩和されるとあるが、補助金に対する費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    次亜塩素酸水を融合させた殺菌機能付きの冷却システムを開発中とあるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的ではない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    食品加工や水産業への新たな販路拡大が見込まれると述べるが、成長分野や構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    地域の水産業との関わりは示されるが、地域経済や雇用の牽引効果は具体的に書かれていない。

今後の展望

製水システム全体の試作を完了させ、既存顧客や代理店の協力を得てフィールドテストを行い、3年以内の事業化を目指す。次亜塩素酸水生成装置とスラリーアイスダイレクト製造装置を融合させた殺菌機能付きの新たな冷却媒体生産システムも開発中である。

事業者の声

本事業にてスラリーアイスのダイレクト製氷方式の実用化に向けた第一歩を踏み出すことができました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。