ものづくり補助金平成24年度高知県

災害対応型「小型循環式水洗トイレ」の開発

株式会社ダイドウ

この事例のポイント

  • 既存の災害対応型循環式水洗トイレ「リサイくるん」は規模や価格帯が導入ニーズに合わない。
  • 小型化と可動化には、埋設型のように重力を利用できず、タンクを地上に置くと排泄物を持ち上げるポンプが必要になる。
  • 製造期間と工事期間がいずれも既存製品「リサイくるん」の半分に短縮できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ダイドウ
所在地高知県 高知市
業種総合工事業
技術分野溶接
従業員数8人
資本金1,000万円
設立1971年

事業の背景

当社は給排水設備工事と設計を本業とし、2011年に災害対応型循環式水洗トイレ「リサイくるん」を開発した。東日本大震災を受けて避難場所の整備を目的に開発したため、処理能力を重視した大型の埋設型であった。完成後に各自治体を回ると、移動できるようにしてほしい、狭い場所にも設置したい、工事現場の仮設トイレや山小屋で使いたいなどの要望が寄せられた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の災害対応型循環式水洗トイレ「リサイくるん」は規模や価格帯が導入ニーズに合わない。
  • 新製品・新技術建築基準法が適用されるため建築確認が取れない高台などには設置できない。
  • 新製品・新技術災害時に避難場所へ運搬・組立・設置することが困難である。
  • 納期・工程設置に伴う建築工事期間が長期化し、迅速な対応が難しい。

やったこと

小型化と可動化には、埋設型のように重力を利用できず、タンクを地上に置くと排泄物を持ち上げるポンプが必要になる。従来から搭載している処理水を送り返すポンプと合わせて2つのポンプが必要となり、消費電力は約2倍になってしまう。そこで省電力を保ちつつ据置型に対応し、災害時に十分な処理能力を確保するため、機械装置の選定や機械装置固定架台の方法を根本から見直した。まず自社の機材を活用して簡易的なデモ機を製作し、実働調査で研究課題を明確にしたうえで事業の工程を立てた。さらに1次処理槽に独自の分離処理装置を新たに設計し、過大であった汚泥貯留容量を大幅に減らすとともに処理能力を大きく向上させた。開発品は2ユニットで構成する。

新しい製品・サービス:小型循環式水洗トイレ(災害対応型)

事業の効果

製造期間と工事期間がいずれも既存製品「リサイくるん」の半分に短縮できた。小型化により建築基準法の適用を受けず建築許可が不要となったため、着工が迅速になり、災害時の避難場所となる高台などへの設置も可能になった。設置時の土木工事費用も大幅に削減でき、市場のニーズに合った規模や価格帯に対応できる目処が立った。大型の既存製品と小型の本開発品で規模や価格に幅を持たせたことで、導入の機会が増えると見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決既存製品の4つの問題点を整理し、ポンプ2台で約2倍の電力になる技術課題を特定して解決の方向を示している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標製造期間・工事期間を既存製品の半分に圧縮と書かれ、年間売上目標は20台と具体的に示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け建設現場・山小屋など異なる分野への展開、県外現場事務所からの多数の引き合いが書かれ、ニーズの裏付けがある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性自治体への意見収集や現場からの要望は書かれるが、市場規模や競合に対する自社の優位性の分析は読み取れない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    2011年開発の既存製品「リサイくるん」の課題を受けて小型化に取り組んだ経緯が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    自治体への意見収集や現場からの要望は書かれるが、市場規模や競合に対する自社の優位性の分析は読み取れない。

  • 課題の認識と解決4

    既存製品の4つの問題点を整理し、ポンプ2台で約2倍の電力になる技術課題を特定して解決の方向を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    製造期間・工事期間を既存製品の半分に圧縮と書かれ、年間売上目標は20台と具体的に示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員8名の企業であることは書かれるが、補助事業を遂行する人材や体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    建設現場・山小屋など異なる分野への展開、県外現場事務所からの多数の引き合いが書かれ、ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    更なる小型化と導入実績による性能検証という今後の方針は示されるが、スケジュールや課題解決の具体的方法は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    小型で低コストの循環式水洗トイレは既存製品より市場が限られた分野で、高付加価値化の水準は明示されていない。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    災害時の避難場所への設置や高台での利用が可能になると書かれ、社会インフラとしての意義がうかがえる。

  • 費用対効果2

    建築許可不要で着工が迅速になる効果は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    分離処理装置の独自設計は書かれるが、デジタル技術の活用や地域・サプライチェーンへの波及は読み取れない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    高知県高知市の地元企業が地域貢献を掲げて開発したことは書かれるが、地域の雇用や経済成長への効果は具体的でない。

今後の展望

県外の現場事務所から多数の引き合いがあり、テスト導入先からのフィードバックを踏まえて改良と追加開発を続けている。さらなる小型化を進めて導入実績を増やし、設置環境が性能に与える影響を検証する。建設現場や山小屋など災害以外の分野への展開も見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。