ものづくり補助金平成24年度高知県

ブラスト用天然鉱石を代替する人造研磨材の試作開発

宇治電化学工業株式会社

成果研磨材の耐久性 1倍→3倍

この事例のポイント

  • ブラスト業界で使われる天然鉱石ガーネットの価格が2013年頃から約50%上昇し、研磨材の調達コストが問題になっている。
  • 不要粒度製品を再生原料として、電気溶融、整粒・分級の技術により新たな人造研磨材の試作開発を行った。
  • 研磨材の耐久性 1倍→3倍。天然鉱石ガーネットと同等の研削力と表面粗さを持ちながら、耐久性は3〜5倍となる研磨材を、産業廃棄物である不要粒度製品か…

事業者のプロフィール

事業者名宇治電化学工業株式会社
所在地高知県 高知市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野切削加工
従業員数95人
資本金1億円
設立1939年

事業の背景

当社はボーキサイトを電融処理した人造研磨材「トサエメリー」を主力製品として製造販売している。ブラスト業界では研磨材として年間数千t規模の市場があり、ガーネットに代わる研磨材の需要は高まると考えられている。当社はコスト削減のため原料を見直す中で、トサエメリーの製造工程で発生する年間約700tの不要粒度製品に着目した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算ブラスト業界で使われる天然鉱石ガーネットの価格が2013年頃から約50%上昇し、研磨材の調達コストが問題になっている。
  • 新製品・新技術既存の主力製品トサエメリーはガーネットの3〜4倍の価格で、ガーネットの代替品にはなりえない。
  • 生産能力製造工程で年間約700tの不要粒度製品が発生しており、その有効活用が課題になっている。

やったこと

不要粒度製品を再生原料として、電気溶融、整粒・分級の技術により新たな人造研磨材の試作開発を行った。成分(アルミナ組成率、分級精度など)が既存製品と異なるため同じ製造ラインは使えず、精密分級を行う粉砕・分級設備と、粉砕時に発生する粉塵を回収する集塵機設備を導入した。再生原料で試験的に電融処理を行い、試作品の組成確認と粉砕時の分級確認を実施した後、製品化を図った。

  • 加工機精密分級を行う粉砕・分級設備
  • その他粉砕時に発生する粉塵の回収に必要な集塵機設備振動フルイ

新しい製品・サービス:再生原料100%から製造する人造研磨材「トサブラスター」

事業の効果

  • 研磨材の耐久性 1倍→3倍

天然鉱石ガーネットと同等の研削力と表面粗さを持ちながら、耐久性は3〜5倍となる研磨材を、産業廃棄物である不要粒度製品から製造できるようになった。作業時の粉塵発生が少なく作業環境の改善に役立つ。繰り返し使用することで産業廃棄物の削減にもつながる。新たに建築土木業界への販売先が広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ガーネットが2013年比約50%UPと価格高騰し、トサエメリーはガーネット比3〜4倍の価格という市場・価格差を示し、自社の電融技術を強みとして挙げている。
  • 4
    課題の認識と解決ガーネット高騰と年間700tの不要粒度製品の廃棄という課題を認識し、再生原料で天然鉱石代替品を開発して販売見込み60〜80tを示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けガーネット同等の研削力・表面粗さ、耐久性3〜5倍、粉塵低減など性能を数値とともに示し、ブラスト・橋梁業界向けの顧客ターゲットも明確。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員数95名は記載があるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての具体的な記述はない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の電融・整粒技術と不要粒度製品の活用を生かした開発で、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記載は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ガーネットが2013年比約50%UPと価格高騰し、トサエメリーはガーネット比3〜4倍の価格という市場・価格差を示し、自社の電融技術を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    ガーネット高騰と年間700tの不要粒度製品の廃棄という課題を認識し、再生原料で天然鉱石代替品を開発して販売見込み60〜80tを示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    2016年度60〜80tの販売見込みは数値で示されるが、高付加価値化や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の根拠は限定的。

  • 事業を進める体制2

    従業員数95名は記載があるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての具体的な記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ガーネット同等の研削力・表面粗さ、耐久性3〜5倍、粉塵低減など性能を数値とともに示し、ブラスト・橋梁業界向けの顧客ターゲットも明確。

  • 事業化までの道筋3

    粒度調整の継続やお客様の実機トライ後の規格改定、生産効率向上の方針は示されるが、スケジュールや課題解決方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ガーネット代替の人造研磨材で、同分野の中で天然鉱石と同等の性能を持つ製品として差別化を図っている点が読み取れる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    年間数千t規模の市場や建築土木業界への新たな提案が述べられ、需要創出や産業廃棄物削減の効果がうかがえるが、経済波及効果の定量記述はない。

  • 費用対効果3

    産業廃棄物の削減や再生原料の活用、ガーネットに対する価格優位性は述べられるが、投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    再生原料100%の製造技術や製造現場と企画開発が一体となった開発体制は示されるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献の記述は乏しい。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    高知県の企業であることは示されるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及はほとんどない。

今後の展望

2016年度の販売見込みは60〜80tである。橋梁、プラント補修関連市場に向けて販売実績のある販売店と協力して販売し、建築土木業界に強い卸売業者など新たな販売店の開拓も進める。あわせて製品規格の改定や生産効率の向上を進める。

  • 目標:アルミナ組成 20%→60%

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。