ものづくり補助金平成24年度福岡県

金属マグネシウムを利用した水質浄化技術の実用化(Fe, Mn, Zn, Cr, Ni, B, As etc)

株式会社テッツコーポレーション

成果2号機で9日間連続稼働し、鉄分を1ppm未満に継続して処理できることを確認

この事例のポイント

  • Mgの表面が複合生成物で覆われ水溶液との接触効率が低く、処理効率が上がらない。
  • 九州工業大学や福岡県工業技術センターなどで研究された金属マグネシウム(Mg)を利用した水質浄化技術を基に、生産性の高い水質浄化装置を開発した。
  • 2号機で9日間連続稼働し、鉄分を1ppm未満に継続して処理できることを確認。試作機の製作を通じて、Mg表面を剥離させる方式で処理能力を向上させる技術的な見通しを得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社テッツコーポレーション
所在地福岡県 北九州市
業種一般機械器具製造業
技術分野高機能化学合成
従業員数6人
資本金1,000万円

事業の背景

国内には廃業した炭鉱が数百あり、福岡県内にも数十の廃坑がある。これらからは鉄分などを含む赤水が半永久的に湧き出しており、主に消石灰などを用いて処理されている。現状の処理方法は設備が大きく広大な敷地を必要とし、電力と薬剤の使用量も多く、処理時に発生する汚泥(産廃)も多い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力Mgの表面が複合生成物で覆われ水溶液との接触効率が低く、処理効率が上がらない。
  • 生産能力1号機の処理能力が低く、実用化に向けて処理能力を大幅に向上させる必要がある。
  • コスト・採算現状の湧水処理は電力と薬剤の使用量が大きく、汚泥の発生も多い。
  • 納期・工程通常の沈殿分離槽は処理水を1日滞留させるため低速で、大きなスペースが必要である。

やったこと

九州工業大学や福岡県工業技術センターなどで研究された金属マグネシウム(Mg)を利用した水質浄化技術を基に、生産性の高い水質浄化装置を開発した。Mgを円筒内に設置した堅型スクリュウで攪拌し、Mg表面の複合生成物を強制的に剥離させる方式とした。処理能力100m3/日以上を目標に試作機を製作し、2号機(450型)で目標100m3/日の条件での試験を行い、9日間の連続稼働で鉄分を1ppm未満に継続して処理できることを確認した。その知見を基に3号機(800型)を製作し、200m3/日の条件で鉄分を0.1ppm未満に処理できることを確認した。沈殿分離槽では上昇と下降の水流を用いた構造を試みたが、粒子が小さすぎて沈殿促進が起きないと判断し、前工程で粒子成長を促す改善を行って成果を得た。

  • その他The Screw 水質浄化装置 試作機1号機・2号機・3号機沈殿分離槽

新しい製品・サービス:Mg利用の水質浄化装置「The Screw」

事業の効果

  • 2号機で9日間連続稼働し、鉄分を1ppm未満に継続して処理できることを確認
  • 3号機で200m3/日の条件で鉄分を0.1ppm未満に処理できることを確認

試作機の製作を通じて、Mg表面を剥離させる方式で処理能力を向上させる技術的な見通しを得た。鉄分を含む赤水を高い水準まで処理できることを試験で確認した。試作過程で設計上の課題や多数の基礎データも得られた。コンパクトで低運用コストの水質浄化装置として、電力・薬剤・汚泥の低減と設置スペースの縮小が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決消石灰処理の電力・薬剤使用量と汚泥発生が課題と明示され、1号機の処理能力12L/分から100L/分超への向上目標も具体的。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標処理能力100m3/日規模を目標とし、2号機で1ppm未満を9日間連続稼働で確認した実績があり実現性は読み取れる。ただし付加価値や賃上げの目標は書かれていない。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け赤水処理の潜在ニーズや、賞味期限切れ飲料の浄化など用途の広がりを示し、炭鉱湧水処理場での試験先も明示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制試作機の製作でトラブルが多発したと書かれるが、体制や人材、事務処理能力についての記述はほぼない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    Mg表面の複合生成物を剥離する技術を産学官の研究から実用化する流れは読めるが、経営戦略上の位置付けまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    廃鉱山の赤水処理で消石灰を使う現状の課題に対し、電力・薬剤・汚泥の少ない方式を示すが、競争優位の定量的根拠は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    消石灰処理の電力・薬剤使用量と汚泥発生が課題と明示され、1号機の処理能力12L/分から100L/分超への向上目標も具体的。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    処理能力100m3/日規模を目標とし、2号機で1ppm未満を9日間連続稼働で確認した実績があり実現性は読み取れる。ただし付加価値や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    試作機の製作でトラブルが多発したと書かれるが、体制や人材、事務処理能力についての記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    赤水処理の潜在ニーズや、賞味期限切れ飲料の浄化など用途の広がりを示し、炭鉱湧水処理場での試験先も明示されている。

  • 事業化までの道筋4

    沈殿分離槽の課題を粒子成長の前工程で解決したと述べ、今後1年以上の長期試験と市場調査、展示会出展の計画が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    Mgによる水質浄化は一般的な技術ではなく新規性がうかがえるが、高付加価値化や高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用4

    国内に廃業炭鉱が数百、福岡県内に数十あり、半永久的に赤水が湧き出る社会課題として公共性の理由が具体的に示されている。

  • 費用対効果3

    電力・薬剤・汚泥の削減や設備の小型化を述べるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    Mg反応を用いた新方式で環境技術に寄与するとはうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    水質浄化という環境分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及3

    福岡県の産学官連携や地元の廃鉱山という地域性は読み取れるが、地域の雇用や経済成長への効果は書かれていない。

今後の展望

補助事業で明らかになった課題に対応して試験と改良を繰り返す予定である。炭鉱湧水処理場と某社の廃液処理工場で1年以上の長期試験を計画しており、費用対効果の実績が得られれば採用につながるとみている。今後は市場調査や展示会出展を進め、3年目からはヒ素やカドミウム等の汚染水地域への浄水器の提供を計画している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。