ものづくり補助金平成24年度福岡県

合わせガラスのプラスチック中間膜国内水平リサイクル事業

株式会社西日本ガラスリサイクルセンター

この事例のポイント

  • 自動車等の合わせガラスに使われるPVB膜はほとんどがリサイクルされず埋立処分されている。
  • PVB膜製造メーカと合わせガラス製造メーカの受入基準を明確にし、リサイクル品質基準を立案した。
  • リサイクルPVB膜の生産ラインを構築でき、最大処理能力は1直体制(8時間勤務、装置6.5時間稼働)で1日5.2tとなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社西日本ガラスリサイクルセンター
所在地福岡県 北九州市小倉北区
業種その他の製造業
技術分野切削加工
従業員数3人
資本金200万円

事業の背景

当社はガラスのリサイクルを事業としており、合わせガラスからガラスカレットは取り出すが、残ったPVB膜は他社と同様に埋立処分していた。国内の使用済み自動車の処理台数は年間600万台前後で推移し、ガラスは約10万t含まれる。PVB膜の含有重量率は約10%のため、毎年約1万tが埋立処分されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術自動車等の合わせガラスに使われるPVB膜はほとんどがリサイクルされず埋立処分されている。
  • 新製品・新技術ガラス片が付着したPVB膜からガラス片を完全に除去し、PVB膜の種類を自動識別する仕組みがなかった。

やったこと

PVB膜製造メーカと合わせガラス製造メーカの受入基準を明確にし、リサイクル品質基準を立案した。ガラス片が付着したPVB膜を投入し、ガラス片が除去されたPVB膜とガラスカレットを出力する剥離装置を装置メーカが設計・製作し、実施場所に据え付けた。ラマン分光スペクトルによってPVB膜を識別し作業者へ伝達する識別装置も装置メーカが設計・製作し、据え付けた。構築した生産ラインの運用パラメータを比較検討して最適化を図り、設備の安定稼働性と製品の品質を確認した。

  • 加工機剥離装置
  • 検査測定識別装置ラマン分光によるPVB膜識別装置
  • ソフト識別結果の表示ソフトウェア多変量解析アルゴリズム

新しい製品・サービス:リサイクルPVB膜

事業の効果

リサイクルPVB膜の生産ラインを構築でき、最大処理能力は1直体制(8時間勤務、装置6.5時間稼働)で1日5.2tとなった。運用パラメータの最適値も得られた。識別装置はPVB膜の材質をグループ分けして画面に表示でき、作業者が識別結果を視覚的に確認できるようになった。受入基準を明確化し、カスケードリサイクルとしての市場調査も実施した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決埋立処分される年約1万tのPVB膜という課題を示し、剥離装置と識別装置で生産ラインを構築、年2,500t生産の計画まで書かれている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標5年目に2,500tを2直体制で生産する計画と、1直で5.2t/日の最大処理能力が数値で示されている。付加価値・賃上げ目標は書かれていない。
  • 4
    事業化までの道筋事業終了後1年目は500t、5年目に2,500tの段階的計画と、販売先開拓・材料調達先開拓という課題と対応が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性国内では流通がないと記載され、市場や競争環境の分析は乏しい。自社の強みとして読み取れる記述は限定的である。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    合わせガラスのPVB膜を国内水平リサイクルする事業で、ガラスリサイクルを事業とする既存事業の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    国内では流通がないと記載され、市場や競争環境の分析は乏しい。自社の強みとして読み取れる記述は限定的である。

  • 課題の認識と解決4

    埋立処分される年約1万tのPVB膜という課題を示し、剥離装置と識別装置で生産ラインを構築、年2,500t生産の計画まで書かれている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    5年目に2,500tを2直体制で生産する計画と、1直で5.2t/日の最大処理能力が数値で示されている。付加価値・賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数3人とあるが、補助事業を遂行する体制や人材の役割分担についての記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    リサイクルPVB膜の品質基準や受入基準の明確化、カスケードリサイクルの市場調査は書かれているが、販売先が未開拓と記されている。

  • 事業化までの道筋4

    事業終了後1年目は500t、5年目に2,500tの段階的計画と、販売先開拓・材料調達先開拓という課題と対応が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    国内では流通がないPVB膜の水平リサイクルで、ラマン分光と多変量解析による識別を開発しており、高水準の新規性が読み取れる。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    自動車の使用済み処理台数年間約600万台から毎年約1万tのPVB膜が埋立処分されている点を示し、環境保全の社会的ニーズへの対応を明記している。

  • 費用対効果2

    投資額や費用対効果を示す数値は書かれておらず、補助金投入額に対する効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献4

    ラマン分光による自動識別と多変量解析アルゴリズムを使い、合わせガラスのリサイクルで水平リサイクルを実現するイノベーションが読み取れる。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    ガラス・樹脂の循環利用という環境分野の取組として読み取れるが、日本経済の構造転換に資するとの記述は薄い。

  • 地域経済への波及2

    北九州市という地域での事業だが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出への言及は乏しい。

今後の展望

リサイクルPVB膜の販売先を引き続き開拓し、ユーザニーズを調査する。国内に流通がないため、受入基準や価格の摺り合わせを粘り強く進める。事業終了後1年目は500tの合わせガラス処理を目指して材料の調達先を開拓し、5年目には2,500tの生産を2直体制で行う計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。