ものづくり補助金平成24年度佐賀県

パワー半導体基板に高精度の表面処理を行うためのめっき装置の開発およびめっき条件の確立

田口電機工業株式会社

この事例のポイント

  • パワー半導体基板のめっき条件は既存のめっきラインと大きく異なり、使用薬品も工程も違うため既存設備を流用できない。
  • パワー半導体基板向けに、高電流制御に使う半導体基板へニッケル・金めっき加工を施す精密めっきラインを新規に設置し、装置を開発した。
  • パワー半導体基板のめっき試作を初めて行い、外観は良好で、半田付け性、電気伝導性、密着性、耐食性などの検査で製品の品質は顧客ニーズの性能を十分に満たした。

事業者のプロフィール

事業者名田口電機工業株式会社
所在地佐賀県 佐賀県三養基郡基山町
業種金属製品製造業
技術分野めっき
従業員数50人
資本金3,000万円
設立1932年

事業の背景

当社は昭和7年の創業以来、めっき加工を専門として、ローテクからハイテク、ミクロからナノまで50種以上のめっき加工や表面処理を高品質・高精度・短納期で行ってきた。主要顧客である自動車や電子関連メーカーの海外進出や東日本大震災の影響で、めっき業界全体は低迷している。その中で高成長が見込まれるパワー半導体分野に、高精度のめっき技術を生かして新規参入を目指している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術パワー半導体基板のめっき条件は既存のめっきラインと大きく異なり、使用薬品も工程も違うため既存設備を流用できない。
  • 新製品・新技術条件を確立するための試作めっきには専用の試作ラインを新設する必要がある。
  • 品質・精度納入条件としてクリーンルーム対応が必要だが、既存の生産ラインにはクリーンルームがなく最終的な品質確認ができない。
  • 販路・情報発信主要顧客の自動車や電子関連メーカーの海外進出や東日本大震災の影響で、めっき業界全体は低迷が続いている。

やったこと

パワー半導体基板向けに、高電流制御に使う半導体基板へニッケル・金めっき加工を施す精密めっきラインを新規に設置し、装置を開発した。ラインは、ニッケル・金めっき加工ライン、めっき付帯装置(揺動搬送機、精密濾過装置、純水製造器、局所排気装置、めっき槽、熱交換器など)、検査用簡易クリーンルームで構成している。特殊なセラミックス基板に特殊な導電体加工が施されており、その表面にパワー半導体チップをボンディングするためのニッケル・金めっきを施す。前処理・後処理に当社が設計・選定した特殊な化学薬品を使用し、薬品濃度、温度、電流・電圧の条件を組み合わせて最適条件を見いだしている。完成品の外観は良好で、半田付け性、電気伝導性、密着性、耐食性などを検査し、顧客ニーズの性能を満たしてメーカー認定を取得した。

  • 加工機ニッケル・金めっき加工ラインめっき槽
  • その他熱交換器精密濾過装置純水製造器局所排気装置熱風循環乾燥器検査用簡易クリーンルーム

新しい製品・サービス:パワー半導体基板向けの高精度ニッケル・金めっき装置および精密めっきライン

事業の効果

パワー半導体基板のめっき試作を初めて行い、外観は良好で、半田付け性、電気伝導性、密着性、耐食性などの検査で製品の品質は顧客ニーズの性能を十分に満たした。その結果、メーカー認定を取得できた。これにより、自動車部品大手メーカーへの新規参入の見通しが立った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.7 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標良品率100%を目指すとあるが、高付加価値の創出や賃上げに関する数値目標は読み取れない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のめっき加工の実績と、既存技術を活かして新市場のパワー半導体分野へ参入する流れが書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車・新幹線・航空機分野で高成長が見込まれる市場と、50種以上のめっき対応という自社の強みが述べられている。

  • 課題の認識と解決3

    既存ラインでは対応できない課題を認識し、専用の精密めっきラインを新設する方針が書かれているが、数値目標は示されていない。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    良品率100%を目指すとあるが、高付加価値の創出や賃上げに関する数値目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    自社の担当者や体制についての記述はわずかで、事業を遂行する人材体制の具体像は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客は自動車部品大手メーカーで、メーカー認定を取得し品質が顧客ニーズを満たしたとある。ターゲットの位置づけは読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    今後の流れとして視察・監査、量産試作、工程検証の順序が示されているが、期間やスケジュールの具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    パワー半導体のめっき分野は既存設備では困難で、新規参入すると書かれており、高水準の技術を目指す姿勢が読み取れる。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    自動車や航空機、新幹線分野の高電流制御用半導体を支える点に触れているが、国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    高精度めっきと検査用クリーンブースの組み合わせに触れているが、デジタル技術や新ビジネスモデルの記述はない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    パワー半導体分野は高成長が見込まれ、日本の技術力が高いと書かれており、成長分野への進出が読み取れる。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

今後は自動車部品大手メーカーの視察・監査を受けて正式に基板めっきの量産試作を始める。試作品の膜厚や物性を確認しながら工程設計の検証を進め、温度・電流・作業手順を詳細に確認して、量産前に良品を確実に得られる工程を確立する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。