ものづくり補助金平成24年度佐賀県

1トン中周波誘導炉による高性能舶用・小型鋳鉄鋳物の開発・製造力の構築

東亜工機株式会社

成果溶解から鋳込み完了までの時間 3時間/溶解→1時間/溶解

この事例のポイント

  • 小型多品種の鋳物を製造する際、製品ごとに溶湯の成分を精密に制御する必要があるが、現有の3トン中周波誘導炉は正常な溶解操業に少なくとも5トン以上の溶解量が必要で、小型多品種の製造には過大である。
  • 現有の3トン中周波誘導炉に替えて1トン中周波誘導炉を導入し、中速エンジン向け小型シリンダ・ライナの耐摩耗性・強度向上のための合金設計と、船尾管シールライナのシール性向上のための微…
  • 溶解から鋳込み完了までの時間 3時間/溶解→1時間/溶解。1トン中周波誘導炉の導入で製品に応じた最小限の溶湯での製造が可能になり、溶湯成分を高精度に調整でき、高温大気下での溶湯…

事業者のプロフィール

事業者名東亜工機株式会社
所在地佐賀県 鹿島市
技術分野鋳造
従業員数297人
資本金1.56億円

事業の背景

川下ユーザーから中速エンジン向け中小型船舶用シリンダ・ライナを始めとする小型多品種鋳物へのニーズが高い。製品ごとに合金元素や特殊元素を0.01%から0.001%台の範囲で精密制御する必要がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力小型多品種の鋳物を製造する際、製品ごとに溶湯の成分を精密に制御する必要があるが、現有の3トン中周波誘導炉は正常な溶解操業に少なくとも5トン以上の溶解量が必要で、小型多品種の製造には過大である。
  • コスト・採算材料の切り替えに時間がかかり、精度が悪く材料の廃棄ロスにもつながっており、非効率で高コストとなっている。
  • 品質・精度他品種製造前に特殊成分を含まない溶湯で炉を洗浄する必要があり、精度が悪く、川下企業の要求に応えきれない状況にある。

やったこと

現有の3トン中周波誘導炉に替えて1トン中周波誘導炉を導入し、中速エンジン向け小型シリンダ・ライナの耐摩耗性・強度向上のための合金設計と、船尾管シールライナのシール性向上のための微量元素処理の研究を進めた。溶解操業では溶湯成分や溶湯処理効果を精密に制御する技能を磨いた。自社が開発した制振性遠心鋳造法などの特殊鋳造法も活用し、高性能品の製造技術を構築した。

  • 加工機1トン中周波誘導炉新型遠心鋳造機

新しい製品・サービス:中速エンジン向け小型シリンダ・ライナ、船尾管シールライナ、コンプレッサ用合金鋳鉄ライナ

事業の効果

  • 溶解から鋳込み完了までの時間 3時間/溶解→1時間/溶解
  • 製品1トン当たりのエネルギー原単位 853kWh/ton→770kWh/ton

1トン中周波誘導炉の導入で製品に応じた最小限の溶湯での製造が可能になり、溶湯成分を高精度に調整でき、高温大気下での溶湯保持も不要になったため、溶湯性状の品質が高まった。溶解から鋳込みまでの時間が短縮され、エネルギー原単位も下がって省エネ操業が可能になった。新型遠心鋳造機との組合せで生産性が大きく向上し、欧州製品との品質・価格面の優位性が高まって販売拡大につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決3トン炉では約3時間、1トン炉では計約8時間、製品1トン当たり853kWHから770kWHへと課題と効果が数字で示され、実効性の根拠がある。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性川下ユーザーからのニーズや欧州製シリンダライナとの品質・価格面の優位性に触れ、自社の制振性遠心鋳造法を活用する点まで具体的に読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け中小型船舶用シリンダ・ライナの製品特性、国内外エンジンメーカーへの販売推進、欧州製品との品質・価格面の優位性が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員数297人と記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての具体的な記述は読み取れない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性3

    舶用小型鋳鉄品の高機能化ニーズへの対応として1トン中周波誘導炉を設置したと書かれ、過去の遠心鋳造法の取組との関連はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは詳しく書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    川下ユーザーからのニーズや欧州製シリンダライナとの品質・価格面の優位性に触れ、自社の制振性遠心鋳造法を活用する点まで具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    3トン炉では約3時間、1トン炉では計約8時間、製品1トン当たり853kWHから770kWHへと課題と効果が数字で示され、実効性の根拠がある。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産性の大幅向上やコストダウンへの言及はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現可能性を数値で判断しにくい。

  • 事業を進める体制2

    従業員数297人と記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての具体的な記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    中小型船舶用シリンダ・ライナの製品特性、国内外エンジンメーカーへの販売推進、欧州製品との品質・価格面の優位性が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    平成26年度の新型遠心鋳造機増設や販売推進などの時期は示されるが、課題解決の方法を含む詳細なスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    中速エンジン向け小型シリンダ・ライナで高性能品製造を目指す点はうかがえるが、分野の認知度や高価格化の水準は具体的に示されていない。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    川下企業のニーズ、舶用・発電用ガスエンジン部品の供給に触れるが、波及効果や雇用創出についての記述は薄い。

  • 費用対効果4

    投入設備の効果として時間短縮、省エネ原単位、材料ロス削減などが数字で示され、費用対効果の根拠がある。

  • イノベーションへの貢献2

    特殊鋳造法や新型遠心鋳造機の活用は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述は限られる。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    佐賀県鹿島市の事業所であることは分かるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への言及は薄い。

今後の展望

平成26年度に新型遠心鋳造機を増設して生産能力をさらに高め、国内外の舶用エンジンメーカーや発電エンジンメーカーへの販売を推進する計画である。船尾管シールライナの増産、欧州市場の開拓、舶用・発電用各種小型鋳物の製造技術開発と販売促進も進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。