ものづくり補助金平成24年度佐賀県

高トルク用特殊切削装置とヴァーチカル加工の組み合わせによる品質向上と工数低減体制の確立

株式会社伊万里鉄工所

この事例のポイント

  • 現状の設備では顧客から依頼された加工ができず、新規受注できない状態にあった。
  • 強度・仕様・加工法案などを検証し、アタッチメントの粗図を作成して東芝機械と打合せを行い、製作可能との判断を得た。
  • アタッチメントとヴァーチカル加工により、異形物の加工や硬度の高い材料への対応が可能となり、仕上がり精度が向上して手仕上げ時間が削減された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社伊万里鉄工所
所在地佐賀県 伊万里市
業種はん用機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数84人
資本金1億円

事業の背景

製鉄業界の再編による設備投資の減少と造船不況により、製鉄機械部分品や舶用艤装品の仕事量が大幅に減少していた。一方、原子力発電所の停止に伴い火力発電プラントの建造が強含みに推移し、発電プラント工事は主力業務の一つとして仕事量が増加傾向にあり、社内稼働時間の半分超に推移している。会社としては発電プラント工事を継続受注して落ち込みを補い、売上の反転回復を目指していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力現状の設備では顧客から依頼された加工ができず、新規受注できない状態にあった。
  • 品質・精度高品質と短納期に対応できる生産体制が確立されておらず、同業他社との差別化ができていなかった。

やったこと

強度・仕様・加工法案などを検証し、アタッチメントの粗図を作成して東芝機械と打合せを行い、製作可能との判断を得た。東芝機械で粗図・仕様・諸条件を検討し設計とシミュレーションを実施し、結果が良好だったため構造・仕様・素材の詳細を最終検討して試作のアタッチメントを開発した。弊社主力機である門形マシニングセンタに試作品を装着し、東芝機械の立会いのもとでテスト加工を行った。社内教育としてアタッチメントの使用方法と加工法案を指導し、試験材でテスト加工を実施して特徴と加工法案を習熟させた。顧客から提出された図面を元に加工内容を検討し、プログラミング、機上段取り、図面どおりの切削加工を行い、精度と工数を検証した。

  • 加工機高トルク用特殊切削装置アタッチメント

新しい製品・サービス:高トルク用特殊切削装置を用いたヴァーチカル加工

事業の効果

アタッチメントとヴァーチカル加工により、異形物の加工や硬度の高い材料への対応が可能となり、仕上がり精度が向上して手仕上げ時間が削減された。段取り回数が減り、工具交換や反転作業の短縮によって対象工事の工数低減が見込まれ、初年度10%、翌年以降15%の工数低減を計画している。独自の装備と技術により継続受注や一括受注が可能となり、他社との差別化と業界での優位性の確保につながると見込まれる。顧客満足度の向上により、他製品の加工も依頼される可能性がある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標初年度10%、翌年以降15%の工数低減と、計画受注台数(初年度4台、次年度6台)が数字で示されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性製鉄機械の仕事量減少と火力発電プラント建造の増加を数字込みで示し、高品質・短納期による優位性確保を外部環境と結びつけて説明している。
  • 4
    課題の認識と解決加工できないため新規受注できない課題を明示し、アタッチメントで解決する方針を示している。工数低減の具体的な効果も記載がある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    新しさ・高付加価値ヴァーチカル加工は差別化の手段として書かれているが、分野の普及度や高価格化の水準は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    発電プラント工事の継続成長とこれまでの下請け加工の延長で、差別化を目指す方向性は読み取れるが、過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    製鉄機械の仕事量減少と火力発電プラント建造の増加を数字込みで示し、高品質・短納期による優位性確保を外部環境と結びつけて説明している。

  • 課題の認識と解決4

    加工できないため新規受注できない課題を明示し、アタッチメントで解決する方針を示している。工数低減の具体的な効果も記載がある。

事業の実現可能性4.0
  • 付加価値・賃上げの目標5

    初年度10%、翌年以降15%の工数低減と、計画受注台数(初年度4台、次年度6台)が数字で示されている。

  • 事業を進める体制4

    オペレーター数名とプログラマー1名の体制や、オペレーター教育、地元高校からの採用計画が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    異形物や高硬度材への対応、段取り回数の削減など、顧客に選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    粗図作成から試作、テスト加工、検証、他部品への展開までの工程が順序立てて記載されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    ヴァーチカル加工は差別化の手段として書かれているが、分野の普及度や高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    発電プラント工事の継続成長に触れているが、経済波及効果や雇用創出の規模は示されていない。

  • 費用対効果4

    工数低減率と計画受注台数が示され、投入額に対する効果を測る材料は揃っている。ただし投資額と付加価値額の数字はない。

  • イノベーションへの貢献2

    独自の装置・技術による加工方法の改善は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は読み取れない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    火力発電プラント建造への進出や、エネルギー分野の成長に触れているが、構造転換への言及は限定的。

  • 地域経済への波及2

    地元高校からの採用計画が記載されているが、地域の特性を活かした付加価値の創出までは示されていない。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。