ものづくり補助金平成24年度佐賀県

食品機械に使用するプレス加工品の鉄粉及び油分除去装置の試作・開発

株式会社中島製作所

この事例のポイント

  • 製品単価を下げるため、再加熱カートに使う社内製作のプレス部品の製作コストを削減する必要がある。
  • マイクロ高圧純水洗浄を、40℃のろ過水噴射とブラシ洗浄1回に変更し、油分・鉄粉の除去効果を高めた。
  • プレス品の油分・鉄粉を完全に除去できるようになり、食の安全を保証できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社中島製作所
所在地佐賀県 佐賀市
業種金属製品製造業
技術分野プラスチック成形加工
資本金2,000万円
設立1925年

事業の背景

当社は大正14年の創業以来、下請けとしてプレス加工、機械加工、精密板金、溶接、組立の技術を蓄積してきた。平成元年に約7億円だった売上はリーマンショック直前に約3倍の20億円まで伸びたが、その後の不況で約7億円まで減少した。新興国の台頭により製造業のコスト削減圧力も強まり、構造の転換が必要になっている。2010年から自社製品開発チームを立ち上げ、保温カートやマイクロ波再加熱カートを開発して販売を始めた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算製品単価を下げるため、再加熱カートに使う社内製作のプレス部品の製作コストを削減する必要がある。
  • 品質・精度プレス品に付着した油分や鉄粉などの異物を完全に除去できず、食品を収納する部分での食の安全を確保しきれない。
  • その他従来の有機溶剤による拭き取りは毒性や環境負荷の懸念があり、作業場所の隔離や換気設備に多額の投資が必要で、採用が困難である。

やったこと

マイクロ高圧純水洗浄を、40℃のろ過水噴射とブラシ洗浄1回に変更し、油分・鉄粉の除去効果を高めた。剥離した油分や鉄粉はフィルターで回収し、処理水は温水ろ過を4段階行って再生・回収する。洗浄後の製品は上下からエアーナイフを2段階に分けて当てて完全に乾燥させ、ワークを自動で搬出する。これらを自動搬送ライン上で連続して行う油分・鉄粉の自動除去装置を試作した。

  • その他鉄粉・油分の除去装置洗浄装置自動搬送ライン温水精製装置

新しい製品・サービス:マイクロ波再加熱カート(既存機を超える加熱技術を佐賀大学と共同開発中)

事業の効果

プレス品の油分・鉄粉を完全に除去できるようになり、食の安全を保証できるようになった。作業を自動化したことで拭き上げ作業が不要となり、部品のコストを削減できた。有機溶剤を一切使わなくなったため、環境への影響や作業時の安全上の問題も解決した。計画どおりの能力を持つ洗浄機が完成した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性創業以来のプレス・機械加工の蓄積から自社製品開発へ移行し、マイクロ波再加熱カート開発に一貫性があると読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決部品コスト削減と異物完全除去という課題を明示し、洗浄装置で解決する計画が具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け製品の安全性や環境負荷低減といった価値と、市場規模・目標販売台数の数値による裏付けが示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制大学との共同開発や過去の受賞に触れるが、本事業を遂行する人員や体制の具体的記述は少ない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来のプレス・機械加工の蓄積から自社製品開発へ移行し、マイクロ波再加熱カート開発に一貫性があると読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    他社との差別化は多種少量・短納期対応とあるが、市場における優位性を裏付ける数値は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    部品コスト削減と異物完全除去という課題を明示し、洗浄装置で解決する計画が具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    販売台数は年50〜100台と示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    大学との共同開発や過去の受賞に触れるが、本事業を遂行する人員や体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    製品の安全性や環境負荷低減といった価値と、市場規模・目標販売台数の数値による裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋4

    成果として残課題(最小ワーク搬送、ランニングコスト削減)を挙げ、改善を続けて事業化する方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    マイクロ波加熱を用いた業界初・世界初の再加熱機と特許出願があり、新規性の高さが具体的に示されている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    医療・福祉分野向け開発型企業への転換を掲げるが、雇用創出や波及効果の定量的記述はほぼない。

  • 費用対効果3

    部品コスト削減や拭き上げ工程の廃止に触れるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    マイクロ波加熱やエアーナイフ等の技術は使われるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    医療・福祉分野への進出と下請けからの脱却が語られ、構造転換への意図がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    佐賀県の企業として地域に立地するが、地域特性を活かした経済成長への言及は薄い。

今後の展望

今後は最小ワーク(80×80程度)をスムーズに搬送することと、ランニングコストを下げることが事業化の主な課題である。補助事業終了後も改善を進めて事業化を目指す。マイクロ波再加熱カートの市場規模は1000台から3000台へ拡大する見込みで、当社の目標販売台数は年50台から100台としている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。