ものづくり補助金平成24年度長崎県

階段や坂を歩きやすくする、カーボン式膝装具の油圧膝継手の開発

株式会社長崎かなえ

この事例のポイント

  • 従来の金属とプラスチック製の下肢装具はオーダーメイドで重く、製作に時間がかかっていた。
  • 膝をゆっくり曲げ、立脚期には膝を止める油圧式膝継手を開発し、軽量なカーボン製長下肢装具に搭載することを目指した。
  • 油圧膝継手により、高齢者や脳卒中などの障害者が膝折れなく平地や坂道、階段を歩けるようになる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社長崎かなえ
所在地長崎県 長崎市
業種その他の製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数42人
資本金1,000万円
設立1954年

事業の背景

当社は昭和29年創業の義肢装具製作所で、義肢、装具、車椅子などの福祉用具を製作している。日本では毎年25万人が脳卒中を発症し、高齢化により変形性膝関節症や筋力低下による歩行困難者も年々増加しており、特に坂道や階段の昇降に大きな苦労を強いられている。当社が開発した片側支柱で軽量かつ簡単に装着できるカーボン製長下肢装具は病院や患者に好評を得ている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の金属とプラスチック製の下肢装具はオーダーメイドで重く、製作に時間がかかっていた。
  • 品質・精度脳卒中の患者は退院後に膝を固定した歩行が多く、正常歩行訓練が早期から行えないため、リハビリ期間の延長や異常歩行が懸念されていた。
  • 新製品・新技術膝の油圧制御機能を持つ軽量なカーボン製長下肢装具はまだ試作段階で、ロック機能、サイズダウン、コストダウンに課題があった。

やったこと

膝をゆっくり曲げ、立脚期には膝を止める油圧式膝継手を開発し、軽量なカーボン製長下肢装具に搭載することを目指した。油圧装置としてロータリーシリンダーとレシプロシリンダーを試作し、制御方法と各方式の有効性を確認した。ロータリー式は長崎大学工学部等との連携により試作した。レシプロ式は自社の従来実績を延長して小型化を図った。ロック機能を有しイールディング(屈曲抵抗)と切り替え可能な試作品を作り、フレームの強度向上も試みた。病院での臨床試験を通じて改善点を把握した。

  • その他ロータリーシリンダー式油圧膝継手レシプロシリンダー式油圧膝継手

新しい製品・サービス:油圧式膝継手を搭載したカーボン製長下肢装具。ロータリー式で電子制御を有する小型軽量の長下肢装具として製品化を目指す。

事業の効果

油圧膝継手により、高齢者や脳卒中などの障害者が膝折れなく平地や坂道、階段を歩けるようになる。階段や斜面地でも屋外活動がしやすくなり、外出の動機づけが期待できる。個々の体型に合わせて採型するため、足にフィットし軽量で違和感の少ない製品を提供できる。今回の開発で課題を把握でき、今後の開発の方向性と製品化の可能性を見いだせたことは大きな成果である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性昭和29年創業の義肢装具製作所で、カーボン製長下肢装具の実績を延長して油圧膝継手を開発している点が具体的に書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決金属・プラスチック製の重さや製作時間の課題を挙げ、油圧膝継手で正常歩行訓練を急性期から可能にする解決策が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け脳卒中急性期病院で簡単に装着できる長下肢装具のニーズが高いと述べ、小型・軽量・低コストが求められると顧客ニーズを具体的に示している。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標2年間を目途に小型ロータリー式で電子制御を有する長下肢装置を開発・製品化するとあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和29年創業の義肢装具製作所で、カーボン製長下肢装具の実績を延長して油圧膝継手を開発している点が具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    片側支柱で軽量、簡単に装着できるカーボン製長下肢装具が病院や患者に好評とあるが、市場規模や競合との比較は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    金属・プラスチック製の重さや製作時間の課題を挙げ、油圧膝継手で正常歩行訓練を急性期から可能にする解決策が示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    2年間を目途に小型ロータリー式で電子制御を有する長下肢装置を開発・製品化するとあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    長崎大学工学部との連携や病院での臨床試験に触れているが、人材や事務処理体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    脳卒中急性期病院で簡単に装着できる長下肢装具のニーズが高いと述べ、小型・軽量・低コストが求められると顧客ニーズを具体的に示している。

  • 事業化までの道筋3

    課題としてロック機能の確立、小型軽量化、サイズダウン等を挙げ、今後の改良と2年間の開発期間の方向性は示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    油圧制御を組み込んだ膝継手は従来の金属・プラスチック製装具と異なり、急性期歩行訓練を変える革新的な製品と評価されている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    脳卒中患者や高齢者の屋外活動促進や外出の誘因になると述べられているが、経済波及や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    リハビリ期間の短縮や異常歩行の回避に有効とあるが、投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    長崎市の企業として福祉用具を製作してきたことは書かれているが、地域特性を活かした雇用や成長への言及は乏しい。

今後の展望

足関節角度制御、踵接地制御、ジャイロによる傾斜制御などの油圧制御開発を進める。2年を目途に小型ロータリー式で電子制御を有する長下肢装置を開発・製品化し、病院や患者の需要に応えて受注につなげたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。