ものづくり補助金平成24年度長崎県

熟練技術者に頼らない研削砥石の切れ刃自動検査装置開発で新市場開拓

菱計装株式会社

この事例のポイント

  • ダイヤモンド研削砥石の品質確認は熟練技術者の目視と触感で行われており、品質にばらつきがあることが問題になっていた。
  • 佐世保高専の研究者が考案した、砥粒切れ刃の数値データ化技術を基に検査装置を開発した。
  • 展示会出展後、自動車部品メーカーの担当者から当社に直接問い合わせが来ている。

事業者のプロフィール

事業者名菱計装株式会社
所在地長崎県 長崎市
業種電気機械器具製造業
技術分野繊維加工
従業員数130人
資本金1,000万円
設立1969年

事業の背景

当社は昭和44年に安達商店株式会社から分離独立して設立された電気機械器具製造メーカーである。事業の柱は防衛機器、発電プラント、宇宙機器、特殊金属溶接技術の4つである。ダイヤモンド研削砥石は精密部品の製作に広い分野で使われているが、品質確認は長年熟練技術者の経験に頼ってきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ダイヤモンド研削砥石の品質確認は熟練技術者の目視と触感で行われており、品質にばらつきがあることが問題になっていた。

やったこと

佐世保高専の研究者が考案した、砥粒切れ刃の数値データ化技術を基に検査装置を開発した。砥石の加工寄与表面に配置された微細な砥粒の状態を全自動画像取得用カメラで撮影し、パソコンに取り込んで砥粒切れ刃の特性を自動解析し、数値データ化する仕組みである。当社が砥粒解析ハードウエアの開発を担当し、画像処理ソフトウエアは専門の外注先会社と協議しながら開発を進めた。その他に外注先企業5社の協力も得た。平成27年4月に社長直轄の「特命開発室」を設置し、スタッフ4人を配属して、研削砥石検査装置の研究開発と商品化を同室で推進した。基本型が完成し、PR機として販促活動に使用した。

  • 検査測定研削砥石検査装置全自動画像取得用カメラ

新しい製品・サービス:研削砥石検査装置

事業の効果

展示会出展後、自動車部品メーカーの担当者から当社に直接問い合わせが来ている。砥石メーカーには派生型の検査装置を1台納入できた。佐世保高専の考案者からは次の技術の共同開発と事業化の提案が来ている。既存の高倍率光学顕微鏡は微小エリアを目視観察するもので、数値データとして取得できないため競合しない。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    事業を進める体制特命開発室にスタッフ4人が配属され、高専研究者や画像処理ソフト会社、外注先5社との協議・協力体制が具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け熟練者目視のムラという課題、展示会での自動車部品メーカーからの問い合わせ、砥石メーカーへの納入など、ターゲットとニーズの裏付けが書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値従来は目視で、類似装置は高倍率顕微鏡しかなく数値化できる競合製品はないとし、新市場を開拓する点が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値の増加や賃上げの目標値は書かれておらず、砥石メーカーへの1台納入などの実績がわずかにうかがえるのみである。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    防衛・発電・宇宙・溶接など培った技術を駆使する取組で、特命開発室での推進とあるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    熟練者の目視検査によるムラという課題と、自動車部品・電子半導体の成長市場、展示会での問い合わせに触れており、外部環境の認識はある程度読める。

  • 課題の認識と解決3

    熟練者目視によるムラを課題として認識し、画像取得と数値化で解決する方針を示しているが、高付加価値化や成長の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加や賃上げの目標値は書かれておらず、砥石メーカーへの1台納入などの実績がわずかにうかがえるのみである。

  • 事業を進める体制4

    特命開発室にスタッフ4人が配属され、高専研究者や画像処理ソフト会社、外注先5社との協議・協力体制が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    熟練者目視のムラという課題、展示会での自動車部品メーカーからの問い合わせ、砥石メーカーへの納入など、ターゲットとニーズの裏付けが書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    PR機から砥石メーカー向け型、加工機メーカー向け型、高機能型へ順次発展させる段階が示されているが、期間や詳細な方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    従来は目視で、類似装置は高倍率顕微鏡しかなく数値化できる競合製品はないとし、新市場を開拓する点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    自動車部品や電子半導体の成長産業への波及、市場の急速な拡大への期待がわずかに触れられている程度である。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    画像取得カメラとパソコンによる砥粒切れ刃の自動解析・数値データ化という先端的なデジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    成長産業である自動車部品・電子半導体の市場開拓に触れているが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

砥石による加工対象は自動車部品、電子半導体などの成長産業が主力と考えられ、その他の砥石ユーザーを含めると市場性は有望である。砥石メーカーからの要請でプロトタイプ機によるデータ提供も行われており、潜在ニーズは大きいと推測される。今後は砥石メーカー向け型、加工機メーカー向け型、砥石加工性能予測機能を備えた高機能型へ順次発展させる考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。