ものづくり補助金平成24年度長崎県

再生可能エネルギー利用に資する施設園芸用低コストチップボイラーの開発

株式会社三基

成果含水率20%でkg当たり21.5円のチップを使用し、重油ボイラーと比較して45%の燃料費削減を達成した。

この事例のポイント

  • 施設園芸農家では石油価格の高騰により重油ボイラーのコストが増加し、経営上の大きな課題となっている。
  • 木質バイオマスボイラーで培った技術を基に詳細設計を行い、高含水率燃料への対応、農作物の生育状況に応じた温度調節機能、限られたビニールハウス内への設置を重点に検討した。
  • 含水率20%でkg当たり21.5円のチップを使用し、重油ボイラーと比較して45%の燃料費削減を達成した。試作機は軽量化とコンパクト化に成功し、ビニールハウス内に設置しやすくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社三基
所在地長崎県 長崎市
業種施設工事業
技術分野金属プレス加工
従業員数84人
資本金2億円
設立1951年

事業の背景

当社は昭和26年創業で、木質燃料を利用したバイオマスボイラーを製造・販売している。施設園芸農家では重油ボイラーのコスト増が大きな経営課題となっている。長崎県は安価な木質チップを燃料とするチップボイラーに着目し、当社に温風ボイラーの研究開発を依頼した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力施設園芸農家では石油価格の高騰により重油ボイラーのコストが増加し、経営上の大きな課題となっている。
  • コスト・採算ペレットボイラーは近年出始めているものの、燃料費の削減効果があまり期待できない。
  • 新製品・新技術木質チップは重油価格の約1/3と安価だが、木質チップの質が不安定で安定燃焼が難しいという課題があった。

やったこと

木質バイオマスボイラーで培った技術を基に詳細設計を行い、高含水率燃料への対応、農作物の生育状況に応じた温度調節機能、限られたビニールハウス内への設置を重点に検討した。製作は協力会社で試作機を完成させた。長崎県農林技術センターでメロンを栽培して性能試験を行い、燃焼試験、チップの形状や含水率の検討、設定温度に対する加温能力の検討、ハウス内植物への影響調査、管理作業時間の検討を実施した。実証試験(4か月)の結果を基に、プログラム変更により燃焼性能と操作性を改良し試作機を完成させた。

  • 加工機木質チップ温風ボイラー施設園芸用低コストチップボイラー

新しい製品・サービス:木質チップを燃料とする施設園芸用低コストチップボイラー(温風ボイラー)

事業の効果

  • 含水率20%でkg当たり21.5円のチップを使用し、重油ボイラーと比較して45%の燃料費削減を達成した。

試作機は軽量化とコンパクト化に成功し、ビニールハウス内に設置しやすくなった。燃焼制御能力が向上し、高燃焼・低燃焼・停止モードの切り替えが迅速になり、栽培作物の生育に影響を与えない。木質チップサイロは燃料補充の手間を軽減する構造で、乾燥式サイロにより含水率の高い燃料にも対応し、竹チップも燃焼可能な耐久性を備えた。木質チップ使用により間伐材の有効活用と森林保護につながる環境保全事業としても評価される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性重油価格高騰と木質チップが重油の1/3程度という外部環境、既存のバイオマス技術を基にした詳細設計が書かれ、強みの活用が具体的に読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け施設園芸農家向けの低コスト暖房として、燃料費45%削減、設置のコンパクト化、含水率対応など、顧客と選ばれる理由が具体的に示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値木質チップを使う施設園芸用温風ボイラーという分野で、重油比の燃料費削減と温室みかんの色づき効果が示され、新しい分野であることが読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額の増加や賃上げの目標値は書かれていない。燃料費削減率45%は示されるが、付加価値の目標とは言えない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    バイオマスボイラーの製造・販売の既存事業から木質チップ温風ボイラーへ参入したと書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえる。経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    重油価格高騰と木質チップが重油の1/3程度という外部環境、既存のバイオマス技術を基にした詳細設計が書かれ、強みの活用が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    農家の重油コスト増という課題と、含水率20%のチップで重油比45%の燃料費削減という効果は書かれている。事業計画としての高付加価値化や成長の道筋は薄い。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加や賃上げの目標値は書かれていない。燃料費削減率45%は示されるが、付加価値の目標とは言えない。

  • 事業を進める体制3

    製作協力会社や長崎県農林技術センターとの試験、新連携事業への取組が書かれ、外部連携の体制はうかがえる。人材や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    施設園芸農家向けの低コスト暖房として、燃料費45%削減、設置のコンパクト化、含水率対応など、顧客と選ばれる理由が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    4ヶ月の実証試験、改良、普及協議会の設立、2014年度の新連携事業での機種改良など、今後の段取りが書かれている。詳細なスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    木質チップを使う施設園芸用温風ボイラーという分野で、重油比の燃料費削減と温室みかんの色づき効果が示され、新しい分野であることが読み取れる。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    間伐材の有効活用、森林保護、循環型農業施設機械としての普及が書かれ、国が支援する波及効果の理由は具体的に読み取れる。

  • 費用対効果4

    含水率20%のチップで重油ボイラーに比べ燃料費を45%削減できたと数字で示され、費用対効果の根拠がある。

  • イノベーションへの貢献2

    燃焼制御やサイロ構造など技術の改良は書かれるが、先端的なデジタル技術の活用や地域サプライチェーンへの貢献は明記されていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    再生可能エネルギーの利用や新事業への参入は書かれるが、日本経済の構造転換や成長分野への進出という位置付けは明記されていない。

  • 地域経済への波及4

    長崎県が支援し、南島原市の温室みかん調査、施設園芸用低コスト木質チップボイラー普及協議会の設立など、地域の特性を活かした取組が具体的に書かれている。

今後の展望

長崎県南島原市の温室みかんでの生育影響調査では、重油ボイラーより色づきや糖度が早く増す効果も出ている。施設園芸用低コスト木質チップボイラー普及協議会を立ち上げ普及を支援する体制を取っており、販路は農家個別より行政や同じ農産品目の農業団体が主な対象になると期待される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。