ものづくり補助金平成24年度大分県

パワーデバイス新パッケージ試作開発事業

大分デバイステクノロジー株式会社

この事例のポイント

  • 電力制御の高度化に欠かせないパワーデバイスの新パッケージ開発が遅れている。
  • パワーデバイスの試作開発にあたり、従来のシリコンに代えてシリコンカーバイドを材料に採用した。
  • 国内半導体メーカーからパッケージの試作品を受注しており、今年からは容量の大きいパッケージにも取り組み始めた。

事業者のプロフィール

事業者名大分デバイステクノロジー株式会社
所在地大分県 大分市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数120人
設立1970年

事業の背景

1970年に東芝大分工場の協力工場として半導体パッケージング後工程の下請けで操業を開始し、半導体アセンブリ・パッケージング分野で技術を磨いてきた。半導体業界の再編が激化するなか、受託生産サービス、太陽光発電のメンテナンスなどの省エネルギー推進事業、CO2削減に貢献する環境ビジネス事業を展開してきた。新車販売に占める次世代自動車は現状50台に1台程度で、経済産業省の研究会では2020年に15〜20%、2030年に20〜30%の普及拡大を見込んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術電力制御の高度化に欠かせないパワーデバイスの新パッケージ開発が遅れている。
  • 販路・情報発信次世代自動車市場に販路を求めたいが、半導体業界の再編が激化するなかで新たな事業領域が必要になっている。
  • 生産能力多品種の顧客ニーズに短納期で応じられるよう、少量多品種の製造ラインを構築する必要がある。

やったこと

パワーデバイスの試作開発にあたり、従来のシリコンに代えてシリコンカーバイドを材料に採用した。シリコンカーバイドは絶縁破壊電界強度がシリコンの10倍、バンドギャップが3倍で、通常のシリコンが150℃が限界なのに対し200℃以上で動作する。チップは国立研究開発法人産業技術総合研究所つくばセンターから提供を受け、産総研と共同研究の形で開発を進めた。扱う電流が50〜100アンペアと大きいため、SOPパッケージでは金線ワイヤボンディングや樹脂ペーストによるダイアタッチの対応に苦労し、モールド封止樹脂などの組立材料も初めて扱うものが多かった。耐久試験まで行い、第一工場内に試作ラインを設置した。

  • その他パワーデバイス試作ライン

新しい製品・サービス:パワーデバイスの新パッケージ(シリコンカーバイド採用)

事業の効果

国内半導体メーカーからパッケージの試作品を受注しており、今年からは容量の大きいパッケージにも取り組み始めた。パワーデバイスの試作開発に現段階で取り組んでいる中小企業は国内でも少なく、九州では同社のみである。この成果により業界の先陣をきって市場に参入し、新たな事業展開の足がかりを得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.4 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1970年からの半導体パッケージング後工程の歴史と、SOPパッケージ製造の蓄積が書かれ、パワーデバイス参入がその延長にあると読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性次世代自動車の普及見込み(2020年15~20%、2030年20~30%)と、九州で取り組む企業が当社のみという競争上の位置づけが書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け対象顧客は自動車向け電力制御回路、電力変換機メーカーと明確で、SiCの絶縁破壊電界強度10倍などの特徴も示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかにうかがえるのみ。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    1970年からの半導体パッケージング後工程の歴史と、SOPパッケージ製造の蓄積が書かれ、パワーデバイス参入がその延長にあると読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    次世代自動車の普及見込み(2020年15~20%、2030年20~30%)と、九州で取り組む企業が当社のみという競争上の位置づけが書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    半導体業界の再編激化という課題と新事業参入の方向性は書かれるが、付加価値向上の数値目標や計画の具体性は薄い。

事業の実現可能性3.3
  • 付加価値・賃上げの目標ー

    公開情報では判断できません。

  • 事業を進める体制3

    産総研への技術者出向や共同研究体制、第一工場内の試作ラインという体制の記述はあるが人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    対象顧客は自動車向け電力制御回路、電力変換機メーカーと明確で、SiCの絶縁破壊電界強度10倍などの特徴も示されている。

  • 事業化までの道筋3

    容量の大きいパッケージへの取り組みや販路拡大の計画は書かれるが、スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    SiCを採用しパワーデバイス新パッケージを試作するのは、当時注目企業の少ない分野への先行的な取り組みと書かれている。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    電気自動車やインバーターの省電力化への寄与、次世代自動車市場の拡大が書かれ、国の戦略研究会の見込みも引用されている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかにうかがえるのみ。

  • イノベーションへの貢献4

    SiC材料を産総研と共同開発したことは、産学連携によるサプライチェーン上のイノベーションへの貢献をうかがわせる。

政策面3.0
  • 成長分野への進出4

    次世代自動車市場と省電力化への進出が書かれ、成長分野への構造転換に資する取り組みと読める。

  • 地域経済への波及2

    大分県大分市という立地は書かれるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済成長への言及は乏しい。

今後の展望

電力変換器のアプリケーションメーカー等を対象に販路を拡大し、有効性を確かなものにしていく計画である。また、高圧電源(パルス電源)を利用したレーザー装置など、ニッチな分野に絞って材料メーカーと共同研究を進め、技術レベルを高めていく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

宮城県平成24年度

超抗菌ニッケルめっきの事業化

神戸製鋼所の抗菌めっき技術を導入し、自社で性能検証を行ったうえで、試作設備(100L槽と付帯設備)を設置・稼働させた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。