ものづくり補助金平成24年度宮崎県

真空包装機導入と加熱による食品の品質・消費期限の向上及び差別化

有限会社原口水産

成果包装資材の半減

この事例のポイント

  • 魚離れが進む中、家庭で調理不要で温めるだけで食べられ、主菜と副菜を手軽に摂れて小分け保存できる商品へのニーズに応える必要があった。
  • 深絞り真空包装機を導入し、生産効率と真空パックの処理スピード(1時間当たりの処理数)を重点に機種を選定した。
  • 包装資材の半減。真空パック工程の改善が進み、食品面では食感の向上と消費期限の向上が図られた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社原口水産
所在地宮崎県 都城市
業種食料品製造業
技術分野溶接
設立1992年

事業の背景

当社は宮崎県都城市に本社を置き、水産加工品(惣菜品)の製造販売を主体に、西日本を中心としたスーパーマーケット及び全国の生協向けに事業展開している。創業当初(平成4年)は魚を三枚おろしにして味付けし切身加工するなど一次加工を主に行い、販売先は主に学校給食や弁当屋だった。その後、焼く・煮る・揚げるといった水産物惣菜(そのまま食べられる商品)を中心とした製品づくりに方向を定めた。一方で昨今は魚離れが進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力魚離れが進む中、家庭で調理不要で温めるだけで食べられ、主菜と副菜を手軽に摂れて小分け保存できる商品へのニーズに応える必要があった。
  • 品質・精度学校給食の魚の塩焼きを小型魚用の焼き機で調理したところ、焼き目などがうまくいかなかった。
  • コスト・採算これまでの経営課題を解決するため、真空パック工程の改善と包装資材の削減が必要だった。

やったこと

深絞り真空包装機を導入し、生産効率と真空パックの処理スピード(1時間当たりの処理数)を重点に機種を選定した。焼き魚やアジ南蛮などを真空パックし、新鮮野菜の食感(シャキシャキ感)の確認を繰り返すとともに、離水(ドリップ)度合いと製品の劣化速度を検証した。真空パックした製品を高温の熱湯に数時間浸けて骨を柔らかくし、そのまま食べられる商品の試作開発に取り組んだ。試作品は小アジの南蛮漬、ブリ大根、カレイの甘酢あんかけなどで、カット野菜や味付調味料を組み合わせた製造工程を確立した。

新しい製品・サービス:カレイの甘酢あんかけ(3袋入)

事業の効果

  • 包装資材の半減
  • 予想売上高の約2.5倍の発注数

真空パック工程の改善が進み、食品面では食感の向上と消費期限の向上が図られた。コスト面では一口サイズへの小分けや包装資材の半減が可能になり、経営課題を解決できた。カレイの甘酢あんかけが生活協同組合に採用され、予想売上高の約2.5倍の発注を受けた。さらに次期商品として秋鮭と白身魚の甘酢あんかけのオファーも受けた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性平成4年の一次加工から、大型魚焼き機導入を機に焼き魚・揚げ物の調理品へ転換した経緯があり、一貫した事業転換の流れが読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け生協に採用された理由として安心安全な国内製造、個食対応、野菜入り、値頃感が整理され、顧客ニーズとの対応が明確。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標予想売上高の約2.5倍の発注を受けたとの記述はあるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    平成4年の一次加工から、大型魚焼き機導入を機に焼き魚・揚げ物の調理品へ転換した経緯があり、一貫した事業転換の流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    家庭での魚離れというニーズを捉え、真空包装と加熱で手軽に食べられる商品を開発しており、外部環境に対応した方向性がある。

  • 課題の認識と解決3

    魚離れ、面倒な調理、におい等の課題を整理し、消費期限延長と小分け化で課題解決を図る計画になっている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    予想売上高の約2.5倍の発注を受けたとの記述はあるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    機種選定や試作検証を行ったことは書かれているが、実施体制や人材、事務処理能力についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    生協に採用された理由として安心安全な国内製造、個食対応、野菜入り、値頃感が整理され、顧客ニーズとの対応が明確。

  • 事業化までの道筋3

    今後の生産体制見直し、コンビニやドラッグストアへの販路開拓など、今後の取組方向は示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    焼き魚の家庭向け温めるだけの商品は一般的に普及しておらず、個食・主菜副菜セットとして差別化された商品と読み取れる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    魚離れという社会課題への対応や、生協・小売りへの販路拡大による雇用や需要創出の可能性が示されている。

  • 費用対効果2

    包装資材の半減や小分け化によるコスト面の効果は触れられているが、投入額に対する付加価値増加などの数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    深絞り真空包装機の導入と加熱による製品化は述べられているが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの波及は弱い。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    食の簡便化・個食化という市場変化に対応しているが、日本経済の構造転換への言及は弱い。

  • 地域経済への波及3

    宮崎県都城市の地元水産加工業者として、地域の水産物を用いた商品を全国展開しており、地域の事業としての位置づけがある。

今後の展望

生活協同組合から簡便商品の開発を求められており、新たな製品開発要請の増加を見込んでいる。現行の生産体制と設備を見直し、個食ニーズへの対応と受注や製品開発依頼に応える事業の再構築に取り組む。またコンビニエンスストアやドラッグストアへの販路開拓も進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。