ものづくり補助金平成24年度鹿児島県

「中空糸バイオリアクター」によるアンモニア態窒素除去システムの自動制御プログラム開発

株式会社栄電社

この事例のポイント

  • 窒素排水基準の対象事業者には中小零細の養豚業者などが多く、広い設置スペースが必要で高コストな窒素除去装置の導入が困難だった。
  • パイロットプラント試験機(硝化/脱窒連続処理)で、高濃度アンモニア性窒素の人工排水による試験を行った。
  • 硝化/脱窒連続処理では窒素濃度が1,000mg/L程度まで処理できた一方、脱窒/硝化循環処理では1,800mg/L程度まで無希釈で処理できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社栄電社
所在地鹿児島県 鹿児島市
業種管工事業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数42人
資本金2,000万円
設立1978年

事業の背景

平成13年の水質汚濁法改正で窒素排水基準が施行された。しかし対象事業者には中小零細の養豚業者などが多く、設置スペースが広く高コストな窒素除去装置は導入しにくかった。再生可能エネルギー固定買取価格制度によりバイオガス発電が急増し、窒素放流基準を満たす安価な装置の役割が大きくなった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算窒素排水基準の対象事業者には中小零細の養豚業者などが多く、広い設置スペースが必要で高コストな窒素除去装置の導入が困難だった。
  • 品質・精度メタン発酵排水は有機炭素源を多く含み、脱窒/硝化循環方式は循環ポンプの正確な制御が必要で、システム全体の硝化・脱窒の活性低下がプロセス全体に影響した。

やったこと

パイロットプラント試験機(硝化/脱窒連続処理)で、高濃度アンモニア性窒素の人工排水による試験を行った。窒素の除去状況を各種計測器で測定し、状況に合わせて制御するPLCプログラムを開発した。メタン発酵消化液処理試験機(脱窒/硝化循環処理)では、熊本からメタン発酵消化液の実排水を輸送し、連続供給試験を行った。同試験機で、最適な窒素除去率を維持できる自動制御プログラム(PLCプログラム)の開発に取り組んだ。

  • その他パイロットプラント試験機硝化/脱窒連続処理メタン発酵消化液処理試験機脱窒/硝化循環処理
  • ソフト自動制御プログラムPLCプログラム
  • 検査測定各種計測器

新しい製品・サービス:アンモニア性窒素除去システム

事業の効果

硝化/脱窒連続処理では窒素濃度が1,000mg/L程度まで処理できた一方、脱窒/硝化循環処理では1,800mg/L程度まで無希釈で処理できた。窒素除去状況に応じて制御するPLCプログラムを開発し、最適な窒素除去率を維持できるようになった。循環方式と連続方式のどちらを選ぶかは、窒素濃度・原水成分・原水流量などから総合的に判断する必要があることがわかった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性窒素除去率を維持する自動制御で、脱窒/硝化循環処理では1,800mg/Lまで無希釈処理できた。強みを具体的数値で示している。
  • 4
    課題の認識と解決中小養豚業者の設置スペースとコストの課題を明確に認識し、中空糸ユニットのコストが顧客ネックと特定して代替素材での改善を計画している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けバイオガスプラントや化学工場から多数の問い合わせがあり、顧客ニーズが裏付けられている。一方で顧客希望価格との折り合いが課題として整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標30〜40%のコストダウン目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現性の根拠も薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    平成13年の水質汚濁法改正への対応として装置開発に取り組み、継続的に改良を続けている点が過去の取組との一貫性を示す。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    窒素除去率を維持する自動制御で、脱窒/硝化循環処理では1,800mg/Lまで無希釈処理できた。強みを具体的数値で示している。

  • 課題の認識と解決4

    中小養豚業者の設置スペースとコストの課題を明確に認識し、中空糸ユニットのコストが顧客ネックと特定して代替素材での改善を計画している。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    30〜40%のコストダウン目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、実現性の根拠も薄い。

  • 事業を進める体制2

    設備工事業の従業員42人の企業であることは示されるが、補助事業の遂行体制や担当の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    バイオガスプラントや化学工場から多数の問い合わせがあり、顧客ニーズが裏付けられている。一方で顧客希望価格との折り合いが課題として整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    全体の約70%を占める中空糸ユニットを特定し、化学繊維での自社製造と設計見直しという解決方法と段階を示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    養豚業者など中小零細向けの安価な窒素除去装置は普及が進んでおらず、バイオガス発電の増加で重要性が高まっている分野である。

公的補助の必要性3.5
  • 波及効果・雇用4

    窒素排水基準を満たす装置の普及は公共の水質保全に資する。バイオガス発電の急増に伴う社会的必要性がある。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    PLCによる自動制御プログラムを開発し、状況に応じた制御で窒素除去率を維持する技術を示している。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    再生可能エネルギーの普及に伴う排水処理の需要増に触れているが、日本経済の構造転換への言及は弱い。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

顧客の希望価格に合わせるため、全体の約70%を占める中空糸ユニットのコストダウンが課題である。代替品として化学繊維を使ってエレメントやユニットを自社製造し、30〜40%のコストダウンを目指す。最終的に生産設備の完成につなげるため、全体の設計見直しを行う予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。