ものづくり補助金平成24年度鹿児島県

溶融亜鉛めっきに替わる環境に優しい高耐食性熱拡散亜鉛めっき技術の確立

株式会社マツオ

成果板材及びナットで塩水噴霧試験1000時間以上に耐える耐食性

この事例のポイント

  • 熱拡散めっきテスト品の耐食性にばらつきがあり、処理条件や前処理・後処理の確立が必要だった。
  • 新しい熱拡散めっき技術を用い、各種処理条件で試作品開発を行った。
  • 板材及びナットで塩水噴霧試験1000時間以上に耐える耐食性。熱拡散めっきは強度低下を回避でき、構造物で重要な役割を果たすナット及びボルトのめっき処理として非常に有効な結果が得られ…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社マツオ
所在地鹿児島県 鹿児島市
業種はん用機械器具製造業
技術分野位置決め
従業員数52人
資本金2,000万円
設立1951年

事業の背景

当社は産業機械の製造を行っている。高度成長期に整備された道路設備・橋梁・トンネル・送電線鉄塔などの公共構造物では金属部品の腐食・劣化に対する補修改善が求められており、これらの部品には溶融亜鉛めっきが施されている。公共構造物では多額の補修費用がかかるため、より長期間使用できる耐食性に優れためっき技術が必要とされていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度熱拡散めっきテスト品の耐食性にばらつきがあり、処理条件や前処理・後処理の確立が必要だった。
  • 生産能力従来の溶融亜鉛めっき品より大幅な耐食性向上が求められていた。
  • 新製品・新技術従来の溶融亜鉛めっきに替わって広く普及させるためには、耐食性の向上と量産化技術の確立が必要だった。

やったこと

新しい熱拡散めっき技術を用い、各種処理条件で試作品開発を行った。最適化した処理条件で試作した板材及びナットは、塩水噴霧試験で1000時間以上に耐える優れた耐食性を得た。ボルトでは実用上重視されるボルトヘッド部で優れた耐食性を確認した。前処理では酸洗いに代えてショットブラストを試み、酸洗いの場合と同様に良好なめっき被膜と耐食性が得られた。さらに、熱拡散めっき処理条件の検討、めっき前処理・後処理工程の改善検討、試作めっき品の耐食性評価及び皮膜組成評価に取り組んだ。

新しい製品・サービス:熱拡散めっき品

事業の効果

  • 板材及びナットで塩水噴霧試験1000時間以上に耐える耐食性
  • 当社で処理した熱拡散めっき品の塩水噴霧試験時間は1176時間(49日)

熱拡散めっきは強度低下を回避でき、構造物で重要な役割を果たすナット及びボルトのめっき処理として非常に有効な結果が得られた。板材・ナットでは1000時間以上の優れた耐食性を得て、ボルトヘッド部でも優れた耐食性を確認した。前処理を酸洗いからショットブラストに代えても良好なめっき被膜と耐食性が得られ、廃液コストの低減や酸によるめっき部品の脆化抑制も期待できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決溶融亜鉛めっきの耐食性不足やめっき処理条件のばらつきという課題を明示し、量産化と熱拡散めっき品・装置の販売計画を述べている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標塩水噴霧試験で1000時間以上、テスト品では1176時間(49日)の耐食性が示されている。ただし売上や付加価値の目標値は書かれていない。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け公共構造物の腐食補修需要という顧客ニーズと、耐食性や作業の容易さという選ばれる理由が整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員数52人や設立年などはあるが、補助事業を遂行する体制や人材配置についての記述は見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組や経営戦略との関係は明示されていない。溶融亜鉛めっきの代替技術の開発という方向性は読み取れるが、事業の一貫性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    公共構造物の補修需要が増加すると予想されると記載があり外部環境は示されている。ただし自社の強みや競争優位の定量的な根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    溶融亜鉛めっきの耐食性不足やめっき処理条件のばらつきという課題を明示し、量産化と熱拡散めっき品・装置の販売計画を述べている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    塩水噴霧試験で1000時間以上、テスト品では1176時間(49日)の耐食性が示されている。ただし売上や付加価値の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数52人や設立年などはあるが、補助事業を遂行する体制や人材配置についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    公共構造物の腐食補修需要という顧客ニーズと、耐食性や作業の容易さという選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    処理条件の検討、試作、前処理・後処理の改善、耐食性評価という工程は示されるが、スケジュールや期間の記載はない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    溶融亜鉛めっきより大幅な耐食性向上を目指す点や、酸洗い省略による廃液低減など、従来品より高水準を図る内容が具体的に示されている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    公共構造物の補修・改善が求められるという社会的背景は示されるが、経済波及や雇用創出への言及は薄い。

  • 費用対効果3

    補修費用の削減や長寿命化の必要性は述べられているが、補助金額に対する費用対効果や付加価値額の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    熱拡散めっきや酸洗い省略は技術革新の要素だが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献には言及されていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    公共構造物の補修市場の増加という成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    鹿児島市に所在する事業者であることは分かるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への効果は書かれていない。

今後の展望

高度成長期に整備された公共構造物の補修改善が増加すると予想されることから、今後量産化技術を確立し、熱拡散めっき品の販売を計画している。また、熱拡散めっき処理装置の販売も計画し、作業が容易かつ安全であることをアピールして販売実績を上げる予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。