ものづくり補助金平成24年度沖縄県

琉球泥藍を使用した微生物藍染染色装置と微生物製剤の開発

甲南化工株式会社

この事例のポイント

  • 沖縄の伝統的な天然藍染は染液の微生物管理が重要で、pH調整や栄養源添加を継続的に行う必要があり手間がかかる。
  • 藍染液に必要な還元微生物を沖縄県内の藍染液から分離し、還元性能を比較して選抜した。
  • 開発した微生物製剤を使うと、天然の微生物による独特の色合いや環境に優しいといった微生物藍染の特長を損なわず、素早く強力な藍染液を育てることができる。

事業者のプロフィール

事業者名甲南化工株式会社
所在地沖縄県 高槻市
業種化学工業
技術分野発酵
従業員数63人
資本金2,700万円
設立1948年

事業の背景

同社は沖縄県工業技術センターと共同で、沖縄県内の微生物を収集し、その中から還元能力の高いものを選抜する研究を進めてきた。沖縄の伝統的な天然藍染では、染液中の微生物に着目すると、これまで収集した微生物のうち、染色に作用する微生物と同じ能力を持つ別の微生物を選抜できれば、より安定的な染色が実現できると考えた。一般的な藍染は化学薬品を使う合成インディゴが普及している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能沖縄の伝統的な天然藍染は染液の微生物管理が重要で、pH調整や栄養源添加を継続的に行う必要があり手間がかかる。
  • 品質・精度染色に使う泥藍の品質が染色の出来を大きく左右し、安定して染色できる状態を保つのが難しい。

やったこと

藍染液に必要な還元微生物を沖縄県内の藍染液から分離し、還元性能を比較して選抜した。選抜した菌株は藍染液と同程度の強アルカリ条件で良好に生育することが分かった。この菌株を培養して微生物製剤を開発した。また、染色装置の開発では、温度、pH、微生物の栄養源の加え方などについてデータを取り、最適な運転条件を調整しながら試験機を完成させた。

新しい製品・サービス:藍染液を素早く強力に育てる微生物製剤および微生物藍染用の染色装置

事業の効果

開発した微生物製剤を使うと、天然の微生物による独特の色合いや環境に優しいといった微生物藍染の特長を損なわず、素早く強力な藍染液を育てることができる。これにより安定した藍染が可能になり、製剤を商品として販売する。染色装置は導入を希望する企業などにテスト機として提供し、より大規模なシステムの要望には同社が設置してコンサルタント的なサービスを提供する。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    顧客とニーズの裏付け素早く強力な藍染液を育てられる点、天然微生物による独特の色合いや環境への配慮が製品価値として具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値合成インディゴが普及する中で、天然微生物を使った藍染製剤という一般的でない高付加価値の取組として書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    強み・弱みを踏まえた優位性天然藍の微生物や泥藍の独特な色合い、環境に優しい点が強みとしてうかがえるが、市場や顧客動向の記述はない。
経営戦略との整合性2.7
  • これまでの取組との一貫性3

    沖縄の微生物を収集し選抜する研究を継続してきたことが書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    天然藍の微生物や泥藍の独特な色合い、環境に優しい点が強みとしてうかがえるが、市場や顧客動向の記述はない。

  • 課題の認識と解決3

    藍染液の色の安定化という課題認識は書かれているが、高付加価値化や成長につながる事業計画の具体性は薄い。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の創出や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性を判断できる数字がない。

  • 事業を進める体制3

    沖縄県工業技術センターとの共同研究や沖縄ラボの存在から体制はうかがえるが、人材や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    素早く強力な藍染液を育てられる点、天然微生物による独特の色合いや環境への配慮が製品価値として具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試験機完成後に導入企業へテスト機を提供し、大規模システムは同社が設計するという方針は書かれるが、スケジュールは不明。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    合成インディゴが普及する中で、天然微生物を使った藍染製剤という一般的でない高付加価値の取組として書かれている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    伝統的な沖縄の天然藍染の継承や環境配慮がうかがえるが、波及効果や雇用創出の記述はない。

  • 費用対効果2

    染色の安定化や時間短縮の効果がうかがえるが、投入額に対する付加価値増加などの数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    微生物を活用した染色装置の開発は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明記されていない。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    沖縄の地域の伝統的な天然藍染に関わり、沖縄県内の微生物を活用している点で地域特性はうかがえるが、雇用や成長への言及は薄い。

今後の展望

導入を希望する企業や団体などにテスト機として試験機を提供するとともに、より大規模なシステムの要望があれば同社が設置し、コンサルタント的なサービスを提供していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。