ものづくり補助金平成24年度沖縄県

単クロン抗体を活用したHIV検査キット開発、製造技術提供事業

リムコ株式会社

この事例のポイント

  • 従来の他社製の体外診断キットでは、感染初期の場合に感染していても誤って陰性と判定されるケースがあり得た。
  • 琉球大学から提供されたHIV-1抗体の産生ハイブリドーマをマウスに移入し、HIV-1単クロン抗体を得た。
  • 感染初期でも正確に判定できる検査キットの開発に成功し、2種類のHIV検査キットを商品化できた。

事業者のプロフィール

事業者名リムコ株式会社
所在地沖縄県 うるま市
業種化学工業
技術分野発酵
従業員数6人
資本金3.115億円
設立2011年

事業の背景

当社は琉球大学医学部免疫学講座の研究成果であるHIV抗体を活用した新しいHIV体外診断キットを作るため、平成23年に設立された。従来の他社製キットでは感染初期の検査で誤判定が起こり得た。当社はこの抗体を使ったより先進的なキットの製品化を目指していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の他社製の体外診断キットでは、感染初期の場合に感染していても誤って陰性と判定されるケースがあり得た。
  • 新製品・新技術HIV抗体を活用したより先進的なHIV検査キットを開発・生産するため、新しい機械の導入が必要だった。

やったこと

琉球大学から提供されたHIV-1抗体の産生ハイブリドーマをマウスに移入し、HIV-1単クロン抗体を得た。その後タンパク濃度の調整と濃縮操作を行い、ELISA検査キットと迅速診断用HIVイムノクロマト(IC)キットの試作品を作成した。試作したICキットは一般体外診断検査として機能し、想定していた判定基準を満たしていることを検証できた。また、キットの原料をマウスから遺伝子組換えカイコの繭に切り替えることに成功し、動物を殺さずに原料を供給できるようになった。

検査測定スペクトロフォトメーター
その他タンパク質精製装置
その他プレート洗浄機
検査測定分光器
検査測定検査測定機器
その他超純水製造装置

新しい製品・サービス:感染初期でも正確に判定できるHIV検査キット(ELISA検査キットと迅速診断用HIVイムノクロマト(IC)キットの2種類)。今後はHIVの抗原と抗体を同時に検出できる製品も開発する。

事業の効果

感染初期でも正確に判定できる検査キットの開発に成功し、2種類のHIV検査キットを商品化できた。原料をマウスからカイコの繭に変えたことで、動物を殺さずに原料を供給できるようになり、原料の低コスト化と安定供給体制の構築にも目途がついた。製品化のスケジュールを前倒しで実現でき、スタートアップ期の経営基盤固めに大きく寄与した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    琉球大学の研究成果であるHIV抗体を活用し、設立後に事業化した経緯は読み取れるが、既存事業との一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    従来の他社製キットは感染初期に誤陰性が出うると課題を示し、先進的な検査キットとして差別化を図る方向は読み取れる。市場規模や競合比較の具体性は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    従来キットの誤陰性という課題を示し、マウス依存の原料を遺伝子組み換えカイコの繭に置き換えて低コスト化・安定供給を実現した点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    製品化スケジュールの前倒しは書かれるが、付加価値額増加や賃上げの数値目標は記載がなく、目標値の実現可能性は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    従業員6人の体制と研究開発部兼生産技術部の部長が登場するが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    感染初期でも正確に判定できる検査キットという価値と、大学・研究機関・製薬メーカーへの販売ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    HIV抗原と抗体の同時検出、原料低コスト化、販路拡大など今後の展開は示されるが、スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達2

    資本金31,148万円と設立時期は書かれるが、財務状況や金融機関からの資金調達の見込みは記載されていない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ELISAやイムノクロマトキットなどの体外診断分野で、従来品より高精度な新製品を開発した点は読み取れるが、普及度の数値は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    感染症対策に役立つ社会的意義や、中国・欧米への展開構想は述べられているが、雇用創出や波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金により製品化を前倒しできたとの記述はあるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果は数値で示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    遺伝子組み換えカイコを使い動物を殺さずに抗体を作る新しい原料供給の仕組みは、イノベーションとして読み取れるが、サプライチェーンへの効果は具体的でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    感染症診断という成長分野への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は公開事例からは明確でない。

  • 地域経済への波及2

    沖縄県うるま市に拠点を置く点はうかがえるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の具体的記述は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

持続的な事業化に目途がついたため、大学や研究機関、製薬メーカー等への販売を強化し、中国などのアジア圏やドイツ、ロシア等の欧米圏への展開も促進したい。HIV以外にもB型肝炎や梅毒などの診断キットの開発・販売を広く行っていく考えである。

事業者の声

蚕業イノベーションでサステナブルな未来づくり」。カイコを使えば動物を殺さず無限に抗体が作れる。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。