歯科技工物の内製化体制確立による新サービス展開と市場ニーズの獲得

熊本県の従業員11人の医療・福祉事業所が、ものづくり補助金で歯科技工物を内製化し、平均治療期間を40日から30日に短縮した事例です。

成果治療期間 40日→30日

この事例のポイント

  • 非金属素材の歯科技工物は外注に頼っており、納品に12日程度かかっていた。
  • 審美目的等のニーズへの対応強化と治療期間短縮を目指し、非金属素材歯科技工物の内製化に必要な機器を導入した。
  • 治療期間 40日→30日。口腔内光学スキャナの導入により、歯型取りから3Dデータ生成までの作業時間が120分程度から最短1分程度になり、歯型取り…

事業者のプロフィール

所在地熊本県 熊本市東区
業種医療業
従業員数11人
設立2005年

事業の背景

当院は歯科診療のほか院内に歯科技工物製作機能を持ち、保険適用の金属材料(パラジウムなど)による手作業での製作を行っていた。白色の見栄えや金属アレルギーを避けたい等の理由から、保険適用外のセラミックなど非金属素材のニーズが近年高まっており、今後もこの傾向は続くと予想される。

非金属素材は手作業での加工が難しくデジタル機器による加工が必須だが、当時はデジタル対応機器の導入が進んでおらず、外注をせざるを得なかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程非金属素材の歯科技工物は外注に頼っており、納品に12日程度かかっていた。
  • 納期・工程平均治療期間は40日間で、迅速な治療とは言い難い状況だった。
  • 生産能力印象剤を使った歯型取りから石膏模型作成までの手作業に120分程度かかっていた。
  • 品質・精度口腔内光学スキャナは唾液などによって実際の形状との誤差が生じることが課題となっていた。
  • その他新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外注先の活動縮小により、供給体制が不安定になる時期があった。

やったこと

審美目的等のニーズへの対応強化と治療期間短縮を目指し、非金属素材歯科技工物の内製化に必要な機器を導入した。導入機器は、口腔内光学スキャナ「デンツプライシロナ DIプライムスキャン」、削りだし加工を行う「デンツプライシロナ インラボMCXLミリング」、削りだし加工したものを焼成する「デンツプライシロナ inLab Profire」である。

口腔内スキャンで小範囲に絞って印象採得した石膏模型を使い細かい部分まで調整するほか、再スキャンで作成した作業用模型と口腔内スキャンデータをマッチングして精度を高める独自の方法を確立した。スキャンから加工・焼成まで同じデジタルデータを使える機器を揃え、専用ソフトウエアで調整作業を行うことで内製化を実現した。

新しい製品・サービス:非金属素材(セラミック等)の歯科技工物の内製化

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • デンツプライシロナ DIプライムスキャンデンツプライシロナ インラボMCXLミリングデンツプライシロナ inLab Profire設備の種類:医療・介護・美容の機器

事業の効果

  • 治療期間 40日→30日
  • 歯型取りから3Dデータ生成までの作業時間 120分→1分

口腔内光学スキャナの導入により、歯型取りから3Dデータ生成までの作業時間が120分程度から最短1分程度になり、歯型取り時の患者の負担も解消された。非金属素材の歯科技工物を内製化したことで納品待ち期間が解消され、リードタイムは10日短縮し、平均治療期間は40日から30日に短縮した。

管理業務の削減等の副次的効果も生まれ、精度を高める独自のノウハウも確立できた。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性外注依存で納品に12日かかっていた課題を踏まえ、これまでの技工技術と審美歯科ニーズに対応する強みを具体的に示している。
  • 4
    課題の認識と解決納品12日・治療期間40日の課題を認識し、内製化でリードタイム10日短縮、治療期間30日への短縮という数字で解決効果を示している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標治療期間を40日から30日へ短縮する目標と、リードタイム10日短縮の実績が示されており、達成見込みが高い。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業を進める体制機器導入と内製化体制の構築には触れているが、人材や事務処理の体制についての記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    外注に頼っていた歯科技工物を内製化し、これまで培ってきた技術やノウハウを活かす方向性が示されており、一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    外注依存で納品に12日かかっていた課題を踏まえ、これまでの技工技術と審美歯科ニーズに対応する強みを具体的に示している。

  • 課題の認識と解決4

    納品12日・治療期間40日の課題を認識し、内製化でリードタイム10日短縮、治療期間30日への短縮という数字で解決効果を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    治療期間を40日から30日へ短縮する目標と、リードタイム10日短縮の実績が示されており、達成見込みが高い。

  • 事業を進める体制2

    機器導入と内製化体制の構築には触れているが、人材や事務処理の体制についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    白色や金属アレルギー回避による非金属素材のニーズ増加を示し、審美歯科サービスという顧客ターゲットと選ばれる理由が明確である。

  • 事業化までの道筋3

    機器導入、スキャンから焼成までの工程統一、精度向上ノウハウの確立という課題解決の方法が示され、妥当性がある。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    非金属素材は手作業加工が難しくデジタル機器が必須で、対応機器の導入も進んでいなかったと示され、新しい分野であることが読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    コロナ禍で外注先の活動が縮小し供給体制が不安定になった課題を示し、供給の安定化という公的な意義が読み取れる。

  • 費用対効果2

    作業時間削減や管理業務の削減といった効果はあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    口腔内光学スキャナとCAD/CAM機器を一連のデジタルデータで連携させる仕組みを構築しており、デジタル技術の活用が明確である。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    デジタル技術による歯科技工の内製化は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    熊本市の一診療所の事例で、地域の雇用創出や地域経済の牽引についての記述は薄い。

今後の展望

今後、さらに自由診療である審美歯科分野を伸ばしていきたい。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。