整骨院や治療院、福祉サービス業が小規模事業者持続化補助金を使うとき、何に投資して採択されているのか。この記事では、公開されている整骨院・福祉業の採択事例3選を取組内容ごとに整理し、この業種ならではの傾向と、採択につなげるための申請のポイントをまとめます。自社の集客と販路開拓のヒントとして役立ててください。
(事例の一次出典:中小企業庁「ミラサポplus」事例ナビ。本記事は同事例をもとにレオン・ストラテジーが分類・分析したものです)
目次
小規模事業者持続化補助金とは?
持続化補助金は、ものづくり補助金・新事業進出補助金・デジタル化・AI導入補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3〜4回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。
補助上限額は最大250万円(インボイス・賃上げ等の特例要件を満たした場合)、補助率は2/3〜最大3/4。小規模事業者にとって、自己負担を抑えて新しい挑戦ができる大きなチャンスです。令和8年度の予算規模は総額3,400億円にも上り、毎年約3万件以上の応募があります。
詳しくはこちら:【2026年】小規模事業者持続化補助金の最新情報を解説!
整骨院・福祉業の採択事例にみる傾向
整骨院・福祉業3件を取組内容で分類すると、内訳は次のとおりです。
| 取組カテゴリー | 件数 |
|---|---|
| ホームページ制作・改修 | 2 |
| 広告・SNS・Web広告 | 1 |
| 合計 | 3 |
ここに整骨院・福祉業ならではの特徴が出ています。ホームページや広告が中心ですが、その背景にあるのは**「特定の客層に向けた専門サービスを打ち出し、それを伝えて新規患者・利用者を獲得する」**という共通の狙いです。
整骨院や治療院は地域に多く、保険診療が中心だと差別化や単価向上が難しいという課題があります。採択事例を見ると、産後の女性向け、スポーツ予防トレーニング、看護師による訪問理美容のように、ターゲットを明確に絞った自費・専門サービスを開発し、それをホームページやパンフレットで届ける取組が中心になっています。
つまり整骨院・福祉業で持続化補助金を活かすなら、**「どの客層に向けた、どんな専門サービスで差別化し、どう新規の患者・利用者を集めるか」**を具体的に描くことが出発点になります。
採択事例(全3件)
公開されている整骨院・福祉業の採択事例を、全件、公開情報をもとに紹介します。
女性向け特化で新患予約を獲得|あずま鍼灸整骨院・マッサージ院(ホームページ制作)
取組内容:強みである産後マッサージや骨盤矯正など女性客向けサービスを積極的に販促。パンフレットの作成・配布、育児雑誌への掲載、ホームページの改修を行った。
成果:強みを明確にしたパンフレット・雑誌掲載・ホームページの一連の販促がシナジーを生み、HPの月間アクセス数が400から1,800へ増加、新患予約は月平均17件獲得と、着実に新規顧客の開拓につながった。
事業者の声:3年間の事業計画を立てることで顧客獲得目標が明確になり、販促活動に補助金を有効活用できた。計画策定から申請、報告、フォローまで商工会に一貫して支援してもらい感謝している。
(出典:中小企業庁「ミラサポplus」事例ナビ)
予防トレーニング事業で若い客層を取り込む|おがはら整骨院(広告・SNS)
取組内容:10〜40代のスポーツ競技者や産後の体型を気にする客層を対象に、予防トレーニングサービス強化のための器具7種類を購入。近隣市町1万8,000世帯に配布される情報誌への広告掲載も行った。
成果:情報誌掲載から6か月間で新規客が40名増加、のべ189名の利用増につながった。子供連れの来院も増え、40代以下の客層が売上の25%を占めるように。顧客の高齢化による将来的な売上減少を回避できた。
事業者の声:1時間1,000円というリーズナブルな価格の割に結果がついてくるので、口コミで客が増えた。今後はボランティア活動にも力を入れ、固定客の獲得と売上増につなげたい。
(出典:中小企業庁「ミラサポplus」事例ナビ)
看護師経営の訪問理美容で新販路を開く|合同会社Care Creation(ホームページ制作)
取組内容:訪問理美容の新サービスの内容やメリットをアピールするホームページを作成。ケアマネージャーへの営業に使うパンフレットを100部、近隣の高齢者施設やポスティング用のチラシを2,000部作成・配布した。
成果:ケアマネージャーや高齢者施設からは看護師が運営する訪問美容として安全面が高く評価され、利用者からはおしゃれなカットが好評。ホームページは利用者の家族からの閲覧が多く、サービス開始から4か月で40件ほどの新規申し込みがあった。
事業者の声:新たな販路を開拓できたことで、今後の発展につなげる礎とすることができた。今後も経営計画を作成し、戦略的に事業を発展させていきたい。
(出典:中小企業庁「ミラサポplus」事例ナビ)
整骨院・福祉業が採択されるための申請のポイント
事例から見えてくる、この業種特有の落とし穴と対策を整理します。
ターゲットを絞った専門サービスを打ち出す。 整骨院や治療院は地域に多いため、「親切な施術」では差別化になりません。産後ケア・スポーツ予防・訪問など、対象を絞った専門サービスで強みを明確にします。
自費メニューや新サービスで単価・新規を伸ばす。 保険診療に頼らない自費メニューや新サービスは、単価と新規獲得の両方に効きます。その流れを数字で描きます。
新規患者・利用者の獲得導線を示す。 パンフレット・情報誌・ホームページなら、掲載から問い合わせ、来院・利用への流れを見込み件数で裏づけます。
ウェブ費の上限を前提に経費を組む。 ウェブサイト関連費は交付申請額の4分の1・最大50万円までで、単独申請もできません。広報費や機械装置費と組み合わせて全体を設計します。
持続化補助金の直近採択率
正直に申し上げると、直近の持続化補助金の難易度は上がっており、採択結果は非常に厳しいものとなっております。
たとえば第16回締切分の結果は、7371件の申請のうち2741件、採択率は37.2%でした。これは前回(第15回)の採択率41.8%を下回り、過去最低となる事業者にとって非常に厳しい結果となりました。
ただし上の数字が示すとおり、公募回によって40%を切ることもあれば50%を超えることもあります。最終的に明暗を分けているのは事業計画書の完成度です。
記事:【令和8年度】補助金採択率が急減!原因と成功の秘訣を解説
よくある質問
整骨院でも持続化補助金は使えますか?
使えます。整骨院・治療院などのサービス業は常時使用する従業員が5名以下であれば小規模事業者に該当します。個人経営の院も対象です。
個人経営の治療院でも申請できますか?
申請できます。法人・個人事業主のどちらでも対象です。従業員数の要件を満たせば、一人で営む院も申請できます。
補助金額の上限と補助率はどのくらいですか?
一般型・通常枠の場合、補助上限は50万円、補助率は3分の2が基本です。賃上げなどの特例や創業型では上限が異なります。公募回によって条件が変わるため、申請前に最新の公募要領で確認してください。
自費メニュー向けの機器導入に使えますか?
新サービスで新規顧客の獲得につながる場合は、機械装置等費として対象になり得ます。導入だけでなく、その機器でどう集客するかを計画書で示すことがポイントです。
保険診療の収入があっても申請できますか?
申請できます。ただし補助対象は販路開拓や業務効率化のための経費に限られます。保険診療そのものの費用は対象になりません。
ホームページやチラシの作成に使えますか?
ホームページはウェブサイト関連費(上限は交付申請額の4分の1・最大50万円、単独申請不可)、チラシは広報費として対象です。
院の改装や備品の購入に使えますか?
新しい客層の獲得や新サービスの提供につながる場合は対象になり得ます。一方で、老朽化の修繕や原状回復だけの工事は対象外です。
商工会議所・商工会の会員でないと申請できませんか?
会員でなくても申請できます。 ただし申請には商工会議所または商工会が発行する事業支援計画書(様式4)が必須です。発行には日数がかかるため、締切から逆算して早めに相談してください。
補助金はいつ受け取れますか?
後払い(精算払い)です。 採択後すぐに入金されるわけではなく、交付決定を受けてから補助事業を実施し、実績報告を提出して金額が確定した後に振り込まれます。先に自己資金で支払う必要がある点に注意してください。
関連する業種の採択事例
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整骨院・福祉業の持続化補助金について、どの客層に向けた専門サービスで差別化するか、どの経費区分で組むべきか迷う場合は、計画段階からの伴走支援をご利用ください。240社以上の支援実績をもとに、採択される事業計画づくりをお手伝いします。
出典・参考資料
- 小規模事業者持続化補助金<一般型>補助金事務局(商工会議所地区)
- 小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁)
- 補助金公募情報一覧(中小企業庁)
※本記事は上記公式資料をもとに作成しています。制度内容は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。
免責事項・ご注意
- 本記事について
本記事は、中小企業庁・補助金事務局が公表している公式資料をもとに、情報提供を目的として作成しています。特定の補助金申請の採択を保証・推奨するものではありません。 - 制度変更について
本補助金は公募回(現在:第19回)ごとに要件・補助率・スケジュール・申請枠が変更される場合があります。また申請窓口は商工会地区と商工会議所地区で異なります(事業支援計画書(様式4)の発行先が異なるため、事前に自社の管轄を必ずご確認ください)。 - 申請の際は必ずご確認ください
商工会議所地区 補助金事務局サイトに掲載の最新公募要領
管轄の商工会または商工会議所への事前相談(様式4の発行受付締切に注意)
認定支援機関または中小企業診断士等の専門家への相談 - 損害免責
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PROFILE

- 中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。


