ものづくり補助金平成24年度岩手県

ヘッドアップディスプレイ用大型凹面ガラスミラーの製品化

竹内真空被膜株式会社

この事例のポイント

  • 社内生産の9割以上を占める自動車用バックミラーは、平成20年のリーマンショック以降も価格が下がり続け、会社に大きな打撃を与えていた。
  • 曲率がR120〜R2000の範囲にある複雑な自由曲面や放物面をもつ凹面ガラスミラーを切断するため、6軸多関節ロボットガラス切断機を導入した。
  • 真空蒸着技術と6軸多関節ロボットガラス切断機、CAD/CAMシステムの導入により、大型凹面ガラスミラーが完成し製品化に結びついた。

事業者のプロフィール

事業者名竹内真空被膜株式会社
所在地岩手県 花巻市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野溶射・蒸着
従業員数75人
資本金3,600万円
設立1963年

事業の背景

当社は創業者が昭和38年に真空蒸着を始め、工場全体の生産割合で9割以上を占める自動車用バックミラーを全自動一貫生産ラインで量産してきた。平成20年のリーマンショック以降、この製品の価格は下がり続け、社内生産の大半を占める製品だけに大きな衝撃となった。小型HUDのミラーは樹脂製で高価なため、ガラス製への転換が見込まれ、リサーチ会社によると平成32年にはHUD装置用凹面ガラスミラーの世界市場規模が70億円弱に成長する可能性がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算社内生産の9割以上を占める自動車用バックミラーは、平成20年のリーマンショック以降も価格が下がり続け、会社に大きな打撃を与えていた。
  • 新製品・新技術自動車用バックミラーに替わる真空蒸着製品の開発が必要だった。
  • 品質・精度既存設備では凹面ガラスを正確な寸法で切断できず、HUD用ミラーの外形寸法に合わせることが難しかった。
  • 人手・技能6軸多関節ロボットのダイレクトティーチングでは、ミラー面に対してカッター刃を垂直に保つ角度を得られず、試行と失敗が続いた。

やったこと

曲率がR120〜R2000の範囲にある複雑な自由曲面や放物面をもつ凹面ガラスミラーを切断するため、6軸多関節ロボットガラス切断機を導入した。多関節ロボットは人間の腕のように複雑な角度に対応でき、凹面の曲率に合わせてカッター刃をガラス面に垂直に立てられる。ダイレクトティーチングでは垂直な角度を得られなかったため、CAD/CAMシステムを導入してロボットをコンピュータ制御するようにした。メーカーの3次元データを手作業でシステムに取り込んで試行し、カッター刃とミラー面との精確な垂直角度を確保できた。

新しい製品・サービス:自動車用HUD向け大型凹面ガラスミラー

事業の効果

真空蒸着技術と6軸多関節ロボットガラス切断機、CAD/CAMシステムの導入により、大型凹面ガラスミラーが完成し製品化に結びついた。試作品は電装メーカーや光学メーカーから高い評価を得ており、一部では試作品の評価を続けている。国内の電装品メーカーを主なターゲットとして販路の形成を進めている。HUD装置本体の完成には3〜4年かかる見込みのため、プロジェクターの集光機への利用も研究している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のバックミラー事業の価格下落を受け、真空蒸着技術を活かす新製品としてHUD用ミラーを位置付けている。過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は限定的。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車用バックミラーの価格下降と、HUD向けにガラス製ミラーへ転換する市場動向を踏まえている。ただし自社の強み・弱みを数値で示す記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    既存設備では正確な寸法が得られない課題を認識し、6軸ロボットとCAD/CAMを導入している。付加価値化や成長への定量的効果は示されていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は記載されていない。HUD市場規模が平成32年に70億円弱との言及はあるが、自社の目標値ではない。

  • 事業を進める体制2

    従業員75名、資本金3,600万円の記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    電装メーカー・光学メーカーから高い評価を得て、国内電装品メーカーをターゲットとすると明記されている。ニーズの裏付けもある程度読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    HUD装置完成には3〜4年必要で、プロジェクター集光機への利用研究や検査装置導入の検討が書かれている。スケジュールや課題解決の方法は概略にとどまる。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    HUD用の大型凹面ガラスミラーは、曲率R120〜R2000の自由曲面や放物面を持つ高付加価値品として記述されている。普及度の低い分野であることも示唆される。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内自動車部品の価格下落による地域企業の事業転換という背景はうかがえるが、経済波及や雇用創出の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。世界市場規模の予測のみが記載されている。

  • イノベーションへの貢献3

    6軸多関節ロボットとCAD/CAMを組み合わせ、3次元データを取り込んで切断を行う点はデジタル技術の活用として読み取れる。ただし地域やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    自動車HUD向けの新市場に進出する点は、成長分野への進出として読み取れる。ただし日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県花巻市の企業であることが示されるが、地域特性を活かした事業としての記述は薄い。

今後の展望

凹面の面精度を高め、市場での優位性を保つため、精密な製品検査体制を整え、検査装置の導入も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。