ものづくり補助金平成24年度岩手県

刃先端の粗さを制御した理美容鋏の開発

株式会社東光舎

成果刃先端の表面粗さ(Rz) 1μm→4μm

この事例のポイント

  • 従来の溝付きハサミは溝が深く間隔が広いため髪を掴み過ぎ、使用者が切る際に重く感じ切り心地がよくなかった。
  • 従来は砥石で刃先に凹凸を入れていたが、レーザ加工機を導入し、金属表面の粗さを制御できる方法を選択した。
  • 刃先端の表面粗さ(Rz) 1μm→4μm。レーザ加工によって刃先端の粗さを任意に制御できるようになり、日本人の毛髪直径に合わせて表面粗さを調整できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社東光舎
所在地岩手県 岩手町
業種その他の製造業
技術分野切削加工
従業員数40人
資本金1,200万円

事業の背景

当社は理美容ハサミを生産する専門工場として開発・研究部門を設け、基礎研究から開発、製造まで一貫生産し、国内外に出荷している。近年は医療・ペット用ハサミも開発・製品化している。ブランカット法は現在の代表的なヘアカット技法で、長いハサミでは刃元と刃先で髪の長さに差が出るため、従来は溝付きハサミが使われてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の溝付きハサミは溝が深く間隔が広いため髪を掴み過ぎ、使用者が切る際に重く感じ切り心地がよくなかった。
  • 生産能力溝付きハサミの使いにくさを改善し、長いハサミの刃渡り全体で一定のカットを可能にすることが求められていた。

やったこと

従来は砥石で刃先に凹凸を入れていたが、レーザ加工機を導入し、金属表面の粗さを制御できる方法を選択した。導入機は加工出力が十分で、ハサミの立体形状に3次元加工でき、装置の冷却に水を用いないものを条件に選定した。金属試験片に出力を変えてレーザを照射し表面粗さを測定し、その値を参考に既成のハサミにレーザを照射して溝の粗さのテストを行った。試験を繰り返し、50丁近くの試作サンプルを製作した。刃先端の粗さは通常の研ぎ上がりでRz 1〜2μm程度だったが、レーザ照射後はRz 4μm程度になった。日本人の毛髪直径の10〜20%にあたる8〜16μmを目指して条件を調整し、15μmまで粗く加工でき試作品の製作につながった。

新しい製品・サービス:レーザ加工機で刃先端の粗さを調整した理美容用ハサミ

事業の効果

  • 刃先端の表面粗さ(Rz) 1μm→4μm
  • 刃先端の表面粗さ(Rz) 4μm→15μm

レーザ加工によって刃先端の粗さを任意に制御できるようになり、日本人の毛髪直径に合わせて表面粗さを調整できた。試作品は理美容師による使い心地の試験で意見を集め、改善を重ねて製品化を目指している。製品化されれば、ブランカット法が主流の欧州向け輸出の増加が期待される。また医療用器具への展開も検討している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の溝付きハサミの改善に取り組む経緯や、これまで理美容ハサミを一貫生産してきた事業との関連が記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外で100万丁超輸出し、欧州理美容師の約34%が自社製品ユーザーという具体的な数字で市場での強みが読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    溝が深く髪を掴みすぎる既存品の課題を明示し、刃先の粗さ調整による切り心地改善と、カット効率の数倍向上の期待が書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    カット効率が数倍向上すると期待されると書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    開発・研究部門を設けて一貫生産しており、社長が工学博士であることから、体制の一端はうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ブランカット法の使い勝手や理美容師による試用評価を基に、髪の直径に合わせた粗さ(15μm)という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    試作品の複数人による2〜3カ月の試用や海外でのテストを重ねて製品化する段階的な手順と課題解決の方法が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    刃先の粗さを髪の直径に合わせて制御する高付加価値化の方向性は読み取れるが、市場の普及度や価格水準の具体的数値は乏しい。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    医療用器具や医療用ロボットへの展開が検討されていると書かれているが、波及効果や雇用創出の具体的な記述は薄い。

  • 費用対効果2

    カット効率の数倍向上が期待されるとあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザによる精密な表面加工技術を用いる点は示されているが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献の記述は限定的である。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    岩手県岩手町の工場で理美容ハサミを生産する地域立地が示されているが、地域経済や雇用への波及の記述は少ない。

今後の展望

試作品を理美容師に複数人で2〜3カ月間テスト使用してもらい、意見を取り入れて改善を重ね、海外でもテスト使用を行ったうえで製品化を目指す。欧州向け輸出量の増加と、医療用器具や医療用ロボットに取り付けられるハサミ状器具への展開を考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。