ものづくり補助金平成24年度岩手県

真空ポンプ異常検出装置の試作開発

有限会社ホロニック・システムズ

この事例のポイント

  • 真空ポンプの異常音や異常振動を検出する機器の必要性が、半導体製造装置メンテナンス参入研究会で検討課題として出されていた。
  • 研究会の会員である半導体製造工場から真空ポンプの異常に関する聞き取り調査を行い、その内容をもとに試作機の開発に着手した。
  • 2社での評価試験で、1社ではリアルタイムで異常を検出でき、もう1社では異常は検出されず、データ解析の結果、正常動作範囲内で稼働中であることが確認された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ホロニック・システムズ
所在地岩手県 紫波郡紫波町
業種情報サービス業
技術分野溶接
資本金500万円
設立1997年

事業の背景

当社は様々な分野のソフトウェア開発を手がけており、本事業は、いわて半導体関連産業集積促進協議会の半導体製造装置メンテナンス参入研究会で出された現場の声がきっかけであった。半導体工場では、真空ポンプは設置台数が多く稼働時間も長いため、定期的なメンテナンスで故障を未然に防いでいた。異常音や異常振動を事前に検知できればメンテナンス周期を延ばし、突然の故障による稼働ロスを減らせると考えられていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術真空ポンプの異常音や異常振動を検出する機器の必要性が、半導体製造装置メンテナンス参入研究会で検討課題として出されていた。
  • コスト・採算異常音や異常振動を検出するセンサー付きの真空ポンプや検知器は高額で、導入に踏み切る工場は多くなかった。

やったこと

研究会の会員である半導体製造工場から真空ポンプの異常に関する聞き取り調査を行い、その内容をもとに試作機の開発に着手した。真空ポンプの異常は主にモーター本体やポンプ自体の経年劣化が原因で、故障の前にそれらから異常音や異常振動が発生するという理解から、試作機は音響と振動の異常を感知して外部へ通知する仕様とした。振動は一方向の振動を検知する加速度型振動ピックアップ、音響はコンタクトマイクを採用し、両者を同時に取得してデジタル信号に変換し、設定済みの正常範囲値を超えた場合を異常として検出した。異常の通知方法はLEDの点滅、無線LAN、ブザーの3種類とし、異常時の振動や音と解析データをメモリーカードに記録できるようにした。ハードウェアは研究会の参加企業に外注して試作機を5台製作し、参加企業2社の工場の真空ポンプに設置して評価試験を行った。

新しい製品・サービス:真空ポンプ異常検出装置

事業の効果

2社での評価試験で、1社ではリアルタイムで異常を検出でき、もう1社では異常は検出されず、データ解析の結果、正常動作範囲内で稼働中であることが確認された。異常の検出と外部への通知は目標どおりの成果を挙げ、LEDの点滅とブザーによる通知は正常に動作した。無線LANによる通知は工場内の周波数規定により現地試験ができず、社内の机上試験で作動が確認された。一方で、1台あたりの価格が目標の5万円を大幅に上回ったことやサイズが目標を超えたことが今後の改善点として残った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    半導体製造装置メンテナンス参入研究会への参加とソフトウェア開発の取組が示されるが、経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    真空ポンプの異常検知は高額な既存製品があり導入が少ないという市場状況が書かれるが、自社の競争優位性までは述べられていない。

  • 課題の認識と解決4

    メンテナンス周期の延長や突然の故障による稼働ロス減少という課題が示され、試作機で異常検知の確認を行った点が具体的である。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、1台5万円の目標価格のみが示されている。

  • 事業を進める体制3

    ソフトウェア開発会社が研究会会員や大学名誉教授の助言を受けて進めた体制が読み取れるが、人員や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    現場の聞き取りに基づき、低価格で設置容易な検出装置という顧客ニーズが整理され、市販品の課題も述べられている。

  • 事業化までの道筋4

    試作1号機から2号機への改善、平成28年中の商品化目標、セミコンジャパン出展というスケジュールと課題解決の方法が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の異常検出製品は1台400万円前後と高額で導入が少ないため、低価格化による新たな付加価値が狙われている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    真空ポンプの延命化や半導体工場の稼働ロス削減への寄与がうかがえるが、波及効果の数値などは示されていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す数値は書かれておらず、目標価格5万円のみが示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    異常検知の手法がエアコン室外機など製造業全般に適用できると述べられ、波及の可能性が読み取れる。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    半導体製造装置メンテナンス分野への地元企業の参入を促す活動に関わる点がうかがえるが、構造転換との関連は述べられていない。

  • 地域経済への波及3

    岩手県の半導体関連産業集積促進協議会の地域連携の中で開発されたことが読み取れる。

今後の展望

試作2号機を平成27年12月開催のセミコンジャパンに出展し、ユーザーの反応を見極めながら改良を進め、平成28年中の商品化を目指している。開発した装置や検知手法は真空ポンプのほか、エアコンの室外機等にも適用でき、幅広い製造業をターゲットにすることも期待される。

業種と困りごとが近い成果事例

北海道平成24年度

装着型高照度光照射装置の開発

睡眠習慣の改善や季節性感情障害の緩和を目的に、装着型高照度光照射装置「ルーチェグラス」を開発した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。