ものづくり補助金平成24年度東京都

アルミ素材に対する直接亜鉛回転めっき技術の試作開発

太田鍍金工業株式会社

この事例のポイント

  • 平成24年に自社で開発したアルミ素材上の静止亜鉛めっき技術は、被めっき部品を治具に1つずつ人が掛ける必要があり、めっき品質は優れていたものの生産性が悪く、亜鉛置換と比べて価格優位性を見いだせなかった。
  • アルミ部品表面の酸化被膜除去から亜鉛めっきまでを一連の電気めっきで実現する技術を開発し、静止亜鉛めっきのコストを亜鉛置換の@20円に対して@12円と、6割程度まで引き下げた。
  • 治具掛けの手間を省くことができ、人件費削減と生産性向上を図り、市場競争力を向上させた。

事業者のプロフィール

事業者名太田鍍金工業株式会社
所在地東京都 葛飾区
業種金属製品製造業
技術分野めっき
従業員数17人
資本金1,000万円
設立1969年

事業の背景

自動車などでは省エネ・軽量化のため、アルミ部品への安価な亜鉛めっきが求められている。鉄の比重は7.8、アルミは2.7で、アルミは鉄と比べて約65%の軽量化が図れる。アルミへの表面処理は酸化被膜の除去と再形成前のめっきが必要なため、高価な亜鉛置換方式が採用されてきた。近年は部品の軽量小型化の動向があり、2000年以降アルミ需要は急速に伸びており、自動車の外板等への採用も進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力平成24年に自社で開発したアルミ素材上の静止亜鉛めっき技術は、被めっき部品を治具に1つずつ人が掛ける必要があり、めっき品質は優れていたものの生産性が悪く、亜鉛置換と比べて価格優位性を見いだせなかった。
  • 品質・精度回転めっきは静止めっきに比べて電流密度が低いため、めっきの密着性が悪くめっき膜厚のバラツキが大きく、耐食性にもばらつきが出るなど、安定しためっきを行うことが技術的に難しい。

やったこと

アルミ部品表面の酸化被膜除去から亜鉛めっきまでを一連の電気めっきで実現する技術を開発し、静止亜鉛めっきのコストを亜鉛置換の@20円に対して@12円と、6割程度まで引き下げた。小型バレル、前処理薬品、後処理薬品、薬品槽、アルミ素材、表面解析機器などを購入し、回転(バレル)めっきへの拡張を図った。バレル装置を改良して製品同士の重なりをなくし、前処理は強アルカリによるアルミ侵食を避けるため濃度・温度・時間を低めに設定して条件を探った。めっき液の濃度、温度、電流値、時間などを様々な範囲で実験し、表面解析機器で密着性を確認した。後処理の化成皮膜も濃度、温度、時間、pHなどを変えて検討し、外部の試験機関に耐食試験を依頼して高耐食性のバレルめっき法を確立した。

新しい製品・サービス:回転(バレル)めっきによる安価で高耐食性のアルミ素材への直亜鉛めっき技術

事業の効果

治具掛けの手間を省くことができ、人件費削減と生産性向上を図り、市場競争力を向上させた。安価で高耐食性のめっき法が開発され、アルミ素材への亜鉛めっきを国内外にアピールできるようになった。補助事業による売上にはまだ変化がなく、今後は売上より純利益を上げることを目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の静止亜鉛めっきの技術を回転めっきへ拡張する流れが書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえる。経営戦略上の明確な位置づけは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    亜鉛置換の20円に対し12円と約6割までコストを下げ、アルミ素材の需要増と自動車産業の軽量化動向を踏まえた優位性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    静止めっきの生産性の悪さを課題として挙げ、回転めっき化で治具掛けの手間を省く解決策が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上や人件費削減は書かれるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    社内の技術者による試験や外部の試験機関への依頼が書かれ、体制の一部はうかがえるが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ユーザーとして炎神戸製鋼所の1万個/日やワイパーブレード向けの20万個/月が挙げられ、顧客と需要の裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    薬品管理や密着性解析、耐食試験といった課題解決の方法は書かれるが、スケジュールの詳細は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    アルミへの亜鉛めっきは置換方式が一般的とされ、一連の電気めっきで高水準の低価格化を図る点は読み取れるが、市場の認知度の数値は示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    自動車産業の基幹分野への波及や日本産業のめっき技術の普及が想定として書かれているが、雇用創出などの具体は薄い。

  • 費用対効果2

    補助事業による売上はまだ変化がないと明記され、投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    鉄からアルミへの素材転換という産業動向に沿う点はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

自動車産業などの基幹産業分野で、鉄素材からアルミ素材への転換が進むなか、国内外のアルミ素材への亜鉛めっき需要の獲得を見込んでいる。主なユーザーとして神戸製鋼所(アルミ製自動車部品への亜鉛めっき、1万個/日)と日本ワイパーブレード(アルミ製ワイパー部品への亜鉛めっき、20万個/月)が挙げられている。

  • 目標:めっき1個あたりコスト 20円→12円

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。