ものづくり補助金平成24年度山梨県

新規需要層(若者等)を標的顧客にした低アルコール発泡性日本酒の商品開発

山梨銘醸株式会社

成果ガス圧5.5気圧、アルコール度数11度のうすにごりタイプとして完成

この事例のポイント

  • 日本酒の出荷数量が急降下する中で、商品に自信があっても思うような手応えが得られなかった。
  • 通常の日本酒より アルコール度数が低めの飲みやすい発泡性日本酒の開発に取り組み、発酵では温度を低めにして期間を延ばし、原酒にエキス分をより多く残した。
  • ガス圧5.5気圧、アルコール度数11度のうすにごりタイプとして完成。低アルコールで飲みやすいスパークリング日本酒『山ノ霞』は、新規性と独自性から首都圏を中心に人気を得て、ベトナムやロンド…

事業者のプロフィール

事業者名山梨銘醸株式会社
所在地山梨県 北杜市
業種食料品製造業
技術分野発酵
従業員数25人
資本金1,500万円
設立1925年

事業の背景

山梨銘醸は1750年に白州の地で酒蔵を起こして以来、『七賢』の名で知られる老舗の日本酒メーカーである。日本酒は30年にわたり出荷数量が減少傾向にあり、中でも若年層の消費が少ない。一方、チューハイやカクテルなどビールを除く発泡性アルコール飲料の市場は年々伸びており、若年層にも広く飲まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術日本酒の出荷数量が急降下する中で、商品に自信があっても思うような手応えが得られなかった。
  • 生産能力プロダクトアウトの発想でマーケットの意見を取り入れていなかったため、老舗であっても受け入れられない状況があった。
  • 新製品・新技術若年層の支持を得にくい日本酒に代わり、若年層をはじめとする新規需要層を開拓できる低アルコールの発泡性日本酒を開発する必要があった。

やったこと

通常の日本酒より アルコール度数が低めの飲みやすい発泡性日本酒の開発に取り組み、発酵では温度を低めにして期間を延ばし、原酒にエキス分をより多く残した。吟醸酒らしい香り成分を生み出して日本酒らしさと飲みやすさを両立させた。炭酸ガス入りの酒を常温管理するため、熱殺菌では炭酸ガスが飛ぶことから瓶内殺菌ができるよう設備を改良し、瓶詰・打栓後に三層の温度帯のシャワーリングで瓶内殺菌するパストライザー処理を導入した。完成品は、ガス圧5.5気圧、アルコール度数11度のうすにごりタイプで、食事と合わせやすいよう甘さを抑えた。瓶内二次発酵方式を採用し、低温殺菌により常温流通を可能にするとともに、独自の技術で5.5気圧の高いガス圧をばらつきなく保つことにも成功した。

加工機パストライザー(瓶内殺菌設備)

新しい製品・サービス:低アルコール発泡性(スパークリング)日本酒『山ノ霞』

事業の効果

  • ガス圧5.5気圧、アルコール度数11度のうすにごりタイプとして完成
  • 常温流通が可能なガス圧5.5気圧を保つことに成功

低アルコールで飲みやすいスパークリング日本酒『山ノ霞』は、新規性と独自性から首都圏を中心に人気を得て、ベトナムやロンドンなど海外市場にも進出した。2016年4月には第2弾『星ノ輝』を発売し、ハイクラスのホテルなどで需要を獲得している。新たな市場として若年層をはじめとする新規需要層を開拓し、海外も含めた販路を広げた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の『七賢』の老舗ブランドを活かし、マーケットインに転換して低アルコール発泡性日本酒を開発したと書かれているが、過去の取組との一貫性は具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    日本酒の出荷減少と若年層の消費減に対し、発泡性アルコール飲料の市場拡大を踏まえて新規需要層を狙ったと具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    日本酒の出荷数量減少という課題を認識し、低アルコールの『山ノ霞』開発と海外・首都圏への販路開拓で解決を図ったと読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売数量や売上の増加目標などの数値目標は記載されておらず、高付加価値化や賃上げの目標値はうかがえない。

  • 事業を進める体制3

    社内の専務と常務が中心となって取り組み、独自技術で試行錯誤したとあるが、人材や事務処理体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    若年層や新規需要層向けに、飲みやすく低アルコールで食事に合う甘さ抑えめの商品と明記され、ターゲットとニーズが整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    ロゼタイプや食後酒の開発計画に触れているが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    日本酒の発泡性商品は従来になく、業界初のロゼタイプ開発や5.5気圧の高ガス圧を常温流通させた独自性が具体的に書かれている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    海外市場や首都圏の需要開拓に触れるが、地域経済や雇用創出などの国が補助する積極的理由は記載されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    低温殺菌による瓶内殺菌設備の改良は技術革新と言えるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    日本酒の需要減少に対し、成長する発泡性アルコール市場へ進出したと書かれており、市場転換の方向性は読み取れる。

  • 地域経済への波及3

    白州の地の水を活かした酒造りを続けつつ、新商品で地域の酒造りを維持する方向性は読み取れるが、雇用や地域成長への効果は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

業界初のロゼタイプの開発を進めており、食後酒も現在開発中である。食前、食中、食後の3部作として提案していく考えである。

事業者の声

その時を生きる人に寄り添うものをつくっていく、メーカーとしてそれが大事だと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。