ものづくり補助金平成24年度山梨県

酒粕と麹の両者の相対性を発酵技術により融合化させた挑戦的かつ画期的商品。

井出酒類販売株式会社

この事例のポイント

  • 酒粕と麹の栄養や効果が世の中に十分伝わっていない。
  • 麹由来の糖化液と清酒の酒粕を独自の比率でブレンドし、富士山の伏流水を使ってノンアルコールで低カロリーの甘酒を開発した。
  • ノンアルコールで低カロリーながら栄養価の高い甘酒を開発し、品質と味、見た目の向上を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名井出酒類販売株式会社
所在地山梨県 富士河口湖町
業種飲食料品卸売業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数14人
設立1954年

事業の背景

井出醸造店は江戸中期の1700年ごろに醤油醸造から始まり、江戸末期の1850年ごろから清酒醸造も手掛けて150年以上酒造りを続けている。富士山の麓という立地から外国人を含む観光客が多く訪れ、蔵開きや酒蔵見学も行われている。井出酒類販売は井出醸造店の出店として1954年に創業し、アルコール類や調味料の卸売と小売を行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他酒粕と麹の栄養や効果が世の中に十分伝わっていない。
  • 新製品・新技術従来の加熱殺菌では高温を長時間保つ必要があり、アミノ酸が変性して味の劣化や着色が起きていた。
  • 集客・繁閑酒類として扱われると酒類販売コーナーに並ぶため、ノンアルコールの健康飲料として手に取ってもらう機会が限られていた。

やったこと

麹由来の糖化液と清酒の酒粕を独自の比率でブレンドし、富士山の伏流水を使ってノンアルコールで低カロリーの甘酒を開発した。製造にはクリーンルームを使用し、新たに殺菌装置を導入して、短時間殺菌により色や味、香りの劣化を抑えた。甘酒には9種類の必須アミノ酸やビタミンB群を含む麹と酒粕の特長を残し、甘味料を極力使わずに麹由来の自然な甘味を活かした。プリン、チョコレート、ゼリー、羊かんなどのスイーツも麹と酒粕を活かして開発し、発売前には県内デパートでテスト販売とアンケートを行った。

新しい製品・サービス:ノンアルコール低カロリーの甘酒「蔵元あま酒」および麹と酒粕を用いたスイーツ(プリン、チョコレート、ゼリー、羊かん)

事業の効果

ノンアルコールで低カロリーながら栄養価の高い甘酒を開発し、品質と味、見た目の向上を実現した。従来の加熱殺菌で起きていた劣化の問題を解消し、清酒の技術を活かした新しい健康飲料として商品化した。新商品は今春から発売され、自社店舗やイベントで販売されている。今後は販路を広げ、ネット通販や酒蔵見学の来場者へのアピールも進める計画だ。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    1850年ごろからの酒造りや1700年creation醤油醸造など過去の取組があり、清酒醸造の技術を活かした甘酒開発という一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    富士山の世界遺産登録後に観光客が大幅に増えたことと、富士五湖唯一の地酒であることを強みとして示している。

  • 課題の認識と解決4

    従来の加熱殺菌ではアミノ酸が変性する課題を認識し、短時間殺菌装置の導入で味と見た目の劣化を防ぐ解決策を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化を示す文はあるが、売上や賃上げなどの数値目標は書かれておらず、わずかにうかがえる程度である。

  • 事業を進める体制3

    従業員14人の規模や、当主自身が酒蔵見学を案内する体制は読み取れるが、補助事業の遂行体制としての具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    女性、子ども、高齢者などのターゲットと、ノンアルコールで低カロリー、人工甘味料を抑えた選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今春の発売、販路拡大やネット通販への展開などの方針は示されているが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来は麹か酒粕のどちらかで作られていた甘酒を融合させた、清涼飲料としての日本酒仕立ての甘酒という新しい分野が示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    富士山麓の観光地として外国人観光客が訪れる点はうかがえるが、国が補助する理由として波及効果や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    新たに導入した殺菌装置による短時間殺菌は技術革新の要素だが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    健康飲料というカテゴリーを目指す点はうかがえるが、市場成長分野への進出や構造転換との関係は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    富士山麓の冷涼な気候と湧水を活かした地酒づくりと、観光客へのアピールによる地域の魅力向上が具体的に書かれている。

今後の展望

今後は店舗や土産物の取扱店への販路拡大を図り、ネット通販によるリピート販売も進める計画である。富士山の世界遺産登録以降に増えた観光客、特に外国人観光客にもアピールしていく考えだ。

事業者の声

「長年酒造りをしてきているからこそ実感している酒粕と麹の素晴らしさを、もっと広く伝えたい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。