ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

ICT を活用した施設園芸の先進的栽培事業

エイリツ電子産業株式会社

この事例のポイント

  • 農業の施設園芸に必要な、ハウス内環境を監視・制御する通信機器の開発が必要だった。
  • ハウス内の気流の温度、湿度、照度、土壌内の温度、湿度を測定するセンサーを開発した。
  • ハウス内の環境を遠隔で監視・制御できる装置を社内一貫で生産できるようになり、多様なセンサーの提供と新規センサーの継続的な開発が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名エイリツ電子産業株式会社
所在地福岡県 福岡市
業種情報通信機械器具製造業
技術分野情報処理,測定計測
従業員数29人
資本金5,000万円
設立1967年

事業の背景

同社はネットワーク時代に対応する通信機器のメーカーで、事業全体の8割超を全国の県警本部や管区警察、警視庁などの官公庁、九州電力、日本放送協会が占める。平成25年には警察庁に製品が認められ、全国の県警本部への一括導入を実現した。日本の食料自給率は平成27年度で39%と先進国で最低水準にあり、TPP加盟による国内農業への影響が懸念されている。農業従事者の65才以上の高齢者が全体の6割を占め、農業人口は先細りの可能性がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術農業の施設園芸に必要な、ハウス内環境を監視・制御する通信機器の開発が必要だった。
  • 人手・技能ハウス栽培の管理が生産者の経験と勘に頼っており、春先から夏場にかけて換気などの見回り作業に多くの時間が割かれ負担が大きかった。
  • 生産能力湿度・CO2・日射量・土壌温度・土壌水分量・土壌イオン濃度など管理すべき項目が多く、微妙な管理を人の勘に頼らず行う仕組みが求められていた。

やったこと

ハウス内の気流の温度、湿度、照度、土壌内の温度、湿度を測定するセンサーを開発した。データはLAN回線でクラウドサーバーに蓄積するため、親機がなくても直接LANにつながる形態に改良した。蓄積データは周年作業を比較し、生産品質との相関関係を探る基準作りを進めた。データは生産者のスマートフォン・タブレットで確認でき、温度が異常に変化した場合はアラームで知らせる。必要に応じて施設監視カメラや、ハウスの窓の開閉・水の散布などの遠隔操作機能も備えた。ハウス内の高温多湿や虫の侵入に対し、電子部品に水や虫が入らないよう配慮し、耐久性の高い部品を選定した。

検査測定ハウス内環境監視・制御装置(環境センサー、環境制御ボックス)

新しい製品・サービス:ハウス内環境監視・制御装置(環境センサーと環境制御ボックス)

事業の効果

ハウス内の環境を遠隔で監視・制御できる装置を社内一貫で生産できるようになり、多様なセンサーの提供と新規センサーの継続的な開発が可能になった。ICT技術により農家の経験や知恵を再現・サポートし、農業経営の効率化につなげられる見込みである。一方、耐久性を確保したことで製造コストが上がっており、多くの農家が導入できる価格までコストを下げることが課題として残っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成15年に経営革新計画の認定を受け、IP化通信機器を平成18年から製品化した経緯が示され、今回のハウス環境監視への展開は既存技術の延長と読める。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    事業の8割超を官公庁等が占める一方、センサーを社内一貫生産でき多くのラインナップを持つことが強みとして具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    ハウス内の管理が経験と勘に依存する課題と、製造コストが高く小規模農家へ広げる課題が書かれているが、解決後の数値目標は示されていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    従業員29人で通信機器を社内一貫生産している体制は読み取れるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力への言及は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    農家がハウス内の温度・湿度を見回りの負担なくスマホで確認でき、異常時にアラームが届くなど、顧客と価値が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    コスト低減を今後の課題として挙げているが、遂行方法やスケジュール、課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ハウス内環境監視に取り組む他社もあると書かれ、競合のなかで一貫生産やセンサーの多さによる優位性が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    食料自給率39%や農業従事者の高齢化が示され、国内農業を支える必要性は読み取れるが、雇用や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献4

    ICTを使った施設園芸、クラウド蓄積データと生産品質の相関分析、遠隔操作機能など、先端技術の活用が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    ICT施設園芸という成長分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    福岡市の企業が農業を対象に事業を行う点はうかがえるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記載は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在は研究機関などへ装置を提供しているが、今後は小規模農家などへの提案を強化し、販売実績を上げていく方針である。

事業者の声

日本の農業は、TPP参加によって厳しい国際競争に勝ち残っていかなければならない。当社は、農家の方々が長年培ってきた知恵をICT技術を使って再現したり、サポートすることで農業経営がより効率的で魅力的なものになると考えている。若い世代の人たちが関心を持ち、関わることができるよう当社の技術とノウハウで支えていきたい。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。