ものづくり補助金平成25年度製造業青森県

ブリ・ワラサ加工の自動化設備導入による生産性向上・高付加価値化の実現

有限会社マルイチ水産八戸

この事例のポイント

  • 鮮魚出荷は天候に左右され、水揚げのある日だけ従業員が出勤する状態で、安定した雇用が見込めなかった。
  • スイング式ヘッドカッターを導入した。
  • ブリ三枚卸機とスイング式ヘッドカッターにより、ブリ・ワラサの処理能力が上がり生産性が向上し、製品も均一化した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社マルイチ水産八戸
所在地青森県 八戸市
業種食料品製造業
技術分野製造環境

事業の背景

弊社は青森県南地方で鮮魚の仲卸業を主な生業としてきたが、鮮魚出荷は天候に左右され、安定雇用が難しかった。震災直後の風評被害もあり、鮮魚出荷への依存では事業継続が困難になると考え、サバ等の加工を新事業として始めた。従来は東京都中央卸売市場築地や名古屋市中央卸売市場の卸売業者が主要取引先だったが、平成24年から㈱マルイチ産商(長野市)とも取引を始めた。同社との取引は平成24年に15t、平成25年に80tで年々伸び、平成26年には前年の5倍となる400tの冷凍魚等の受注に加え、冷凍ブリ・ワラサの三枚卸しによるフィレ製造も依頼された。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能鮮魚出荷は天候に左右され、水揚げのある日だけ従業員が出勤する状態で、安定した雇用が見込めなかった。
  • その他震災直後は風評被害が著しく、鮮魚出荷に依存した経営では事業継続が困難になることを危惧していた。
  • 生産能力冷凍ブリ・ワラサのフィレ加工を依頼されていたが、フィレ加工に必要な設備がなく加工体制が不十分だった。

やったこと

スイング式ヘッドカッターを導入した。ブリ・ワラサは骨が太く出刃包丁による手作業では困難だったが、安全性に配慮された本設備により毎分40尾の処理が可能となり、生産性が格段に向上した。ブリ三枚卸機を導入した。既存のサバ専用設備ではブリやワラサに使えず、手作業では熟練技術が必要だったが、本設備は毎分25~30尾の処理に加え2~6kgの幅広い魚体に対応できるため、生産量が増え製品が均一化した。ベルト式真空包装機を導入した。袋詰めされた商品を並べるだけで真空・シール・排出の一連作業ができ、鮮度を保ったまま製造でき、清掃も容易で衛生面に優れた商品の製造が可能になった。ブリを材料とした試作加工を行い、ブリの三枚卸の生産性向上、製品の均一化、真空包装による品質向上を確認した。

加工機スイング式ヘッドカッター
加工機ブリ三枚卸機
加工機ベルト式真空包装機

新しい製品・サービス:冷凍ブリ・ワラサのフィレ加工品

事業の効果

ブリ三枚卸機とスイング式ヘッドカッターにより、ブリ・ワラサの処理能力が上がり生産性が向上し、製品も均一化した。ベルト式真空包装機により鮮度を保ったまま真空包装でき、衛生面に優れた商品を製造できるようになった。これによりフィレ加工による冷凍ブリ・ワラサの高付加価値化が可能となり、競合他社との差別化を図れるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    鮮魚仲卸から始めた事業にサバ加工を加えた経緯は書かれているが、フィレ加工の位置づけは中長期の戦略として明確には述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    取引先の受注量が15t、80t、平成26年400tと伸びた点や、競合他社との差別化を目指す記述があり、市場と自社の状況が具体的。

  • 課題の認識と解決4

    天候に左右される鮮魚出荷や風評被害という課題を挙げ、フィレ加工設備導入で課題に対応する流れが書かれている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    毎分40尾、毎分25~30尾という処理能力は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    フィレ製品の需要増加、調理の簡便化志向、個食化傾向など顧客ニーズの根拠が書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    ブリ試作加工の結果は述べられているが、遂行スケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    ブリ・ワラサのフィレ加工の高付加価値化に触れるが、市場での認知度や高水準の価格を示す数字は示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    水産加工品の市場規模が大きいことや八戸漁港の水揚げ増加に触れるが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    処理能力の向上や製品の均一化が述べられるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    八戸漁港の地域資源であるブリ・ワラサを活かす点は読み取れるが、雇用や地域経済成長への効果は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

八戸漁港では海洋環境の温暖化によりブリやワラサの水揚げ量が増えており、今後はイカ、サバに続く第三の柱になる可能性がある。家庭の消費は調理が簡単な切り身魚が中心で、外食・中食での需要も高まっているため、フィレ加工品への需要は高いと見込まれる。水産加工品の市場規模は農産加工品や食肉加工品より大きく、今後も安定した市場が確保されると推測される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。