吟醸酒の高品質化、安定生産を可能にする工程設計と試作開発
市販吟醸酒の醸造から瓶詰・貯蔵までの工程に、全国新酒鑑評会出品の大吟醸酒の技術的要件を応用する形で設備を導入した。
株式会社わしの尾
成果自然放熱で4〜6日を要していた冷却を約2時間40分(160分)に短縮
| 事業者名 | 株式会社わしの尾 |
|---|---|
| 所在地 | 岩手県 八幡平市 |
| 業種 | 飲料・たばこ・飼料製造業 |
| 技術分野 | 情報処理,製造環境 |
| 従業員数 | 13人 |
| 資本金 | 2,000万円 |
| 設立 | 1829年 |
当社は1829年の創業以来、岩手県八幡平市で日本酒を製造・販売しており、生産量のほぼ全量を県内に出荷している。約10銘柄を持ち、先々代の頃から普通酒を大切に造ることを基本としてきた。近年は地方への注目や和食のユネスコ無形文化遺産登録もあり、日本酒が再評価されている。消費者はフレッシュ感のある味わいに加えて、より詳しい商品情報を求める傾向が強まっている。
抱えていた課題
やったこと
火入れ後の清酒を急冷するため、簡易型火入酒急冷装置(プレート式熱交換器)を導入した。装置はタンク内の清酒を熱交換器に通して循環させ、温度を急激に下げる仕組みで、移し替えたタンクの殺菌も同時にでき安全性にも優れる。急冷試験でタンク形状により温度分布が不均一になったため、必要なタンクに清酒を吸い上げる上昇ノズルを追加した。普通酒のタンクで繰り返し試験を行い、瓶詰め直後の味わいと熟成後の味わい変化を評価した。製造と出荷の情報を一元管理するため、トレーサビリティー機能を持つ製造管理ソフトを導入し、出荷管理ソフトと連動させた製品管理システムを構築した。
| 加工機 | 簡易型火入酒急冷装置(プレート式熱交換器) |
|---|---|
| ソフト | 製造管理ソフト(トレーサビリティー機能付き) |
| ソフト | 製品管理システム(出荷管理ソフトと連動) |
急冷装置の導入により、火入れ後の冷却時間を自然放熱の4〜6日から約2時間40分に大幅に短縮できた。冷却中の品質劣化が防がれ、軽やかな味わいと華やかな香りというフレッシュ感を実現した。急冷した製品は常温保存での味の劣化が少ないことも確認され、味のクレームが減ると期待される。製品管理システムにより製造年月と酒造年度の併記、飲食店などからの迅速で詳細な問い合わせ対応が可能になり、信頼度向上と販路拡大への貢献が見込まれる。
いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています
創業以来の日本酒製造を基盤に、普通酒重視の方針と急冷装置・製品管理システム整備が連続した取組として記載されている。
他社は醸造技術が横並びで差別化が難しいと述べ、普通酒の味向上で差別化を図る方針が書かれているが、市場データは示されていない。
冷却に4〜6日を要していた課題を約2時間40分に短縮し、フレッシュ感と安全性の改善を実現したと具体的に記載されている。
冷却時間の短縮実績は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されていない。
従業員13名の企業であることは書かれているが、補助事業を遂行する体制や人材の記載はわずかにうかがえる程度。
消費者ニーズとして軽やかな味わいや安全志向を挙げ、普通酒を優先する理由と急冷装置の効果が整理されている。
急冷装置の導入経緯と試験、タンク形状への対策、今後の全種類への適用計画が時系列で示されている。
公開されている事例からは読み取れません。
普通酒を優先した高品質化と、他社との差別化による自社ブランド確立の方向性が具体的に示されている。
地元の酒を地元で消費してもらう方針や和食の無形文化遺産登録に触れているが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。
冷却時間の短縮効果は示されているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は記載されていない。
製造と出荷を一元管理するトレーサビリティ機能の導入が書かれているが、サプライチェーン全体への貢献は記載されていない。
公開されている事例からは読み取れません。
岩手県八幡平市の地元酒造として地域の酒を地元に届ける方針が書かれているが、地域経済の成長への言及は薄い。
5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。
急冷装置により冷却した製品は現在、普通酒と一部の純米酒のみだが、今後は生産する全種類の酒へ装置の利用を目指している。また、他社との差別化を図り、強固な自社ブランドの確立につなげたいと考えている。
普通酒を大切に造っていく
公式の事例集より(原文のまま)
市販吟醸酒の醸造から瓶詰・貯蔵までの工程に、全国新酒鑑評会出品の大吟醸酒の技術的要件を応用する形で設備を導入した。
特定名称酒を安定して造るため、温度管理に必要な設備を平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金を活用して導入した。
効果:売上(最も売上の低かった時期比) 1倍→1.5倍
株式会社キーエンスの画像寸法測定器IM-6700を導入し、技術担当者から操作方法の訓練を受けた。
効果:測定時間 5分→0.004分