ものづくり補助金平成25年度製造業岩手県

岩手県産アカマツ小径木を活用した、幅ハギ集成耐力床材の試作・開発

有限会社マルヒ製材

成果仕上がりサイズ 1,820mm × 910mm

この事例のポイント

  • 根太レス工法の普及で構造用合板の需要が増え、合板が需要に供給が追いつかなくなることが予見されていた。
  • 当社の既存設備を活用し、構造用合板の代替試作品を製作した。
  • 仕上がりサイズ 1,820mm × 910mm。構造用合板とほぼ同等の耐力を持つ幅ハギ集成耐力床材の開発と施工方法が確認でき、構造用合板の代替という開発目標を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社マルヒ製材
所在地岩手県 久慈市
業種木材・木製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数29人
資本金500万円
設立1989年

事業の背景

当社は青森県津軽地方向けのりんご箱部材製造として創業したが、木製りんご箱部材の需要減少に伴い住宅建築用部材の製造へ移行した。約20年前から東北地方のハウスメーカーや工務店を顧客に、プレカット木材を製造・販売している。建築物の床構造は根太を用いない根太レス工法へ移りつつあり、今後の普及が見込まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力根太レス工法の普及で構造用合板の需要が増え、合板が需要に供給が追いつかなくなることが予見されていた。
  • その他東日本大震災で各地の合板工場が被災し構造用合板の生産が止まったため、施工現場で合板の入手に苦慮することが多く、工事の進捗に影響していた。
  • 新製品・新技術構造用合板の代替品となる新製品の開発が必要と考え、県産アカマツの間伐小径木を活用した幅ハギ集成耐力床材の開発に取り組むことにした。

やったこと

当社の既存設備を活用し、構造用合板の代替試作品を製作した。ラミナは長さ1,820mm、幅130mm、厚さ30mmとし、木材の乾燥収縮を見込んで一回り大きい寸法で製材した。木表と木裏を交互に横並びに接着して反りを抑え、接着後は材面調整を行った。本事業で910mm幅対応の大型材面調整機「自動一面鉋盤」を導入し、表裏各1回の通しで製品に仕上げられるようにした。岩手大学農学部の関野教授の技術指導を受け、岩手県林業技術センターに委託して釘一面せん断試験やたわみ試験(100kg荷重)を繰り返し実施した。その結果、材端からの距離26mm、釘ピッチ150mmで接合すると構造用合板とほぼ同等の耐力を発揮することを確認した。

加工機自動一面鉋盤

新しい製品・サービス:県産アカマツの間伐小径木を用いた幅ハギ集成耐力床材。仕上がりサイズは1,820mm×910mmで、構造用合板の代替品として床材や天井材にも使える。

事業の効果

  • 仕上がりサイズ 1,820mm × 910mm

構造用合板とほぼ同等の耐力を持つ幅ハギ集成耐力床材の開発と施工方法が確認でき、構造用合板の代替という開発目標を達成した。平成27年10月に生産転用を開始した。地元材やトレーサビリティーの確立した建築材への需要に応えられ、新しい価値を持つ集成床材として提案できる。取引先からの信頼感向上や取引の安定、新規取引先開拓での強みとして、会社全体の収益性向上も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    木製りんご箱部材から住宅用プレカット木材へ移行してきた経緯は読み取れるが、新製品の経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    根太レス工法の普及と構造用合板の不足という外部環境、県産間伐材を活用できる既存設備という自社の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    合板入荷遅れによる工事への影響という課題は示されているが、高付加価値化や成長に向けた事業計画の具体は薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    製造コストを構造用合板と同額程度にする必要性は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標数値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    岩手大学の教授の技術指導や林業技術センターへの試験委託、経営企画部主任の責任者配置はあるが、体制の詳細は限定的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    地元材やトレーサビリティーの確立した建築材へのニーズをヒアリングで把握し、1枚で床材や天井材に使える点を訴求すると明記されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の改良、反り対策の追加研究、表面シート被覆の検討など課題と方法は示されているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    構造用合板の代替となる幅ハギ集成耐力床材で、美しい木目を活かした高付加価値の製品であることが書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    国産材の利用促進、沿岸地域の森林保全、地元林業の振興と雇用への寄与が具体的に示されている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数値は書かれておらず、わずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献2

    サプライチェーンへの貢献はうかがえるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルの記載はない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    根太レス工法の普及に伴う構造用合板の需要増への対応はうかがえるが、構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及4

    久慈市など沿岸地域の良質なアカマツ産地を活かし、地元林業の振興と雇用を牽引する事業として書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は構造用合板の代替品として提案するため、構造用合板と同額程度の価格にする必要があり、製造方法を見直して安定した品質と供給、コストダウンを進める。納品後の反り対策として乾燥の程度や製品表面のシート覆いを研究している。

事業者の声

付加価値を活かした商品提案をしていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。