ものづくり補助金平成25年度製造業宮城県

海面養殖漁業者向けのアルミ小型漁船の実用化開発

株式会社髙橋工業

この事例のポイント

  • 将来的に危惧されるFRP製漁船の廃船問題があり、廃船にかかる手間と費用から多くの漁業者が廃船後に放置している。
  • 3次元設計CADを導入し、疑似曲面(多面体)による設計の簡易化とスピーディな設計対応を実証するため、試作船を建造した。
  • 3次元設計CADの導入により、疑似曲面の設計が簡単になり、1隻ずつ個別仕様の船舶を短期間で効率的に設計・製造できることが確認された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社髙橋工業
所在地宮城県 気仙沼市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数10人
資本金2,000万円
設立1985年

事業の背景

創業当時から造船業を営んできたが、漁業者の減少もあって、造船で培った鋼板加工技術を武器に建設分野へ進出した。東日本大震災で多くの漁船が流され、東北の小型漁船は一新された。従来からの課題だったFRP製船舶の廃船問題は、数年後に急激に表面化すると見込まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他将来的に危惧されるFRP製漁船の廃船問題があり、廃船にかかる手間と費用から多くの漁業者が廃船後に放置している。
  • 新製品・新技術金属形成では湾曲面の設計・加工技術が難しく、疑似曲面の設計を簡単にする手段が必要だった。
  • 生産能力アルミ合金製船舶は枠型を使うFRP製船舶と違い1隻ずつ製造する必要があり、設計と製造の効率化が課題だった。
  • 新製品・新技術アルミ合金製船舶の試作には多くのハードルがあり、実証実験を行う必要があった。

やったこと

3次元設計CADを導入し、疑似曲面(多面体)による設計の簡易化とスピーディな設計対応を実証するため、試作船を建造した。従来の漁船にはないセミダブルハル船型で建造し、安定性と速力効率の向上を図った。建造後の海上試運転では設計で計画した船体性能を確認した。係船用フックや漁具庫ハッチなどの艤装品を規格化し、建造工期の短縮を図った。CADの習熟には若手技術者を選任し、造船技術後継者の育成に努めた。

ソフト3次元設計CAD

新しい製品・サービス:アルミ合金製の養殖漁業者向け小型船舶

事業の効果

3次元設計CADの導入により、疑似曲面の設計が簡単になり、1隻ずつ個別仕様の船舶を短期間で効率的に設計・製造できることが確認された。セミダブルハル船型により安定性と速力効率が向上し、海上試運転では全ての面で当初の計画通りの結果が得られた。艤装品の規格化により建造工期の短縮が図られ、若手技術者の育成にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    造船と建築で培った技術力を活かし、アルミ合金小型船の試作に取り組む経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    FRP船の廃船問題や価格面での苦戦が示され、個別ニーズへの対応力は読み取れるが、競争優位の定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    FRP製漁船の廃船問題と、設計段階で3DCADを使い1隻ごとに個別設計する課題認識と対応が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げに関する目標値は示されておらず、船体性能が計画通りだったことのみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    若手技術者を選任してCAD習熟と後継者育成に努めたと書かれているが、補助事業の実施体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐久性・リサイクル性・個別ニーズ対応の優位点と、養殖漁業者という顧客ターゲットが具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作船建造、艤装品の規格化による工期短縮、電動推進システム開発による販売計画など段階的な方向性は示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    FRP製船舶の大量生産と異なり、アルミ合金小型船を個別設計で製造する高付加価値化の方向性が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    東日本大震災後の漁船一新やFRP廃船問題の社会課題解決への貢献は読み取れるが、雇用創出などの数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す補助金額や付加価値増加の数値は書かれておらず、工期短縮などの効果がわずかにうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献3

    3DCADの活用や電動推進システムによる環境対応が示され、地域水産業への貢献も書かれているが、サプライチェーン全体への波及は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    環境配慮型の電動推進や漁業の安全性向上にふれており、産業構造転換への寄与がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及4

    気仙沼の地域漁業者向けに、地域を担う造船技術者の育成と地元課題の解決を目指す点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

アルミ合金製船舶は、リサイクル性と耐久性に優れ、火災や衝撃に強く、修復も容易といった優位点があり、個別ニーズにも対応可能で商品としての魅力度は高い。一方で価格面では量産のFRP製船舶との競争が予想されるため、量産によるコスト低減を図るとともに、バッテリー式の電動推進システムを開発して組み合わせた販売も目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。