ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

蔵独自酵母の清酒の開発と製造環境の整備による一環生産工程の確立

浅舞酒造株式会社

この事例のポイント

  • 大手酒造メーカーの純米酒移行が続くなか、小規模な酒蔵は差別化によるブランド力強化が必要となっている。
  • 高圧蒸気滅菌装置とクリーンベンチを導入し、自家培養技術の習得に努めた。
  • まがたま酵母を使った純米酒を商品化し、実販売まで達成した。

事業者のプロフィール

事業者名浅舞酒造株式会社
所在地秋田県 横手市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数10人
資本金1,200万円
設立1917年

事業の背景

浅舞酒造は平成22年から全量純米酒仕込みに移行し、蔵から半径5キロの酒造りをモットーに地元の酒米だけで純米酒を製造している。蔵内の湧き水は夏に酒米を育てた川の水が地中に潜った伏流水で、これで仕込んだ酒に日本酒ファンは多い。平成25年に秋田県醸造試験場が蔵付き酵母を発見し、その中から発酵力が強く吟醸香と味のバランスに優れた酵母を「まがたま酵母」と命名した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他大手酒造メーカーの純米酒移行が続くなか、小規模な酒蔵は差別化によるブランド力強化が必要となっている。
  • コスト・採算これまでほぼ全ての酵母を醸造協会と秋田今野商店から購入しており、まがたま酵母は自社培養によりコスト低減と酵母の純粋性を保つ必要があった。
  • 生産能力旧二級酒時代から変わらない生産環境では、純米酒の販売数量が年5%増加する中で増産に対応できない状況だった。

やったこと

高圧蒸気滅菌装置とクリーンベンチを導入し、自家培養技術の習得に努めた。その結果、仕込みに合った活性の高い微生物を含む酵母を自社で供給できるようになった。加温殺菌装置、冷蔵設備、洗瓶機、ラベラーなどを導入し、品質に大きく影響する温度管理を綿密に行えるようにした。

  • その他高圧蒸気滅菌装置クリーンベンチ加温殺菌装置冷蔵設備
  • 加工機洗瓶機ラベラー

新しい製品・サービス:まがたま酵母を使用した純米酒「純米酒 天の戸 生析」

事業の効果

まがたま酵母を使った純米酒を商品化し、実販売まで達成した。本事業の取り組み後、純米酒全体の酒質が安定した。2016年に神戸市で開かれた国際ワイン品評会(IWC)の純米大吟醸酒部門で「天の戸 純米大吟醸35」が最高金賞を受賞した。シンガポール、台湾、中国への輸出も増えており、北京では同社の酒のみを扱うバーが開店するなど海外でも広がりを見せている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    全量純米酒移行(平成22年)と「まがたま酵母」発見・商品化の流れが書かれ、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    地元酒米・蔵内湧き水・蔵付き酵母によるテロワールの差別化が書かれ、海外での純米酒人気という外部環境との関係も示されている。

  • 課題の認識と解決3

    旧来設備では増産に対応できない課題と、純米酒の販売数量年5%増が書かれているが、高付加価値化の計画数値は乏しい。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売は未だ少ないと明言されており、高付加価値創出や賃上げの目標値は事例に示されていない。

  • 事業を進める体制2

    酵母の自家培養技術の習得に努めたと書かれるが、人材や事務処理体制についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    テロワールのコンセプト、IWC最高金賞、コーシャ認証など選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    海外展開への積極的取組や情報発信の方針は書かれるが、遂行スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    まがたま酵母の純米大吟醸が2016年IWC最高金賞を受賞し、同部門で高水準の品質を示している。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地元の米と水を使う地域資源活用はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    製造能力向上や大量注文への対応は書かれるが、投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    秋田県横手市の地元米と蔵内湧き水を活かした酒造りで、地域の特性を生かした高付加価値の事業であることが具体的に読める。

今後の展望

海外で純米酒系の人気が高まるなか、テロワールのコンセプトがマッチしているとして、データだけでは分からない蔵のこだわりや酒造りの背景も伝えながら海外展開に積極的に取り組む予定。

事業者の声

売上的には未だ少ないが、拡大に向けて努力したい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。