ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

異材多層射出成形による軽量・高強度ボールジョイントの開発

株式会社 ATテック

この事例のポイント

  • 自動車の軽量化の流れを受け、鉄から樹脂への材料置換によるボールジョイントの軽量化が急がれていた。
  • 三種類の樹脂材料を組み合わせた異材多層射出成形を電動射出成形機で実施し、軽量・高強度でコスト低減も可能な新構造のボールジョイントを開発した。
  • 新規形状のボールシートと他部品の構成を見直したことで、従来より部品点数を削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 ATテック
所在地秋田県 横手市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野立体造形
従業員数5人
資本金1,000万円
設立2013年

事業の背景

当社は自動車用ボールジョイントの構成部品である樹脂部品(ボールシート)を製造販売しており、精密な金型技術を得意としている。主たる納入先はトヨタ・スズキ等である。自動車の軽量化・コスト低減ニーズが高まる中、ボールジョイントも鉄に代わる樹脂への材料置換による軽量化対策が急がれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術自動車の軽量化の流れを受け、鉄から樹脂への材料置換によるボールジョイントの軽量化が急がれていた。
  • コスト・採算ボールジョイントの低コスト化への対応が求められており、従来の課題を克服しつつ低コストな部品開発が必要だった。
  • 販路・情報発信主たる納入先(トヨタ・スズキ等)以外の自動車メーカーへ拡販するため、従来の製造販売に頼らない新たな販路の開拓が必要だった。

やったこと

三種類の樹脂材料を組み合わせた異材多層射出成形を電動射出成形機で実施し、軽量・高強度でコスト低減も可能な新構造のボールジョイントを開発した。成形機内で溶融樹脂がスクリューに付着して異物となり製品不良を起こしていたため、新たなスクリュー形状の設計をメーカーに提案するとともに、スクリューに特殊コーティングを施して射出成形機の機能・信頼性を高めた。クッション量(充填量)の適正条件については、経験による目安の充填時間を中心値として長時間・短時間で成形を行い、形状測定や重量測定で適・不適を判断して求めた。ボールスタッドとボールシートをインサート成形し、射出成形機以外の加工設備を不要とした。

加工機電動射出成形機
検査測定シート外観検査装置

新しい製品・サービス:異材多層射出成形による軽量・高強度ボールジョイント

事業の効果

新規形状のボールシートと他部品の構成を見直したことで、従来より部品点数を削減できた。金型内で多くの構成部品をインサート成形することで部品加工・組付工程を省略でき、製造に係わる設備・工数を大幅に削減した。これにより安価で高品質な部品を供給できる見込みである。一方、最終工程のエラストマー充填工程では金型構造の問題から充填量が図面指示を満たしておらず、金型構造と金型寸法の改良を行っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車軽量化の流れを受けて樹脂化に取り組むとあり、過去の金型技術を活かす方向は読めるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    精密な金型技術を得意とし、既成設備に改良を加えて新たな販路を開拓していると書かれ、強みは読み取れるが市場動向との関係は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    軽量化・低コスト化という課題認識と部品点数削減、インサート成形による工数削減が書かれ、課題解決の方向は読めるが定量的な計画は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。部品点数削減や工数削減の記述があるのみ。

  • 事業を進める体制3

    従業員5人で金型技術を持つことは読めるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    軽量・高強度・低コストという価値と自動車メーカーへの拡販方針は書かれているが、顧客ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    充填量の課題に対し金型構造と寸法の改良を行い、量産プロセス確定へ進める工程が段階的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ボールジョイントへの樹脂適用は新規性があるとされるが、普及度や高水準の高付加価値化の数値は示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    自動車軽量化の流れへの対応とされるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    部品点数削減や工数の大幅削減が書かれるが、補助金投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    異材多層射出成形という新構造の開発は読めるが、デジタル技術や新ビジネスモデルの記述は見られない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車の軽量化という産業動向に対応するとあるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    秋田県横手市の企業とわかるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

エラストマー充填工程は開発を継続しているが製品化には一定の目処が立っているため、量産プロセスを確定させるとともに品質のさらなる向上を図る。新構造ボールジョイントの効果をアピールし、拡販による収益確保と販売拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。