ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

新規醸造食品を使用した調味料の開発と効率的製造体制の確立

内池醸造株式会社

成果味噌の塩分 12%→8%

この事例のポイント

  • 時代の変化や味覚の変化に伴い、多品種の調味料を製造する必要があったが、市場での競争力を高めることが課題だった。
  • 新規醸造食品を原料とした調味料の開発と効率的な製造体制の確立に取り組んだ。
  • 味噌の塩分 12%→8%。試作を重ね、低塩味噌と高窒素醤油の開発に成功し、多用途に活用できる醸造食品の開発と効率的な製造体制を構築した。

事業者のプロフィール

事業者名内池醸造株式会社
所在地福島県 福島市
業種食料品製造業
技術分野バイオ
設立1861年

事業の背景

文久元年(1861年)創業の醸造元で、キッコーツル醤油、キンサン味噌を製造している。味噌・醤油は老舗として長く製造してきたが、加工品(調味料類)は小ロット多品種で対応していた。味噌、醤油、ドレッシングなどの調味料類の市場規模は1兆6,000億円といわれ、かつての基礎調味料中心からメニュー専門型の調味料が主流になり、消費者の味覚も変化している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術時代の変化や味覚の変化に伴い、多品種の調味料を製造する必要があったが、市場での競争力を高めることが課題だった。
  • 生産能力小ロットでの多品種調味料の製造が中心で、大ロット製造への転換ができていなかった。
  • 品質・精度加熱溶解から殺菌まで大ロットで行うと、製品の着色や品質劣化を招く場合があった。

やったこと

新規醸造食品を原料とした調味料の開発と効率的な製造体制の確立に取り組んだ。味噌の塩分は通常12%程度だが、加工適性を高めるため塩分8%程度の低塩味噌の試作を行い、腐敗の危険性を考慮して塩分濃度・麹歩合・水分調整を検討した。醤油は通常の濃口醤油で窒素成分1.7%前後だが、試験醸造で2.1%以上の高窒素醤油を開発した。製造には斜軸ニーダー、粉体と液体を連続的に混合する原料混合設備、4,000Lの調合タンクを導入し、斜軸ニーダーは昇温速度が早く安定して殺菌でき、軸封がないため生菌数の低減と他製品へのコンタミネーション防止に役立つ。原料混合設備と調合タンクにより、加熱処理なしで液体原料と粉体原料を混合しながら溶解できるようにした。

加工機斜軸ニーダー
加工機原料混合設備
加工機調合タンク(4,000L)

新しい製品・サービス:新規醸造食品を使用した調味料

事業の効果

  • 味噌の塩分 12%→8%
  • 醤油の窒素成分 1.7%→2.1%

試作を重ね、低塩味噌と高窒素醤油の開発に成功し、多用途に活用できる醸造食品の開発と効率的な製造体制を構築した。味噌は品質上問題なく配合を設定できた。一方で高窒素醤油は製造120日目に着色が進んだため、発酵管理の検討が今後の課題として残った。設備導入により効率的な生産方法と衛生面が確保され、既存の製造商品全体の生産性向上と商品競争力の向上が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    文久元年創業以来150余年の醸造が続き、新規醸造食品の開発を中核とした調味料事業への拡大が事業の流れとして示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    市場規模1兆6,000億円や、メニュー専門型調味料の主流化・味覚変化を外部環境として挙げ、競争力強化を狙うと述べている。

  • 課題の認識と解決4

    小ロット多品種から大ロットへの転換が課題と明示され、斜軸ニーダーや4,000Lの調合タンク導入で解決を図っている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    高付加価値化や賃上げの目標値は書かれておらず、販売促進や商品競争力の向上に期待するという定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    試作を重ね改善点に対応した経緯は書かれているが、人材や事務体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    低塩味噌は塩分8%、高窒素醤油は窒素成分2.1%と数値で特徴を示し、1,300種の調味料と大手との競争を踏まえ顧客価値を説明している。

  • 事業化までの道筋4

    120日目の着色という課題を示し、今後の発酵管理の検討や生産設備全体の最適化など、解決方法と次の段階が書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    市場は1兆6,000億円規模だが、同分野で高窒素醤油など従来より高水準の旨味成分を持つ商品開発を目指している。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    地域雇用や波及効果について直接の記述はなく、伝統醸造の継承や商品競争力向上の意義がうかがえる程度である。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加は示されず、生産性向上が既存商品全体に及ぶとの定性的な期待のみが書かれている。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    メニュー専門型調味料への市場変化に対応する点に触れるが、日本経済の構造転換への言及はうかがえない程度である。

  • 地域経済への波及3

    福島市の老舗醸造元として伝統を活かした商品開発を行う点は読み取れるが、地域の雇用や成長への効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

生産設備全体の最適化や新規醸造食品を使用した商品の販売を進め、品質・価格面の優位性を生かして販売促進を行う。1,300種の加工調味料を製造しており、主力商品の育成と大ロット製造により大手企業との競争にも対抗していく。新規醸造食品は単品販売や加工原料としての販売も検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。