ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

歯車加工の工程集約とDDRTによる高精度溝加工の技術確立

有限会社藤橋歯車鉄工所

この事例のポイント

  • 手動汎用機械が主力で加工工程が多く、工程間の待機時間が長くなっている。
  • 加工方法の改善のため、新たな機械装置として自動割出装置(DDRT)付き立形マシニングセンター(NVX)を導入した。
  • スプライン溝とカム溝の加工を新工程で行えるようになり、仕上がりの精度を上げつつ加工時間も短縮した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社藤橋歯車鉄工所
所在地福島県 福島市
業種金属製品製造業
従業員数10人
資本金300万円
設立1952年

事業の背景

130年を超える老舗で、歯車の設計製作や一般精密治具の製作を手がけ、自動車産業部品や輸送機器、メカニカル精密部品などの産業用精密部品を加工から熱処理、メッキまで一貫して行っている。歯車やスプライン溝加工などの主力は、ホブ盤等の手動汎用機械による加工である。一方、複雑なスプラインや円筒カム溝等は汎用フライス・手動割出器具と治具の組み合わせで加工しており、工程数が多い。歯車加工及びスプライン形状の加工を行う中小零細企業は減少傾向にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力手動汎用機械が主力で加工工程が多く、工程間の待機時間が長くなっている。
  • 品質・精度工程チェンジ時の寸法精度維持は手動割出器具に頼っており、仕上がり精度に作業者ごとのバラツキが出やすい。
  • 人手・技能位置決め調整は作業者の勘(熟練性)に依存し、加工時間(位置決め調整時間)に長短が出て、トータルの加工時間が長くなりがちである。

やったこと

加工方法の改善のため、新たな機械装置として自動割出装置(DDRT)付き立形マシニングセンター(NVX)を導入した。試加工では、工具剛性が高く寸法精度維持に適した超鋼母材工具(超鋼エンドミル・ハイスエンドミル・ハイスドリル)を選び、超鋼母材工具の特性に合わせて回転数を高めに設定した。計測はデジタルマイクロメーター(0.001㎜まで計測可)を用い、従来加工と新工程加工の精度の違いを比較した。NVXのプログラムデータによる制御と自動割出装置の位置決め精度により、作業者の熟練度によらず均一に維持できる動作を確認した。DDRTの機械的剛性が高いため超硬工具も使え、加工スピードを上げつつ綺麗な仕上げ面が得られた。

加工機立形マシニングセンター(NVX)
加工機自動割出装置(DDRT)

事業の効果

スプライン溝とカム溝の加工を新工程で行えるようになり、仕上がりの精度を上げつつ加工時間も短縮した。同時加工により工程数が減り、寸法精度を保ちやすくなった。超硬工具が使えるようになり、再切削が不要になったことで時間短縮につながった。完成までの時間は約60%短縮された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    130年を超える歯車・治具製造の歴史と自動車部品等の加工実績が書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    中小零細で歯車加工企業が減少傾向との外部環境が書かれ、福島市内唯一の歯車工場という強みも示されるが、競争優位の説明は限定的。

  • 課題の認識と解決5

    課題として加工工程の多さと待機時間、手動割出による仕上がりのバラツキが挙げられ、加工時間の約60%短縮という数字で成果も示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    5年間の目標として売上規模を最終的に3%以上押し上げると明記されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員10名や熟練作業者への依存は書かれるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的な記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    精度維持と高速加工による仕上げ面の良さが示され、顧客ニーズへの対応も書かれるが、ターゲット顧客や選ばれる理由は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋4

    今回の成果を踏まえ、今後はカム形状などへ展開し、操作技術向上と加工限界の調査を行うと段階的な方針が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    複雑なスプライン溝や円筒カムの加工を一工程化する点は特色だが、ジャンルの普及度や高価格化の水準までは書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    歯車は動力伝達に不可欠な部品で需要は続くと予想されるとあり、産業上の必要性がわずかにうかがえる。

  • 費用対効果4

    加工時間の約60%短縮や再切削が不要になった点など数字で効果が示されているが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    NVXのNC制御による自動運転や自動割出装置の活用は書かれるが、地域やサプライチェーンへの貢献は示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    福島市内唯一の歯車工場として地域を支えてきたとあり、地域での役割がわずかにうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も歯車製品の需要は続くと予想されている。今回行ったスプライン溝加工の技術をカム形状などにも同様に応用し、加工技術の向上に努める。5年間の目標として売上規模を最終的に3%以上押し上げるよう、新規営業活動を行っていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。