ものづくり補助金平成25年度卸売業、小売業福島県

野菜の「おいしさの見える化」技術の開発と運用

マクタアメニティ株式会社

この事例のポイント

  • 震災後も福島県産の農産物には風評被害が続いており、被災地産品が買いたたかれる問題が生じている。
  • 野菜の美味しさを構成する成分を非破壊の画像分析で測定し、消費者に品質情報を提供する技術を開発した。
  • 分析により「おいしさ」の阻害要因の抽出・特定を行い、生産者へのフィードバックと技術指導による商品改善につなげられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名マクタアメニティ株式会社
所在地福島県 伊達市
業種飲食料品卸売業

事業の背景

明治中期に蚕種製造業として開業し、昭和63年2月に株式会社化した。青果物用鮮度保持資材、環境・農業用微生物資材、有機農産物の生産流通システムなどに事業を展開してきた農業ベンチャー企業である。震災から5年が経過した福島県では復興が進んでいるものの、風評被害が尾を引き、農産物では被災地産品の買いたたきが問題になっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信震災後も福島県産の農産物には風評被害が続いており、被災地産品が買いたたかれる問題が生じている。
  • 販路・情報発信消費者の意識は商品そのものから安心・美味しさへと移り、商品や生産者の情報が容易に入手できる一方で、代わりの産地はいくらでもある状況になっている。
  • その他原子力災害によって縮小した企業実績を改善し、新たなビジネスモデルを構築する必要があった。

やったこと

野菜の美味しさを構成する成分を非破壊の画像分析で測定し、消費者に品質情報を提供する技術を開発した。対象はマツナ、ホウレンソウ、キュウリ、ミニトマトなどの代表的な野菜で、生産地でスマートフォンやタブレットにより農産物を撮影・送信し、サーバー上で色の三原色(RGB=赤・緑・青)を解析して個体情報をデジタル化した。測定データと構築したデータをAI(人工知能)で解析して「うまみ」「コク」「渋み」などを測定し、消費者の嗜好データとビッグデータ解析で「おいしさ」を評価した。おいしさの評価には色のRGBに加えて硝酸イオンの濃度の把握も重要だとわかった。

ソフトおいしさの見える化システム

新しい製品・サービス:おいしさの見える化システム

事業の効果

分析により「おいしさ」の阻害要因の抽出・特定を行い、生産者へのフィードバックと技術指導による商品改善につなげられるようになった。消費者や生産者だけでなく、ホテル・レストランには情報を活用した仕入れ、店舗には他店との差別化、資材販売店には適正な資材販売とコンサルティングなど、多様な情報の利用が期待できる。消費者・流通業者・生産者に共通した品質基準を提供できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    農産物の非破壊画像分析や農業生産流通の事業展開に触れるが、経営戦略上の位置付けや過去の取組との一貫性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    風評被害や消費者の「モノ→コト」意識変化など外部環境は読み取れるが、自社の経営資源の強み・弱みへの言及は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    課題として風評被害と原子力災害による企業実績の縮小が挙げられ、新たなビジネスモデルで解決を図る方向は読み取れるが、事業計画の詳細は薄い。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    中小企業庁事業への採択や実施状況は触れられるが、人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    消費者は安心・安全とおいしさを求める、ホテル・レストランや店舗、資材販売店など利用者ごとの価値提供先が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は対象品目の拡大、情報整備と補正システム構築、自動的な受信→分析→表示の検討など今後の計画が書かれているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    画像分析でRGBに加え硝酸イオン濃度を把握し、AIでうまみ・コク・渋みを測定する点など、野菜のおいしさの見える化という新しい分野への取組が具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    福島の風評被害からの復興や被災地からの第四次産業革命の発信など地域的意義はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献5

    IoTとAIを活用し、生産者・流通・消費者の品質情報を共通化する農業用サプライ・チェーン・マネジメントシステムの広域運用が具体的に書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    農業分野のIoT・AI活用による第四次産業革命への貢献がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は具体性が薄い。

  • 地域経済への波及3

    被災地である福島の農業復興に取り組む点は地域特性を活かしているが、地域経済成長や雇用創出の具体的な記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は対象品目を拡大し、情報整備と補正システムの構築を図るとともに、自動的な受信→分析→表示のプロセスのスムーズな手段を検討している。次世代に向けて「農業用サプライ・チェーン・マネジメントシステム」の広域的な運用を展開していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。