ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業京都府

UVプリンターを活用した生産性の向上と少ロットオリジナル商品の展開

植村株式会社

この事例のポイント

  • 手芸パーツの多色・多柄展開では外注への最小ロット発注が必要になり、多品種小ロットで販売すると在庫リスクが避けられなかった。
  • UVプリンターを導入し、紫外線を照射すると瞬時にインクが硬化するUV硬化インクで、立体曲面部や凹凸のある皮革などにも印刷できるようにした。
  • 1個単位で柄入りの持ち手やユニフォームチャームなど極めて小ロットで個別性の強い商品を提供できるようになり、多品種小ロット販売に対応できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名植村株式会社
所在地京都府 京都市上京区
業種繊維・衣服等卸売業
従業員数14人
資本金1億円
設立1963年

事業の背景

当社は繊維資材の生地などを仕入れて自社で商品企画を行い、外注先に製造を委託して商品を供給している。手芸用品市場での売上比率は9割以上を占め、多彩な手芸用バッグパーツの取扱いの豊富さとオリジナル性で評価されている。一方で顧客層の高齢化と手芸人口の減少が顕著になり、若年層を含む需要の掘り起こしや新たな市場への販路拡大が急務となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算手芸パーツの多色・多柄展開では外注への最小ロット発注が必要になり、多品種小ロットで販売すると在庫リスクが避けられなかった。
  • 販路・情報発信個人のお客様向けのインターネット販売が拡大する中、1個単位のオリジナル作品を求める傾向に対し、最小ロット発注方式では応えきれなくなると予想された。
  • 納期・工程印刷用金型は外注が必要で加工に約3週間かかり、縫い付け手芸キットでは縫い付け個所を示すトレース紙への転写など事前準備に手間と時間がかかっていた。
  • 新製品・新技術高齢者や介護市場向けの縫い付け手芸キット「ファンジーステッチ」について、準備作業の簡素化が課題となっていた。

やったこと

UVプリンターを導入し、紫外線を照射すると瞬時にインクが硬化するUV硬化インクで、立体曲面部や凹凸のある皮革などにも印刷できるようにした。合成皮革などの素材を準備しておけば、注文に応じて1個単位で自由な柄を印刷して商品を完成させられるようにした。これにより外注で必要だった印刷用金型の製作が不要になり、従来約3週間を要していた加工期間を自社で即日製作できるようにした。自社の端末でデザインを入力すると1個単位でその場でサンプルを作成できるようにし、写真やイラスト、文字を入れた完全なオリジナル部品も1個単位で製作できるようにした。縫い付け手芸キットは、下地となる合成皮革に目印をカラー印刷し、トレース紙の転写などの事前準備をなくした。

加工機UVプリンター

新しい製品・サービス:針を使わない縫い付け手芸キット「ファンジーステッチ」を、UVプリンターで下地に目印をカラー印刷する改良版として製品化した。

事業の効果

1個単位で柄入りの持ち手やユニフォームチャームなど極めて小ロットで個別性の強い商品を提供できるようになり、多品種小ロット販売に対応できるようになった。サンプルを自社で1個単位で即日作成できるため、時間と費用を大幅に節減でき、顧客満足度を高められるようになった。インターネット販売では個人のお客様向けのオリジナル商品を提供できるようになった。縫い付け手芸キットは介護施設向けに本格的に参入したことで販売も増加しつつある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去20年以上オリジナル手芸パーツを企画・卸売してきた実績と、生産管理力を強みとする記述から一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    手芸用品市場の売上9割以上、取扱い3千種類以上、1万5千種以上の企画実績など自社の強みと、若年層・ネット販売という市場動向を結びつけて書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    多品種小ロットによる在庫リスクや印刷用金型製作・3週間の加工期間という課題を認識し、UVプリンター導入で即日製作する解決策が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標値として付加価値額や賃上げの数値は示されておらず、加工期間3週間から即日製作への改善に言及するのみ。

  • 事業を進める体制3

    既存の外注先との連携や自社での製作体制の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制について具体的な記載は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    1個単位のオリジナル印刷、ネット販売の個別要求、高齢者向け縫い付け手芸キットの改良など、顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    量産移管時は外注方式を使う、応用研究段階に入っているなど段階的な進め方は示されているが、スケジュールの具体的記載はない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    UVプリンターで立体曲面や皮革へ印刷する手法は、手芸パーツ分野で同業他社の追随を許さないオリジナル性の高い商品展開として示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    介護市場や医療分野への展開、外部研究機関との応用研究など社会的な広がりは記載されているが、経済波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    金型不要・加工期間短縮などコスト面の効果は記載されているが、補助金投入額に対する付加価値増加などの数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    UVプリンターによるオンデマンド生産やネット販売対応など新しい生産・販売の形は示されているが、サプライチェーン全体への貢献は具体的ではない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    ネット販売市場の拡大や手芸人口減少への対応は書かれているが、日本経済の構造転換に資するという記述は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    京都市上京区の老舗企業として長年事業を続けている点は読み取れるが、地域の経済成長や雇用創出への言及は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は従来の豊富な品揃えを支える在庫力を活かしつつ、小回りの利くUVプリンター活用商品を逐次展開し、オリジナル性の高い商品を作り続けていく。縫い付け手芸キットは運動機能回復の治療器具や検査器具など医療分野への適用も考えられ、外部研究機関の協力を得て応用研究段階に入っている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。