ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

フェライト磁石の多品種小ロット化に適応した革新的な新電気炉の開発

東京フェライト製造株式会社

成果焼成時間 27時間→3時間

この事例のポイント

  • 既存の大型プッシャー式連続炉は少品種大量生産向けで、多品種小ロットに対応しにくい。
  • 既存の大型プッシャー式連続炉(板状の台を2列3段の計6台を長さ20メートルの炉に入れて焼成)に代わり、同社が自社で設計したローラーハース式の新電気炉を開発・導入した。
  • 焼成時間 27時間→3時間。1台ごとの焼成により多品種小ロットに対応できるようになり、焼成時間は約90%短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名東京フェライト製造株式会社
所在地茨城県 北茨城市
業種電気機械器具製造業
技術分野材料製造プロセス
従業員数250人
資本金9,800万円
設立1958年

事業の背景

同社は創業以来57年、原料から製品化まで一貫体制で自社生産している。既存の焼成炉は1970年(昭和45年)導入で、高度経済成長期の少品種大量ロットに適合した設備だった。次世代型自動車の普及などで電装品が多品種化し、フェライト磁石も多品種小ロット化が進んでいる。さらに自動車メーカーの海外生産シフトや、中国などの海外競合による価格競争が激化していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存の大型プッシャー式連続炉は少品種大量生産向けで、多品種小ロットに対応しにくい。
  • コスト・採算消費電力が大きく、電気炉の電力使用量は茨城工場全体の60%を占めている。
  • 品質・精度3段で焼成するため上・中・下段で熱の伝わり方が異なり、焼成時にムラが生じやすい。
  • 人手・技能台が重く持ち運びに労力がかかり、台を重ねた隙間に熱が入るため台の劣化も早い。
  • 納期・工程台を重ねる手間などにより、焼成に取りかかるまでに時間がかかっていた。

やったこと

既存の大型プッシャー式連続炉(板状の台を2列3段の計6台を長さ20メートルの炉に入れて焼成)に代わり、同社が自社で設計したローラーハース式の新電気炉を開発・導入した。新電気炉は長さ6メートルの炉の中に板台を1台ずつローラーで流して焼成する方式である。1台ごとの焼成により多品種小ロットに対応できるようになった。焼成開始から完成までの時間は従来の27時間から3時間に短縮された。台を重ねないため温度ムラが減り、成型物の破損率が低下した。従来より薄いものにも対応でき、運搬コストも軽減された。

加工機ローラーハース式新電気炉

新しい製品・サービス:多品種小ロットに対応するローラーハース式の新電気炉

事業の効果

  • 焼成時間 27時間→3時間
  • 消費電力 68,000キロワット→22,000キロワット
  • 既存電気炉のエネルギーコストを70%削減

1台ごとの焼成により多品種小ロットに対応できるようになり、焼成時間は約90%短縮された。消費電力も大幅に削減され、エネルギーコストは70%削減の見込みである。温度ムラが減って成型物の破損率が下がり、板台の劣化も低減した。納期短縮とコスト削減により競争力が高まり、海外進出への道も開けてきた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業57年の一貫生産体制と、1970年導入の既存炉を新設備に更新する経緯が記載されており、事業の連続性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車部品の多品種小ロット化や海外競合の価格競争が書かれ、高精度な成型と短納期を強みとする点が読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    焼成時間27時間から3時間(約90%短縮)、消費電力68,000kWhから22,000kWhへの削減など、数値つきで課題と解決が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    焼成時間90%短縮や電力削減の数値が示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制2

    社員数250人・茨城工場125人の記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    多品種小ロットへの対応、納期短縮、低価格化など顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    自社で電気炉を設計し導入に着手した経緯は書かれるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    フェライト磁石の多品種小ロット向け焼成技術で、従来の大量生産向け設備と比べた高水準の効率化が示されている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    海外進出や自動車部品の国内産業強化に触れるが、雇用創出や波及効果の定量的な記載は少ない。

  • 費用対効果5

    焼成時間の27時間から3時間への短縮、電力68,000kWhから22,000kWhへの削減など、投資に対する効果が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    環境対策やエネルギー削減に触れるが、先端的デジタル技術や新ビジネスモデルの記述はない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    ハイブリッド車・電気自動車の普及を見据え、自動車部品分野へ強化する方針が書かれ、成長分野への進出がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    茨城工場での一貫生産が記載されるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車部品分野への参入を強化し、TS16949(自動車部品における国際基準)の取得へ向けて前進している。今後は海外製品との差別化を図り、高品質・短納期・低価格を武器に海外へ販路を広げることを目標としている。

事業者の声

フェライト磁石は日本で80年以上前に発明された焼結磁性体です。価格が安く、特性面でも安定しているため、モーターやスイッチ部品など多くの工業製品に使われています。当社は多品種・高品質のフェライト磁石を短納期で供給すべく日々努力しております。磁石の製造を通じて、広く社会の役に立ちたいと思っております。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。