ものづくり補助金平成25年度製造業群馬県

顧客拡大と技能伝承の両立を達成するための新規設備導入

三洞製線株式会社

成果標準的なネジ加工の生産能力が従来の2倍を上回った。

この事例のポイント

  • 自動車関連メーカーからの高品質・低コスト・短納期の要望を満たすため、生産能力の増強が必要だった。
  • 従来機より優れた最新型ローリングマシン(転造機)を導入した。
  • 標準的なネジ加工の生産能力が従来の2倍を上回った。ネジの寸法精度が向上し、不良品の混入がなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名三洞製線株式会社
所在地群馬県 桐生市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数49人
資本金1,000万円
設立1974年

事業の背景

当社は2011年に線材からネジ加工、緩み止め塗布までの一貫加工を実現するためCH事業部を設立した。CH事業部の顧客は自動車部品メーカーが中心で、高品質・低コスト・短納期が求められている。近年は原材料高と海外現地調達という厳しい環境にあり、生産能力の増強と高品質製品の安定供給が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力自動車関連メーカーからの高品質・低コスト・短納期の要望を満たすため、生産能力の増強が必要だった。
  • 人手・技能従来機は老朽化が激しく、調整が熟練者のカン・コツに頼っており、技術伝承が困難だった。
  • 人手・技能社員が熟練者と新人に二極化しており、新人への技能伝承が課題となっていた。
  • 品質・精度ネジの寸法精度を高める必要があった。

やったこと

従来機より優れた最新型ローリングマシン(転造機)を導入した。旧設備と比較して転造能力、耐久性、段取りしやすさ、ポカヨケ装置、生産性などを比較し、全ての面で優れているものを選定した。最も加工数の多いM6ネジのトライ品を新旧ローリングマシンで加工して外形寸法のバラツキを調べたところ、新機のバラツキが少なかった。新機は不良検知センサー付きで、不良品が発生した場合は分別排出される。幅調整や転造圧力調整はダイヤルゲージで表示され、適正値が一目で分かる。インバーター機能を搭載し、ネジ部の長いものから短いものまで加工できる。

加工機最新型ローリングマシン(転造機)

事業の効果

  • 標準的なネジ加工の生産能力が従来の2倍を上回った。
  • 代表的製品の生産効率 85本/分→180本/分
  • 手作業製品の生産効率 10本/分→110本/分
  • 従来機では90〜120分要した調整が、新機では40〜70分でできるようになった。

ネジの寸法精度が向上し、不良品の混入がなくなった。代表的製品の生産効率は2倍以上、手作業だった製品は大幅に向上した。カン・コツだった調整を見える化でき、新人2名の技能育成に成功した。転造前部品を持ち上げる高さが低くなり作業者の安全性も確保された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    主要顧客は自動車関連メーカーで、CH事業部を2011年に設立し一貫加工を進めてきたことは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    原材料高・海外現地調達という外部環境の厳しさに触れ、高品質・低コスト・短納期が求められるとあるが、自社の強みとの関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    熟練者と新人の二極化、技能伝承の課題を明示し、新機導入で解決を図る流れが示されている。課題と対策の対応は読み取れる。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    代表的製品が従来機85本/分から新機180本/分へ、手作業10本/分が110本/分へ向上と数字で目標と成果が示されている。

  • 事業を進める体制2

    新人技能者2人の育成に成功したとあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車関連メーカーの高品質・低コスト・短納期の要望や、80〜120万本の生産実績と受注増見込みが書かれ、選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の成果は記載があるが、事業化に向けた中長期の遂行方法やスケジュールの記述はうかがえる程度にとどまる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ローリングマシンによる転造加工の高水準化は読み取れるが、ジャンルの普及度や高価格化の具体的記述は薄い。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    県内自動車メーカーの国内生産増強や自動販売機メーカー工場建設による需要増が書かれ、地域の雇用や需要への波及がうかがえる。

  • 費用対効果4

    生産能力の2倍強、不良品混入の解消、2人の新人育成など効果が数字で示されているが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    インバーター機能や不良検知センサー、加工数値化による技能伝承などデジタル的要素はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は限定的。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車業界の需要増やモデルチェンジ前の受注決定に触れるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    群馬県桐生市の地域企業であることと県内自動車メーカーへの言及はあるが、地域の特性を活かした付加価値創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

価格競争力と品質の向上により、自動車関連商社向けを中心とした受注増を見込んでいる。県内自動車メーカーの国内生産増強などでネジ需要の増加も見込まれる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。