ものづくり補助金平成25年度製造業千葉県

画期的な医療用手術補助具の部品の開発・試作・販売

鈴木化工株式会社

この事例のポイント

  • 現在、市場には供給されていない単層ポリウレタンシームレスチューブフィルムの製造技術と、それを使った二次加工技術の両方を確立する必要があった。
  • 既存のインフレーション製造設備を改造しながら、単層ポリウレタンシームレスTPUチューブフィルムを生産できるよう、TPUチューブ製造に専用インフレーション設備を製作した。
  • ブロッキング・折皺の防止、厚み・幅精度の向上が実現し、安定した品質のTPUチューブフィルムを生産できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名鈴木化工株式会社
所在地千葉県 柏市
業種プラスチック製品製造業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数56人
資本金2,000万円
設立1977年

事業の背景

主力はポリエチレンチューブ、フィルム、袋などのプラスチック製品である。医療手術で使われる開創器は、金属製リングとシートフィルムのかます張りチューブを用いたものがほとんどで、患者と執刀医に負担がかかっていた。国内外では、柔らかなシームレスTPUチューブフィルムとソフトウレタンリングを組み合わせた開創器は発売されていなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術現在、市場には供給されていない単層ポリウレタンシームレスチューブフィルムの製造技術と、それを使った二次加工技術の両方を確立する必要があった。
  • 品質・精度製造したシームレスチューブが内面同士で密着するブロッキングを防ぐ対策が必要だった。
  • 品質・精度チューブ両端部に折皺が発生すると製品にならないため、折皺の発生を防止する技術を確立する必要があった。
  • 品質・精度厚み精度とチューブ幅精度を向上させる必要があり、そのために厚み制御装置やチューブ幅制御装置などの追加が必要だった。
  • 生産能力各サイズのチューブの曲率に合わせた全周シールを行う組立加工治具の開発が必要だった。

やったこと

既存のインフレーション製造設備を改造しながら、単層ポリウレタンシームレスTPUチューブフィルムを生産できるよう、TPUチューブ製造に専用インフレーション設備を製作した。ブロッキング対策として、紙管に巻くボビン巻方法と滑車で巻くカセ巻方法を比較し、カセ巻きで巻き取ることで負荷を軽減して、テンションを外して密着しにくくした。折皺対策も同様に巻取り方法を比較し、カセ巻きで折皺解消の効果を確認した。厚み・幅精度向上のため、TPU樹脂用押出機のスクリューの長さを長くして樹脂の押出変動を抑え、押出し量制御装置とチューブ幅変動制御装置を設置した。リングとTPUチューブを組み付ける全周シーラーの曲率を各サイズのチューブに合わせ、組立加工治具を製作した。組立は当面、手作業で行う計画である。

加工機専用インフレーション設備
その他押出し量制御装置
その他チューブ幅変動制御装置
その他組立加工治具(専用全周シーラー)

新しい製品・サービス:柔らかくタフなシームレスTPUチューブフィルムとソフトポリウレタンリングを組み合わせた画期的なプラスチック製開創器主要部品

事業の効果

ブロッキング・折皺の防止、厚み・幅精度の向上が実現し、安定した品質のTPUチューブフィルムを生産できるようになった。リングとの全周シールも曲率どおりに施工でき、開創器主要部品を生産できた。試作データを基に安定生産ができ、二次加工治具も構想どおりに完成した。今後は量産化に向けた取り組みを進め、本格参入を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性47%
  • これまでの取組との一貫性2

    既存のフィルム製造技術を医療部品へ応用した経緯は読めるが、経営戦略上の位置付けを示す記述は見当たらない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    医療用開創器の市場が鋼製機器中心で輸入品が多いとの記述はあるが、自社の強み・競争優位の裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決3

    従来開創器の金属リング・シートの課題は示されているが、高付加価値化や成長につながる事業計画の数字は書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    社長と担当者の名前や試作・開発の取組は書かれているが、人材や事務処理体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    患者に優しい柔らかなシームレスTPUフィルムと従来市場にない製品という特長、本格参入の狙いが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    ブロッキング・折皺・厚み精度の3課題と対策、量産化へ段階的に進める計画が具体的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    市場に供給されていない単層TPUシームレスチューブと組立技術を組み合わせた製品で、需要7割が鋼製という状況が示されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    輸入品中心の医療機器を国内で供給する意義がうかがえるが、雇用創出や波及効果の数字は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    インフレーション設備やフィルム製造の改良はあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    医療分野への進出という方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する根拠は示されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

この分野で需要の7割は鋼製機器で輸入品が占めている。国内外で未発売の製品で本格参入を目指し、先行2サイズの技術向上と安定生産に取り組む。新たに2サイズを追加して計4サイズを揃え、市場への参入を広げる。

  • 目標:開創器のサイズ数 2サイズ→4サイズ

事業者の声

新しい材料を使った製品作りにチャレンジする事に補助金を活用させていただき、結果として生産ベースに期待の出来る結果を得ることが出来ました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。