ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

生産システム改革による医療向け組立製品のリードタイム短縮

株式会社浜野製作所

この事例のポイント

  • 医療向けの少量多品種の組立製品は工程が複雑で部品点数も多く、他の方法では実現できないレベルでのリードタイム短縮が求められていた。
  • 既存の生産管理システムを補完する形で更新し、作業実績の電子管理、製品・半製品在庫のリアルタイム把握、作業情報の電子化の3点に取り組んだ。
  • 作業進捗が部品ごとに把握できるようになり、アッセンブリ物を中心に作業の一元管理が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社浜野製作所
所在地東京都 墨田区
業種金属製品製造業
従業員数39人
資本金1,500万円

事業の背景

浜野製作所は、医療関係向けに多く見られる工程が複雑で部品点数の多い少量多品種の組立製品を手がけている。現在、取引関係にある医療関連メーカーからの受注があり、年間売上高の1割弱を占めている。ただし顧客のもつ発注可能枠の半分以下にとどまっているため、受注金額を拡大する余地があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力医療向けの少量多品種の組立製品は工程が複雑で部品点数も多く、他の方法では実現できないレベルでのリードタイム短縮が求められていた。
  • 人手・技能作業実績は紙に手書きで記入しており、人手に頼るアナログ管理になっていた。
  • コスト・採算工数の管理が精密でなく、原価を把握して見積に反映させることが難しかった。
  • 販路・情報発信製品を構成する部品や外注品の進捗状況を一元的に把握できず、手配状況が見えにくかった。
  • 品質・精度作業手順書がExcelで管理され、転記漏れや古いデータと最新版の混在といったヒューマンエラーが起きやすかった。

やったこと

既存の生産管理システムを補完する形で更新し、作業実績の電子管理、製品・半製品在庫のリアルタイム把握、作業情報の電子化の3点に取り組んだ。各現場に端末を設置し、作業者がバーコードで端末に読み込んで工程進捗を入力できるようにした。進捗は社内工程で未着手・着手済・完了の3ステータス、外注や購入部材で未発注・発注済・受入完了の3ステータスで管理し、購入部品は未手配・配送中・完了・検収の状況をリアルタイムで把握できるようにした。見積用ソフトと生産管理システムをリンクさせ、見積の工程や見積時間を手配時に参照して予実対比を行い、生産管理システムとCAD/CAMシステムをネットワーク化して作業指示書に立体図形や展開図を埋め込む計画を進めた。Excelで作られていた作業手順情報は生産管理システムの製品マスターデータに移管した。

ソフト生産管理システム
その他作業進捗入力用の現場端末
その他バーコード読取機
ソフト見積用ソフト
ソフトCAD/CAMシステム

事業の効果

作業進捗が部品ごとに把握できるようになり、アッセンブリ物を中心に作業の一元管理が可能になった。作業者ごとの作業量も管理でき、ネック工程の把握と作業者の振り分けが適切に行えるようになった。製品ごとに次工程に着手できるかが明確になり、日次作業計画の作成が容易になった。手順書データへの一元的なアクセスにより、転記漏れや版の混在といったヒューマンエラーも排除された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    現行の生産管理システムを補完する形で生産管理の高度化に取り組むとあり、過去の取組との連続性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    医療関連メーカーからの受注が年間売上の1割弱あり、顧客の発注可能枠の半分以下に留まるため拡大余地があると記載され、強みと市場の関係が読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    作業実績の電子管理、在庫のリアルタイム把握、作業情報の電子化を課題解決策とし、5カ年計画で倍増、付加価値額年率3%向上の目標が数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    付加価値額年率3%向上、経常利益年率1%向上の目標が示されているが、その実現根拠の数字は限定的である。

  • 事業を進める体制2

    事業遂行の体制や人材、事務処理能力について記載はなく、わずかに生産管理の運用体制がうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    短納期・多品種対応という顧客ニーズと、医療関連メーカーからの受注拡大という対象顧客が明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    既存システムの補完、端末設置、データ移行、改定作業の完了時期などの進め方が段階的に書かれ、課題の解決方法も示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    少量多品種の医療向け組立製品の生産管理という分野で、一般的な普及度や高付加価値化・高価格化の記述はわずかにうかがえる程度である。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    医療分野の製品供給や風力発電機、材料研究装置の製作案件増加が書かれ、地域の製造業の発展への貢献意図はあるが、国が補助する積極的理由は薄い。

  • 費用対効果3

    付加価値額年率3%向上、経常利益年率1%向上の目標が示されるが、補助金投入額との対比による費用対効果の記載はない。

  • イノベーションへの貢献3

    生産管理システムとCAD/CAMのネットワーク化やデータの電子化が書かれ、サプライチェーンへの貢献も一部うかがえるが、具体性は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療製品や風力発電機など成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    東京都墨田区の町工場として地域の工場資源を活用したプロジェクトに触れるが、地域経済の牽引としての記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

医療関連メーカーへの販売拡大が見込まれ、既存取引先からの発注金額拡大を5カ年計画で進める。医療以外の風力発電機や材料研究用装置などの受注にも広げ、導入設備を生産転用して付加価値額を年率3%、経常利益を年率1%向上させる予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。