ものづくり補助金平成25年度製造業東京都

有機EL光源の照明利用拡大のためのデザイン照明の試作開発

有限会社英照明

この事例のポイント

  • TIG溶接では熱量が大きく製品が歪み、溶接後の前加工・後加工に時間がかかる。
  • 〔WEL-KEN社製〕のファイバーレーザー溶接機を導入し、ファイバーレーザー溶接に対応する技術を習得した。
  • ファイバーレーザー溶接の導入により、試作品はデザイナーと照明器具メーカーから高い評価を得た。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社英照明
所在地東京都 東京都足立区
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,接合・実装,立体造形
従業員数5人
資本金500万円

事業の背景

LED照明は省エネ照明の主流として広く普及しているが、小さな光源が強く光るため目に刺激を感じることや、光の色が人工的で演色性が低いという課題がある。これらを解決する光源として有機EL照明が期待され、高級志向でデザイン性の高い製品への需要が増えている。当社は精密板金加工を内製化し、医療、食品、建築、ディスプレイなど幅広い分野で事業を行いながら、照明部門では注文照明器具や街路灯、景観灯などの板金加工を手がけている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度TIG溶接では熱量が大きく製品が歪み、溶接後の前加工・後加工に時間がかかる。
  • 人手・技能曲線・曲面の難しい溶接部分は熟練技術が必要で、作業者によって品質にばらつきが出る。
  • 品質・精度強度を確保しようとすると溶接部が太くなり、照明器具のデザインと構造に大きな制約がある。

やったこと

〔WEL-KEN社製〕のファイバーレーザー溶接機を導入し、ファイバーレーザー溶接に対応する技術を習得した。導入した溶接機を用いて、社内で有機EL照明のデザイン・設計を行い、設計図面を基に製作図面を作成して切断、板金、溶接までを実施した。有機EL光源は照明器具メーカーから購入し、塗装と組み立ては外注した。完成品を照明器具メーカーに評価してもらった。ステンレス製の曲面デザインを用いて、TIG溶接とファイバーレーザー溶接で比較したサンプルも作成した。

加工機WEL-KEN社製ファイバーレーザー溶接機

新しい製品・サービス:レーザー溶接の特長を活かしたデザインの有機EL照明器具

事業の効果

ファイバーレーザー溶接の導入により、試作品はデザイナーと照明器具メーカーから高い評価を得た。ステンレスの曲面溶接では、TIG溶接に比べて歪みが少なく、溶接面積が小さいため製品が美しく仕上がり、溶け込みが深いため強度も大きく向上した。薄板アルミニウムではTIG溶接ではほぼ不可能だった溶接を、きれいな表面で行えるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    精密板金の内製化と照明部門の展開が書かれ、有機EL照明への取組が過去の事業と繋がる。ただし経営戦略としての位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大型ターレットパンチやCO2レーザー等の設備が揃うという強みと、有機EL照明需要を取り込む方針が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    TIGの歪み・限定板厚・前後加工の時間といった課題は示されるが、導入後の売上や付加価値の数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    技術習得に苦労したこと、従業員5人規模で内製している体制は読み取れるが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    防水性・演色性・デザイン性などの特長と、高級志向デザイン照明の需要が具体的に書かれ、顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    有機EL需要が増えるとの見通しや将来の需要増加は書かれるが、スケジュールや中長期の課題検証は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    LED照明が普及する中で有機EL照明は初期段階にあり、ファイバーレーザー溶接による高付加価値の曲面デザインを示している。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    省エネ照明や医療・公共設備への展開がうかがえるが、国が補助する積極的な波及効果や雇用創出の記載は乏しい。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    先端的なレーザー溶接の導入は書かれるが、サプライチェーン全体へのイノベーション貢献は具体的に示されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    有機EL照明という高効率光源の市場成長分野への進出が書かれ、需要増加の見通しも示されている。

  • 地域経済への波及2

    足立区の事業者であることはわかるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

有機ELは高効率の光源として注目されており、LEDの市場投入初期と同様に需要が増えると考えられる。屋外使用では防水性の確保が条件となるため、高強度な精密溶接と幅広いデザインに対応できるレーザー溶接の需要は今後も増加が見込まれる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。