ものづくり補助金平成25年度製造業長野県

自社開発工具を用いた医療機器用超精密部品の工法開発及び設備導入

有限会社野溝製作所

この事例のポイント

  • 医療用内視鏡に使われる超精密金属部品の微細加工は、通常の工法では実現できなかった。
  • 医療用内視鏡に使われる超精密金属部品の高精度かつ低コストの製造を目的に、新工法を開発した。
  • 計画どおりに開発事業を実施し、精密部品の試作が完了したことで事業化が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社野溝製作所
所在地長野県 宮田村
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数18人
資本金1,000万円
設立1966年

事業の背景

1966年創業の下請け工場として始まり、親会社から金型や材料を支給されて内職の手を借りて製造していた。先代から経営を引き継いだ野溝社長のもとで金型設計から加工技術の領域を広げ、高精度・短納期の生産体制を築いてきた。大手メーカーや同業他社の設計・開発の相談先としても評価を得ている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力医療用内視鏡に使われる超精密金属部品の微細加工は、通常の工法では実現できなかった。
  • コスト・採算利益がなかなか出ないことが長年の悩みだった。
  • 人手・技能難削材や複雑形状の加工の知識・技術が職人技として個人に属しており、データ化されていなかった。

やったこと

医療用内視鏡に使われる超精密金属部品の高精度かつ低コストの製造を目的に、新工法を開発した。製品の面取り用の専用工具を試作開発し、高精度に加工するための最新式ワイヤー放電加工機を導入した。ワイヤー放電加工機は目標精度の約3ミクロン程度の加工治具を作るために必要で、外注するとノウハウが流出し納期も見込めないため、自社で思い立ったときにすぐ着手できる体制とした。

  • 加工機最新式ワイヤー放電加工機
  • 金型面取り用専用工具

新しい製品・サービス:医療用内視鏡に使われる超精密金属部品

事業の効果

計画どおりに開発事業を実施し、精密部品の試作が完了したことで事業化が可能になった。自社開発の治具と工具によって、医療機器用部品の超精密微細加工を低コスト・高生産性で行える工法が確立される見込みである。今後は職人技として受け継いできた知識・技術をデータベース化し、さらなる展開を図る計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1966年創業から下請けを経て高精度加工へ技術領域を広げた経緯が書かれ、一貫性は読み取れるが経営戦略としての明確な位置付けは薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    独自の原価計算表と単価設定で利益を確保し、大手メーカーから高評価を得た点が書かれ、強みの活用が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    利益が出ないという課題を認識し、ワイヤー放電加工機導入で利益体質構築に着手したと書かれているが、将来の事業計画の詳細は薄い。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、わずかに収益改善の方向性がうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    専門の技術者がそれぞれにいる体制と、社長・常務が事業を進めている点は読み取れるが、補助事業の遂行体制としては具体性が薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    医療分野の超精密部品や難削材の高精度加工を強みとし、大手メーカーから評価される点は読み取れるが、ターゲットの定量的裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    ワイヤー放電加工機を自社ですぐ使える体制が必要と説明され、課題解決の方法は読み取れるが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ニッケル75%含有難削材の国内初量産に成功し、医療用内視鏡部品で同分野の高水準加工を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    海外から日本にシフトする医療分野の需要に触れており、国が補助する積極的理由は間接的にうかがえる程度。

  • 費用対効果2

    低コスト・高生産性の工法確立が目的と書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    独自の治具設計や職人技のデータベース化を将来の展開として挙げるが、デジタル技術や地域サプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医療分野の成長領域への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとの記述は薄い。

  • 地域経済への波及3

    上伊那郡宮田村の企業として精密加工を行う点は読み取れるが、地域の雇用や経済成長への波及効果は具体的に書かれていない。

今後の展望

職人技の知識・技術をデータベース化し、さらなる事業展開を図る。

事業者の声

一番欲しかったのは再現度。3ミクロン程度の加工治具を作るためには、今回導入したワイヤー放電加工機が必要でした。外注したらノウハウの流出になるし、納期も期待できない。自分たちが思った時にすぐ着手できる設備が絶対に必要だった。これで今後、無理難題が出てきた時にも対応できると喜んでいます

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。