ものづくり補助金平成25年度情報通信業長野県

ADSを使用した高速基板設計技術確立による高周波計測装置の開発

マリモ電子工業株式会社

この事例のポイント

  • 無線機器の普及で需要増が見込まれる高周波計測装置の新分野で製品を開発し、売上を増やす必要があった。
  • 高速・高周波回路基板の設計解析ツールであるADSを導入し、ADSによるシミュレーション技術を確立した。
  • 帯域6GHzのスペクトラムアナライザの製品試作開発をほぼ計画どおり達成し、ADSを使った高速基板設計技術も確立して同社の技術レベルを引き上げた。

事業者のプロフィール

事業者名マリモ電子工業株式会社
所在地長野県 上田市
業種情報サービス業
技術分野情報処理,測定計測
従業員数71人
資本金4,000万円
設立1980年

事業の背景

マリモ電子工業は1980年に設立された上田市のハード・ソフトの設計開発専門会社で、ファームウェア、アプリケーション、回路設計、システム開発や試作など受託開発を中心に手がけてきた。顧客は県内の電気・電子機器関連メーカーが中心で、県外の大手メーカーや情報通信企業も増えていた。無線機器の普及により高周波計測装置の需要増が見込まれる一方、同社は技術で差をつけなければ価格競争になるという危機感を持っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術無線機器の普及で需要増が見込まれる高周波計測装置の新分野で製品を開発し、売上を増やす必要があった。
  • 新製品・新技術高速・高周波回路基板の設計技術を確立する必要があり、技術的難度の高い基板を設計どおりの性能で開発することが課題だった。
  • 生産能力受託開発中心の事業で価格勝負に陥らないよう、技術でアドバンテージを取る必要があった。

やったこと

高速・高周波回路基板の設計解析ツールであるADSを導入し、ADSによるシミュレーション技術を確立した。技術的難度の高い基板の開発で設計どおりの性能を達成した。ものづくり補助金を活用して米マスワークス社のモデルベース開発ツールを導入し、効率の良い開発を実現した。これらを使い、帯域6GHzのスペクトラムアナライザの製品試作開発をほぼ計画どおり達成した。

ソフトADS(高速・高周波回路基板の設計解析ツール)
ソフトマスワークス社のモデルベース開発ツール

新しい製品・サービス:帯域6GHzのスペクトラムアナライザ(高周波計測装置)

事業の効果

帯域6GHzのスペクトラムアナライザの製品試作開発をほぼ計画どおり達成し、ADSを使った高速基板設計技術も確立して同社の技術レベルを引き上げた。モデルベース開発による効率の良い開発も実現した。成果は各社から反響を呼び、プロモーションビデオの作成依頼や展示会への出展依頼が来ている。米国の電子デバイスメーカーや世界的な半導体商社からも注目され、新たなビジネスにつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    1980年設立の受託開発会社が技術力を軸に事業を展開してきたことは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    「技術でアドバンテージを取れ」「次にホットになりそうな技術を捉え」と強みと外部動向を踏まえた方針が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決2

    「利益を確保していくかが今後の課題です」とあり課題認識はうかがえるが、高付加価値化につながる事業計画の中身は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制4

    従業員71名、グループでの開発が基本で社員教育に力を入れていることが具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    無線機器の普及で需要増が見込まれる高周波計測装置と、プロモーション依頼や展示会出展依頼が来ている点は読み取れるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    ADS導入と試作開発、モデルベース開発の流れは書かれているが、中長期のスケジュールや課題解決方法の詳細は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    6GHz帯のスペクトラムアナライザの新分野開発で、米大手メーカーや展示会で注目されたと具体的に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    無線機器普及による需要増や新たな分野の開発という点はうかがえるが、国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献4

    ADSによる高速基板設計やモデルベース開発の活用を具体的に記載し、NHKの映像技術開発など新たなビジネスにもつながったと書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    モデルベース開発という成長分野に取り組んだことはうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    上田市の企業であることは書かれているが、地域特性を活かして雇用や地域経済を牽引する内容は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

会社の方向性も変わったため、この成果をうまく活用してどのように利益を確保していくかが今後の課題とされている。

事業者の声

開発会社として特色を出すためには、まず技術でアドバンテージを取ること。当たり前のことをしていたら価格勝負になってしまう。つねにアンテナを張り、次にホットになりそうな技術を捉え、いかに早く取り込むか。それをつねに考えています

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。