ものづくり補助金平成24年度滋賀県

高導電性高分子コーティング材料の開発

長岡産業株式会社

成果既存のITOフィルムに迫る表面抵抗値(200Ω/□台)を実現

この事例のポイント

  • 既存のITO導電性フィルムに匹敵する導電性能と、ITOを超えるフレキシブル性を持つ高機能な透明導電性フィルムを開発する必要があった。
  • 組成、添加剤、乾燥条件などを少量サンプルで評価し最適化する体制を構築するため、サンプル作製設備と評価装置を導入した。
  • 既存のITOフィルムに迫る表面抵抗値(200Ω/□台)を実現。既存のITOフィルムに迫る導電性能と光学特性を実現し、静電容量センサーの試作で性能を確認した。

事業者のプロフィール

事業者名長岡産業株式会社
所在地滋賀県 大津市
業種プラスチック製品製造業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数130人
資本金4,000万円
設立1954年

事業の背景

当社は主にプラスチック加工分野で、発泡シート、フィルム、プレートなど各種材料の加工を行い、企画・加工・販売まで迅速に対応する体制を築いてきた。補助事業の前から、透明導電性フィルムの開発を進める必要があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存のITO導電性フィルムに匹敵する導電性能と、ITOを超えるフレキシブル性を持つ高機能な透明導電性フィルムを開発する必要があった。
  • 新製品・新技術高導電性高分子コーティングの材料設計技術が社内になく、材料開発を迅速に進める体制を築く必要があった。

やったこと

組成、添加剤、乾燥条件などを少量サンプルで評価し最適化する体制を構築するため、サンプル作製設備と評価装置を導入した。評価はテーブルテストでフィルムにコーティングし乾燥後、表面抵抗値と透過率などの基本特性を計測する方法で行った。その後、最適条件で数十Kgの高導電液を作製し、量産用のコーティング装置でPETフィルムにコーティングして基本特性を評価し、最適な材料組成とコーティング条件を見いだした。耐水性、密着性、フレキシブル性なども評価し、結果を材料開発にフィードバックした。その結果、既存のITOフィルムに迫る表面抵抗値(200Ω/□台)と光線透過率90%以上(導電層のみ)を実現し、静電容量センサーとして組み込んだ試作品でセンサー性能が発揮できることを確認した。

その他サンプル作製設備
検査測定評価装置
その他量産用のコーティング装置

新しい製品・サービス:高導電性高分子コーティングを用いた透明導電性フィルム(既存製品「スタクリア」の帯電防止グレード、高導電グレード)

事業の効果

  • 既存のITOフィルムに迫る表面抵抗値(200Ω/□台)を実現
  • 光学特性として光線透過率90%以上(導電層のみ)を実現

既存のITOフィルムに迫る導電性能と光学特性を実現し、静電容量センサーの試作で性能を確認した。得られた知見を既存製品「スタクリア」の品質管理や導電液組成の改良に活用し、顧客対応を迅速化した。「スタクリア」は帯電防止フィルムと比べ除電スピードや湿度に左右されない除電能力で好評を得ており、問い合わせ件数は5年間で年率30%の伸びを示した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    プラスチック加工の既存事業から導電性フィルム開発へ進んだ経緯は読めるが、経営戦略上の位置付けは記載がない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存ITO並みの表面抵抗200Ω/□台や透過率90%以上、ITOを超えるフレキシブル性など強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    既存製品「スタクリア」の除電性能や問い合わせ年率30%増など成果はあるが、課題認識と事業計画の関係は薄い。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    問い合わせ件数の年率30%増は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制4

    営業・開発体制を3名専任で配置したと具体的な人数が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け5

    透過率90%以上、表面抵抗200Ω/□台、帯電防止グレード10⁴〜10⁶Ω/□などの数値と、除電速度や湿度非依存の優位性が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    今後の展望として帯電防止グレードの拡充やフレキシブルデバイス電極の市場開拓など、段階的な方向性が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    帯電防止市場の活発化や医療・電子分野での高度な静電ノイズ対策の新用途が書かれ、新分野での高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    医療・電子分野への応用やフレキシブルデバイスへの展開はうかがえるが、雇用や波及効果の記載は少ない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    静電容量センサー試作やLEDタッチセンサーへの応用は示されるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    フレキシブルデバイスや電子分野など成長分野への進出が示されるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

静電ノイズ除去・防爆・瞬間除電など静電気対策のニーズに合わせた帯電防止グレードのラインナップ充実と販売促進を目指す。高導電グレードは、フレキシブル(ウェアラブル)デバイス電極として市場開拓を進める。

  • 目標:「スタクリア」に関する問い合わせ件数は、5年間で年率30%の伸びを示した

業種と困りごとが近い成果事例

宮城県平成24年度

超抗菌ニッケルめっきの事業化

神戸製鋼所の抗菌めっき技術を導入し、自社で性能検証を行ったうえで、試作設備(100L槽と付帯設備)を設置・稼働させた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。