ものづくり補助金平成25年度製造業岐阜県

AR(Augmented Reality、拡張現実)技術を利用したダイレクトメールの企画・開発・製造

株式会社岐阜文芸社

成果情報量 1倍→2倍

この事例のポイント

  • 電子メディアの普及により国内の印刷産業規模は平成10年から長期低落傾向にあり、低迷する印刷需要への対応が必要だった。
  • AR機能付き印刷物のうちダイレクトメールの企画・開発・製造体制を整え、圧着ハガキの製造に取り組んだ。
  • 情報量 1倍→2倍。ARの特徴を生かした圧着ハガキにより、通常のハガキに比べて情報量を2倍から3倍に増やせる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社岐阜文芸社
所在地岐阜県 岐阜市
業種印刷・同関連業
従業員数34人
資本金1,200万円
設立1952年

事業の背景

昭和27年に印刷会社として設立され、活字の鋳造から印刷、製本まで手掛けてきた。現在は企画デザインから製本まで一貫生産を行い、Webサイト構築やデジタルアーカイブ支援、メーリングサービス、デジタルサイネージなど事業領域は多岐にわたる。国内の印刷産業規模は平成10年から長期低落傾向にあり、会社は平成25年からAR技術を取り入れた商品開発に取り組んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力電子メディアの普及により国内の印刷産業規模は平成10年から長期低落傾向にあり、低迷する印刷需要への対応が必要だった。
  • 新製品・新技術電子メディアと競合するのではなく印刷物の特徴を生かして付加価値のある情報伝達媒体へ進化させる必要があった。

やったこと

AR機能付き印刷物のうちダイレクトメールの企画・開発・製造体制を整え、圧着ハガキの製造に取り組んだ。ニスコーティング機と圧着機を導入し、既存設備で印刷した刷り本に圧着ニスを塗布して圧着ハガキに仕上げた。ARコンテンツには動画、サイトリンク、パノラマ写真を組み合わせた。ホテル・結婚式場向けのV折圧着はがき(仕上がり100×148mm、マットコート110kg、4色刷り、2,000枚)と、自動車ディーラー向けのZ折圧着はがき(仕上がり100×148mm、マットコート90kg、4色刷り、2,000枚)の試作品を作成した。住宅メーカー向けのV折圧着はがき(仕上がり100×148mm、マットコート110kg、4色刷り、2,000枚)も作成し、需要の見込まれる業界用のサンプルを用意した。想定したAR付DMの試作品製造と品質・機能の検証・評価も行った。

加工機ニスコーティング機
加工機圧着機

新しい製品・サービス:印刷物とAR技術を融合させたダイレクトメール(圧着ハガキ)。V折・Z折の圧着はがきで、スマートフォン等の専用アプリでマーカー画像を読み取ると動画や音声、サイトへの誘導、360度パノラマ写真が表示される。

事業の効果

  • 情報量 1倍→2倍
  • 情報量 1倍→3倍

ARの特徴を生かした圧着ハガキにより、通常のハガキに比べて情報量を2倍から3倍に増やせる。動画や音声、サイトへの誘導が可能になり、コンテンツ閲覧者数のログ解析によって広告効果を見える化できる新たな販促ツールになる。大手クライアントや既存・新規得意先への売込みを強化し、試作品を持参して現在も拡販中である。また、圧着はがきの印刷専用サイト『DMrev.』を開設し、一般企業や同業者、デザイン事務所からの受注を想定している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成25年からAR技術を取り入れた商品開発に取り組んでいたとあり、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    電子メディア登場で印刷需要が低迷する中、印刷物を付加価値ある媒体へ進化させるとの方向性は示されるが、競争優位の根拠となる数値は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    印刷需要が平成10年から長期低落傾向にあるという課題を示し、AR付DMで情報量を2倍、3倍にするという解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    ダイレクトメールの需要増加は述べられるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載されておらず、実現可能性の判断材料が少ない。

  • 事業を進める体制2

    従業員34人の記載はあるが、補助事業を遂行する体制や人材配置についての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    住宅メーカー、自動車ディーラー、ホテル等の業種別に試作品を用意し、新車発表会案内DMなど用途とターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の拡販や『DMrev.』の開設は書かれるが、中長期の検証方法やスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    AR付き圧着ハガキは、従来の印刷物と比べて情報量が2倍、3倍になるとされ、一般的な普及度が低い分野での高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    印刷産業の長期低落という背景は示されるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は記載されていない。

  • 費用対効果2

    補助事業の投入額や付加価値増加額は記載がなく、費用対効果を判断できる数値は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    ARと動画・サイト誘導を組み合わせ、ログ解析による広告効果の見える化を行う点は、デジタル技術の活用として読み取れるが波及効果は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    電子メディア化に伴う印刷産業の構造変化への対応は示されるが、日本経済の構造転換への寄与は明確ではない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

AR圧着はがきは印刷物を窓口として、その延長線上に動画や音声、サイトへの誘導を提供でき、付加価値ある新たな印刷物へと進化する可能性を大いに秘めている。新しい情報伝達媒体として提供していきたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。