ものづくり補助金平成25年度卸売業、小売業三重県

「農業ICTと高電場低温貯蔵技術による高品質トマト供給システムの開発」

株式会社浅井農園

成果PW冷蔵を用いた場合、21日間以上の長期保存が可能であることが実証できた。

この事例のポイント

  • 近年の異常気象や天候不順により生産者は安定生産が難しく、需給バランスの乱れや市況価格の下落で収益が上がらない。
  • 施設園芸のトマト栽培施設に、オランダの複合環境制御システムを導入し、外部・植物体地上部・地下部の環境や天窓、スクリーン設備、ミスト設備、循環扇などを制御できるようにした。
  • PW冷蔵を用いた場合、21日間以上の長期保存が可能であることが実証できた。複合環境制御システムにより、トマトの生長に最適な環境を施設内で作り出せるようになり、安定生産の技術が確立した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社浅井農園
所在地三重県 津市
業種飲食料品卸売業
従業員数9人
資本金5,000万円

事業の背景

現状の青果流通は、農産物の価格下落や異常気象等により生産者の経営が苦しい状況にある。農産物の契約取引は年々増加しているが、農業生産では天候リスクや病害虫の影響を受けやすく、計画生産や出荷調整が難しい。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力近年の異常気象や天候不順により生産者は安定生産が難しく、需給バランスの乱れや市況価格の下落で収益が上がらない。
  • 納期・工程農産物の契約取引は年々増加しているが、計画生産や出荷調整が難しく、欠品による補償や廃棄ロスが発生している。
  • 生産能力効率的な生産、出荷および生産システムが構築されていない。

やったこと

施設園芸のトマト栽培施設に、オランダの複合環境制御システムを導入し、外部・植物体地上部・地下部の環境や天窓、スクリーン設備、ミスト設備、循環扇などを制御できるようにした。センサーや端末をネットワーク化するM2M技術を活用し、栽培施設内の環境を統合的に制御してトマトの生長に最適な環境を作り出せるようにした。リアルタイムの環境データから500項目を超える二次データを収集し、三重県農業研究所と共同で多変量解析を行い、収穫量と相関の高い因子を見つけ出して収穫量・収穫時期予測プログラムを開発した。予測値と実績の差は概ね10%以内で、現場でも活用可能な精度を確認した。さらに、プレハブ冷蔵庫内に1,500~3,500Vの電圧をかけた状態で、通常の貯蔵温度より低温で保存するPWポイントワープ冷蔵システムを用いた試験を行った。

その他複合環境制御システム
ソフト収穫量予測プログラム
加工機プレハブ冷蔵庫及び高電圧発生装置(PW冷蔵システム)

新しい製品・サービス:農業ICTと高電場低温貯蔵技術を組み合わせた高品質トマト供給システム。

事業の効果

  • PW冷蔵を用いた場合、21日間以上の長期保存が可能であることが実証できた。
  • 既設ハウスにおける過去収穫実績と収穫予測量の比較の差異は概ね10%以内であった。

複合環境制御システムにより、トマトの生長に最適な環境を施設内で作り出せるようになり、安定生産の技術が確立した。収穫量予測プログラムにより、収穫量と収穫時期を現場で活用可能な精度で予測できるようになった。高電場低温貯蔵により、トマトを21日間以上の長期保存でき、廃棄ロスの低減と計画的な出荷が見込まれる。今後は生産から出荷までの効率的なシステムを既存事業にも展開し、委託生産農家の生産量増加や品質向上、安定供給につなげる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    農業ICTと高電場低温貯蔵の開発は一貫性がうかがえるが、経営戦略上の位置付けは事例に明示されていません。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    青果価格下落や異常気象の外部環境と研究開発型の強みに触れているが、競争優位の定量的な根拠は薄いです。

  • 課題の認識と解決4

    欠品補償や廃棄ロスなどの課題を挙げ、収穫量予測と長期保存で解決を図る構成が具体的に読み取れます。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    収穫予測の差異が約10%以内、トマトの保存が21日間以上可能と数値で示され、実現可能性がうかがえます。

  • 事業を進める体制3

    三重県農業研究所との共同研究や研究開発農場の存在はうかがえるが、実施体制の人員配置は書かれていません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    高品質で安定出荷できるトマトという価値と契約取引増加の背景は読めるが、顧客ターゲットは明確ではありません。

  • 事業化までの道筋4

    複合環境制御、予測プログラム、貯蔵試験と段階的な遂行内容が示され、方法と順序が読み取れます。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高電場低温貯蔵やオランダ式複合環境制御を組み合わせた次世代アグリビジネスモデルとして差別化が示されています。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    政府の農業競争力向上への言及はあるが、波及効果や雇用創出の数字は示されていません。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す投入額や付加価値増加額の記載はなく、わずかに生産性向上の方向性がうかがえる程度です。

  • イノベーションへの貢献4

    複合環境制御とビッグデータ解析、M2M技術の活用により、農業のイノベーションへの貢献が具体的に読み取れます。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    農業の競争力向上や次世代アグリビジネスへの転換が述べられ、構造転換への寄与がうかがえます。

  • 地域経済への波及3

    三重県内の研究開発農場や全国の委託生産農家との連携が示され、地域との関わりがうかがえます。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

三重県内の研究開発農場を兼ねた自社生産施設と、全国の連携生産者による委託生産施設、JV共同事業体での生産施設の3タイプの生産体制を構築しており、本事業で開発する効率的なシステムを国内外に普及展開していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。