ものづくり補助金卸売・小売石川県

冷凍プリンの冷却設備を整え、品質を保ったまま生産量を3倍に

宝達山本舗 松月堂

石川県の和洋菓子店(従業員4名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 慶弔用の菓子の注文が減るなか、地元の食材を使った冷凍できるプリンを開発し、全国から注文が入るようになった。
  • 地元の商工会の指導員と約2か月、ほぼ毎週話し合い、生産性だけでなく品質も守る計画に組み直した。
  • 急速冷却で菌が増えやすい温度帯の時間を短くし、作業時間の半減と生産量3倍を両立した。

事業の経緯

1964年に現代表の祖父が和洋菓子店として創業した。二代目の父は洋菓子職人で、三代目の現代表は和菓子を学び、他店で修業してから店に入った。婚礼などの慶弔用の菓子の注文が時代の変化と人口減少で減り、店売りの商品を増やして取扱いが一時300種類になった。

2018年から半年以上かけて冷凍できるプリンを開発し、2019年に発売すると大手航空会社の通販サイトでも扱われるほど好評だった。コロナ禍のお取り寄せ需要が重なって生産が追いつかなくなったが、増産の設備投資は高額だった。地元の商工会に相談し、指導員の後押しでものづくり補助金に挑戦した。

事業の内容

  1. 課題:慶弔需要の減少1964年に和洋菓子店として創業し、婚礼などで使う慶弔用の生菓子が主力だった。時代の変化と人口減少でこうした注文が減り、店売りの商品を増やした結果、取扱いが一時300種類に膨らんだ。
  2. 課題:生産が追いつかない2018年から半年以上かけて冷凍できるプリンを開発し、2019年に発売した。大手航空会社の通販サイトで扱われるなど好評で、コロナ禍のお取り寄せ需要も重なり、今の設備では生産が追いつかなくなった。増産のための設備投資は高額で、自力では難しかった。
  3. 取り組み:品質と生産性を両立する計画地元の商工会に相談し、指導員の後押しでものづくり補助金に挑戦することを決めた。約2か月、ほぼ毎週の対話で社内外の環境を分析し、強みを掘り下げた。大手航空会社や百貨店の品質の要求が厳しいことから、当初の生産性向上だけの計画を、商品が10〜60℃の危険な温度帯にいる時間を減らし、品質も保ちながら生産性を上げる計画に組み直した。
  4. 取り組み:冷却と保管の設備の導入蒸し上がったプリンを急速に冷やしてから冷凍するためにブラストチラーを、増える冷凍品を保管するために大容量の縦型冷凍庫を導入した。店の広さに合わせた高性能の冷却装置付きショーケースも特注し、店頭でも品質を保てるようにした。

補助金を使った経費

記事の内容から、ものづくり補助金の経費区分にあてはめた区分です。

機械装置・システム構築費ブラストチラー
機械装置・システム構築費大容量の縦型冷凍庫
機械装置・システム構築費冷却システム内蔵の特注ショーケース

事業の効果

  • 作業時間が約6時間から約3時間に半分になった。
  • 生産量が約3倍(3回転)に増えた。
  • 急速冷却で品質の維持・向上ができた。
  • 省エネの効果で電気料金が下がった。
  • 代表の製造の時間が減り、経営の事務に時間を回せるようになった。人の配置も効率よくなった。

事業者の声

何か新しいことをしなくては。

多い時には取扱商品が300種類になってしまった時期もあった。

多くの補助金申請にありがちな生産性や収益性の向上といった要素だけでなく、食品業界における衛生や品質のようなクリティカルな要素をいかに申請計画に埋め込むかが難しかった。

能登の極上プリンの通販による販売は落ち着いてきた。今後は、能登の食材を使用した商品のバリエーションを増やし、販路も拡充していきたい。

これまでもマーケティングの専門家支援も仰ぎつつ、マーケットイン志向で商品を開発してきた。今後もその方針は変わらないが、娘たちの若い感性に期待している。

中小企業も経営と技術のバランスが必要。経営面のご指導が頂ける商工会の支援は重要。

菓子製造の伝統や技術を習得することは基本だが、時代の変化に合わせて変えていくことも重要。私の座右の銘は“温故知新”。同店は常に変化の先を見据え、新たな商品開発に邁進していく所存です。

石川県の和洋菓子店(従業員4名)
出典

相談先と計画づくり

商工会宝達志水町商工会

社内外の環境を分析し、店の強みを掘り下げた。大手の取引先が求める品質の水準を踏まえ、生産性の向上だけでなく、商品が危険な温度帯にいる時間を減らして品質を保つことを計画の柱にした。

今後の展望

地元の食材を使った商品の種類を増やし、販路も広げていく。2025年4月に入店する娘たちの若い感性に期待しながら、売れるものを起点にした商品づくりを続ける。伝統を守りつつ時代の変化に合わせて新しい商品を開発していく。

この事例の取り組み

卸売・小売のほかの採択事例

卸売・小売の事例をすべて見る

ものづくり補助金について

直近の23次の採択率は35.1%(応募1,275件・採択448件)。いま申請できる回は「新事業進出・ものづくり補助金」として募集されています。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。

最新の公募を見る